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#日本バスケは四位一体

今回は少し視点を変えて、バスケットボールの審判という切り口から書いていきたいと思います。ちょっと前に書いたツイートも結構な人に見ていただけたこともあって、今考えていることをつらつらと書いてみます。

0、なぜこの記事を?

その理由は結構単純で、「あ、バスケの審判って特別かも!」と思ったわけです。それと同時に、それを1人でも多くの人(選手や観客)に新たな気付きとして提供できたら、もっとバスケを楽しんでもらえるかもしれないし、或いはいま審判をされている方が見てくれて、もっと審判としてのスキルアップを図ってくれたらバスケのレベルアップに繋がるかもしれないし、僕は僕で今考えていることを好き勝手話せて幸せだし、と思ったからです!

きっと退屈させないのでお付き合いください!

1、天皇杯決勝

前述のような感想は先日行われた天皇杯決勝で感じました。

3人のアンパイアが卒なく連携し、レフェリングを進めていただけでなくミスジャッジした時には、“すぐに”訂正しゲームを軌道修正をしていました。

肝心の試合も非常に見ごたえがあり、お互いがスポーツマンシップにのっとり、日本一決定戦にふさわしい戦いをしていたと思います。

観客はもちろんのこと、TVで観戦していた人ほとんどの人が満足のいく試合だったと思います。

2、“すぐに”訂正することの意味

天皇杯決勝で私が注目したポイントは2つあります。

「1ピリ残1:52」と「4ピリ残8:08」の2か所です。これらのシーン、審判がジャッジをすぐに訂正あるいは協議していることに気が付いた方いますかね?

私もプレイヤーだったのでわかるのですが、「絶対ミスジャッジでしょ!」っていう場面は多々あるのですが、その時の審判の対応として3通りあると思っていて、

①毅然とした態度で押し通す
②ブーイングや抗議を受け、残り2人の審判が協議をかける
③すぐにジャッジを訂正する或いは訂正有無を協議するために審判で協議する。

この3つに大別されると個人的には整理しています。

③であれば試合の雰囲気や緊張感が解けずにゲームが続行される印象にありますが、①、②の場合はどうしても「しっかりジャッジしてよ!」「訂正が遅いよ」みたいな感情が会場全体を包みます。さらに、そのあとのジャッジに対しても、抗議が起こりがちになります。これってプレイヤーも、オーディエンスもものすごく後味が悪いんですよ。

せっかくお互いが全力でぶつかって、審判も故意では無いと言え、こうなってしまっては勿体無いじゃないですか!

せっかくバスケットボールが大好きな人が集まって真剣勝負をしているのに、あらゆる原因や反省が本質とはズレた形で処理されるわけです。

3、審判だって人間だもの・・

でも結局「①~③って審判の責任じゃん!」という声が聞こえてきそうですが、審判も人間ですし、あらゆる準備をして、その試合に臨んでいます!

JBAのサイトに審判の1日を動画でわかりやすくまとめたものがあるのでそちらも見てみてください。

「JBA トップリーグ審判員の一日」で検索

どうですか・・?すごくないですか?
まあ、何を感じるかは皆さん次第ですし「これくらい当たり前だろ!」という声ももしかするとあるかもしれないですね。

でも、プレーヤーが日々努力をして、プレーしたとしてもゲームになるとTOは起きるわけですよね。それは審判だって同じです。

ここで言いたいのは、審判だって選手と同じように生半可な気持ち、準備で試合に臨んでないことがわかりますよね?ということ。

4、バスケットボールの審判って特別じゃない?

まず、思い当たる主要なスポーツの審判を上げていきます。※記録員は除

野球:球審、塁審、外審(定位置、コミュニケーション少)
サッカー:主審、副審(副審は一定範囲内、コミュニケーション少)
バレーボール:主審、副審、線審(定位置、コミュニケーション少)

一旦このくらいにしておきます。

かたやバスケットボールはどうでしょうか。主審、副審といった区分こそあれど、その役割に基本的には大差はありません。さらに別の視点でも見てみます。運動量は、選手と同じくらい走り回り、試合後には汗だくになってますよね?これだけ動く審判は他の競技にそうそう無いと思います。(サッカーの主審は相当走ってます・・)コミュニケーションについては、結構な頻度で選手やコーチとやりとりします。

といった具合に他の競技のそれらとは少し毛色が違う気がしています。何が言いたいかと言うと、バスケットボールの審判も一緒に必死に試合を創っているんです。

どうですか、少しずつ見る目が変わってきませんか?

5、コートに立っている人数は10人じゃなくて13人

ここで紹介したいのが、僕の尊敬する大先輩の一人でもあり、日本初のプロレフェリーとなった加藤誉樹さん(大濠⇒慶應)です。

youtubeで「加藤誉樹 審判」と検索して頂き一番上にヒットする動画です。

見ました!?
むちゃくちゃ面白くないですか?

これだけの準備と志でバスケットボールに向き合っているんです。

(もしかするとここまでできていない人もいるかもしれないですが…)今日の日本バスケットボールにおけるレフェリー界トップに立つ人がこういったマインドセットで向き合ってくれていることはとても幸せなことだし光栄だと思うんです。

だからこそ選手は全力でプレーしてほしいし、観客もそういった視点でバスケットを観ることで、そのリテラシーは格段に上がると思うんです。ひいては、それが日本バスケットボール界の底上げに繋がると思っています。

6、#日本バスケは四位一体

プレイヤー(選手)、ブースター(観客)、オペレーション(運営)の三位一体は容易に思い浮かぶかもしません。ただ僕は、ここまで書いてきたようなことからバスケットボールはそこにアンパイア(審判)を加えた四位一体であるべきだと思います。

というか、そうやって日本バスケが向上していってほしいと思っています。

7、四位一体の先にあるもの

僕は天皇杯決勝でこの四位一体の瞬間を感じた強烈なシーンがあります。

4Q残8:08前後のプレーです。

川崎58-62渋谷となって、川崎は24秒ぎりぎりでショットを打ちます。リングに微かに当たったが審判は24秒バイオレーションの判定。しかし、すぐさま審判同士で協議し、IRS(インスタント・りプレー・システム)で判定を修正しました。その直後のオフェンスで川崎#14辻選手は3ptをヒットさせ、川崎61-62渋谷と勝負をわからなくした

恐らくここで渋谷ボールになっていれば、疲労困憊の川崎を尻目に流れは渋谷に傾いてしまい、点差は6点ないしは7点(8点も可能性有)になり、ここで勝負ありでしたでしょうね。

しかし、この緊迫した場面でも公正なゲームを実現するために自ら審議の旗を上げ、協議し、勇気ある訂正をした審判とそれに見事に応えたプレーヤーがいたことが僕としてはとても痺れました。

理論的に説明はできないですが、スポーツというのはこういった力を秘めているものだと思っています。だから感動するのです。審判と選手、さらにそれを後押しするブースター、それを円滑に運営する大会、全てが揃った結果があの一戦だったと思います。

これこそ四位一体(選手、観客、審判、運営)になった先にあるバスケットボールという競技の魅力だと思っています。

どうですか・・?少しは皆さんの中にある"バスケットボール"の見方や価値観って変わりましたかね・・?

僕が一人で興奮しているだけでなく、これが皆さんに少しでも伝わっててほしいな~と思っています。この記事によってバスケットボールに携わる人が一人でも多くその魅力や可能性に、改めて気付いてくれて、その輪がさらに広がってくれたら嬉しい限りです!!

#日本バスケは四位一体

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