10代が吹っ切れる映画にはたくさんの面白いパターンがありまして---「エイス・グレード」をみたけど「ゴーストワールド」とは逆の映画でした。

名作だーという評判が高かったので、本当は映画館で見るつもりだったのですが、やっと観ました「エイス・グレード」。Amazon Primeで。レンタルで(見放題メニューには入ってないので、レンタル数百円かかります)。

8年生、つまり日本で言うところの中学二年生で、あんまりイケてない女の子の、卒業前の(アメリカでは、高校が4年あるらしい。)一週間を描いてる。この概要をきいたときには「ああー、大好きなゴースト・ワールドに似た感じなのかな? A24だし、これはミネバ」と思ったんですが、全然違う映画でした、実際。

ネガティブに吹っ切れるのか、ポジティブに吹っ切れるのか?

「エイス・グレード」と「ゴーストワールド」。2つを続けて見るとわかるのですが、非リア充から見た王道青春映画的なタッチの前者、サブカル的匂いがプンプンする後者、映画としてのテイストもだいぶ違う。ただ、10代の女性が悩みつつ、吹っ切れて次のstepに踏み出すというのが共通なんですが、「エイス・グレード」はすごく前向きに踏み出す。一方で「ゴースト・ワールド」は最終的にカオスに突っ込んでいく感じなんですね。だいぶ、映画としての肌触りがちがう。

主人公がいろんなことを経験して吹っ切れていく、そんな映画は山ほどあるんですが、「エイス・グレード」はそういう意味だと、ポジティブに吹っ切れる珍しい映画かなと。どっちかというとこの吹っ切れかたは「(500)日のサマー」に近いのかなと。積極的にオータムに行っちゃう感じで(詳しくは映画を見ていただければ、、、)。

ただちょっと思ったんです。「エイス・グレード」の主人公は、これからポジティブに高校生になる女の子。「ゴーストワールド」は高校卒業したての女の子がカオスな世界に嫌々ながら踏み出す。あれ?これ、もしかしてつながってるんじゃないの?と「エイス・グレード」を見終わったあとに思ったんです。

この「エイス・グレード」の女の子は、最終的にイケてる世界の友人たちと友だちになろうとして、なれない。最後に自分らしい世界観にはいることでそんな行けてる世界でなくて、個々が自分の居場所だよと吹っ切れる。これ、もしかして高校に入ってイケてる人たちを敵視?してるイーニド(ゴーストワールドの主人公)になっていくんではないか?

中学から高校へは自分の居場所を見つけて吹っ切れた。高校卒業時にはその自分の居場所は世間には受け入れられないとおもって次のstepに踏み出す。この映画たちにはそんな関係があるんではないかと、めちゃめちゃ勝手に考えてみたり。

いずれにしてもこの2つをまとめて見たりすると、いろいろ発見することが多いなーと感じた次第なので、おすすめです。

吹っ切れて次のステージへの扉を開ける映画たち

ほかにも合わせて見る(見直す)といいかなという映画もたくさんあります。卒業までの日常の中で吹っ切れていく「レディ・バード」。こちらも吹っ切れてポジティブな感情で次のstepに行くんだけど、踏み出した世界もなかなかなカオスで、母の愛情をそこで再度しっかりと感じるみたいな流れがグッと来ます。

あ、「エイス・グレード」はお父さんとの関係がグッと来ます。娘を持つ親が見ると、この映画は女の子の成長物語でなくて、男親の幸せな諦念の物語になってますね。


あと「ハッピー・デス・デイ」かな。こちらは学園ループものの典型で、ループの中でスクールカースト上位の自分が、なんかくだらなく思えてきてポジティブに吹っ切れる。ループ中に謎をときながら、自分が成長していって、スカッといままでの自分を吹っ切る。この感じが「エイス・グレード」のラストと同じ爽快感だったりします。

ループコメディですが、女の子の成長を書いている。あ、でもループコメディの大傑作にして代表「恋はデジャ・ブ」も、ビル・マーレーの精神的な成長をかいてますね。たぶん、ループものって、ループの中で主人公が成長していき、ループが終わったとき、文字通り次の世界のドアを開けるというのが王道な感じはしますね。

と、「エイス・グレード」を見たあとに、合わせて見ても面白そうな映画を紹介してつもりです。

ほかにも、ファントム・スレッドもスウィート17モンスターなんかも、上げたいのですが。。。

2時間通して主人公が変わっていき、新たな世界を獲得する。こういうプロットは映画の王道ですもんね。無理くり解釈すれば、ほとんどの映画が、成長して吹っ切れる系映画になりそう。。。

エイス・グレード、ゴーストワールドに似てるかもなぁと、思ってたのでちょっと書いてみました。

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