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【ルーブル美術館展 愛を描く】ルーブルには愛があった【京セラ美術館】

先日、京セラ美術館にルーブル展を見に行ってきた。
日時予約制だったのだが、ずっと行きたいと思いつつ一向にいかなかったので、土曜日の深夜テンションで朝イチの予約をポチッた。

前夜は華金だったこともあり、サイゼリアにふらりと立ち寄ると364円のハンバーグをラージライスとともにかきこんだ。

食後はプリンとティラミスクラシコを頼み、なぜかそのあとアロスティチーニも注文。

おそらくこれは怒りだ。
1週間のダイエットに対する怒り。まったく痩せない肉体への怒り。(脂肪を)持つ者特有のの苦悩に満ちた怒り。

そんなこんなで、朝の10時には東山へ行かねばならぬというのに夜中の3時まで起きていた。

翌日は眠い目をこすりながら支度をして阪急電車に乗った。
普段はJRユーザーなので阪急は久しぶりだ。しかし、京都は意外と遠い。高槻を過ぎたあたりで、長岡天神も桂も通過して烏丸についてくれないかなと思い始めていた。

やっとこさっとこ烏丸についた。
ここで地下鉄に乗り換える。
しかし、ご存知だろうか。京都の地下鉄の乗り換え駅は烏丸御池だ。
しかし私は四条駅を烏丸御池だと勘違いしていた。京都久しぶりなんだもの。人間だもの。
京セラ美術館のある東山駅は東西線だが、どこを探しても烏丸線しか見当たらない。国際会館の文字を見て心底ゾッとしたあたりで気付いた。ここは四条駅なんだと。

国際会館方面の発車チャイムを聴いて、「あゝ、京都」と思った。
こうして私は元京都人を名乗る資格を喪失したのだった。

あいにくの曇りだ。
京都が私を歓迎していないことが分かる。

平安神宮に続く参道を通り、京セラ美術館へ向かう。

実は京セラ美術館に来るのは初めてだ。正直なところ、京都国立博物館と勘違いしていた。

入場すると「アモルの標的」の巨大ポスターが迎えてくれた。

「アモル」はいわゆるキューピッドで、美の女神ヴィーナスと軍神マルスの不倫の間に生まれた愛の神だ。

翼の生えた幼児の姿で描かれることが多く、アモルは2種類の矢を持つと言われる。
金の矢で射られた者は最初に目にした者に抑えられない恋心を抱き、鉛の矢で射られた者は相手からとにかく逃げたくなるそう。

私も何度か射られたことがある気がするが、いつも相手は私から恐怖の様相で逃げていくのできっと鉛の矢を射られていたのであろう。
おのれアモル許すまじ。

こちらは「アモルとプシュケ」。
人間の王女プシュケはその美貌を美の女神ヴィーナスに嫉妬され、アモルの矢を使って醜い男と結婚させられそうになっていた。

しかしアモルはプシュケのあまりの美しさに見惚れているうちに矢で自分を傷付けてしまい、プシュケに恋をしてしまう。
2人は結婚することになるが、アモルはプシュケに絶対に自分の姿を見てはいけないと告げ夜の間だけ一緒に過ごすのだった。

プシュケは謎めいた夫の姿が見たくて、ある夜ロウソクで夫の顔を照らして見てしまう。
愛の神アモルが夫であることに驚いたプシュケはロウソクをアモルの肩に垂らしてしまい、目覚めたアモルは激怒してプシュケの前から姿を消してしまうのだった。

この絵画では、初心そうな美しい娘プシュケに優しく口付けをするアモルが描かれている。

まるで何も見えていなそうなプシュケの表情は「無垢さ」「愛を知る喜び」「初恋の高鳴り」「愛する人に慈しまれること」を連想させる。
全乙女の憧れのシチュエーションと言えよう。

その後、プシュケはアモルを探す旅に出て、義母ヴィーナスから与えられた試練を乗り越えていく。
最後は神の酒を呑み、不老不死になってオリュンポスでアモルと幸せに暮らすのだそう。

これには流石のシンデレラもあんぐり。

プシュケという名前には魂という意味があり、愛の神アモルと結婚することで愛と魂の繋がりが表現されている。

別の絵画でアモルとプシュケの結婚を描いた作品もあるが、そちらでは戦車に乗ったヴィーナスだけがそっぽを向いて描かれている。
ユーモラスな神々が非常に愛おしい作品だ。

普段お世話になっている上司に、お土産としてグッズをいくつか買った。

ポストカードは先程紹介した「アモルとプシュケ」「アモルの標的」の他に「部屋履き」という作品のカードを買った。

「部屋履き」をセレクトしたのはなんていうか、展示されている作品の中で最も想像力をかきたてられたからだ…笑

この作品は3つの部屋が開け放たれた状態で描かれた絵なのだが、中央に脱ぎ捨てられた部屋履きとドアに刺さりっぱなしの鍵が見える。

慌ただしい朝の時間に靴も鍵もほっぽり出して、家主は奥の部屋で何をしているのだろうか。
この絵画を見ていると、掃除途中の水音と嬌声が聞こえてくるような気がする。

美術館の帰りは、河原町にあるジェラート屋さんの「スギトラ」に立ち寄った。
このお店は芸術的なジェラートパフェが有名なのだが、焼き菓子も美味しい。
泣き顔の虎を象ったクッキーを購入し、上司へのお土産に同封した。

また「スギトラ」も記事に書きたい。

とても充実した土曜日だった。

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京セラ美術館
ルーブル美術館展 愛を描く
会期 2023年9月24日まで
京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124


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