ドライブ・マイ・カーを見てきた。国際的にブレッソン影響下の典型的な邦画なんだろうなと思った。

黒沢的で北野的、とても浸れる3時間


ドライブ・マイ・カーを見てきた。
個人的には「邦画」があまり得意ではないけど、黒沢清や、北野武の映画はよく見る。そして、この映画も、師匠筋の黒沢清的なのはもちろん、北野武的で、3時間の長尺だけど、とても見やすかった。

そもそも、黒沢清も北野武も「ブレッソン」的と言われる役者から演技を抜いた演出方法が有名で、ドライブ・マイ・カーも劇中のシーンで、台本を読むときに徹底的に演技を抜くという演出がされていた。
多くの人が感じるように、これがいいのだと思う。

日本人だから当たり前なのだが、「邦画」は表情や言葉が伝わりすぎるのだ。そして、伝わりすぎて恥ずかしい。
そういうところの出力を抑えた演出だからこそ、映画に浸れるのだと思う。
ブレッソン的で、黒沢的で、北野的な3時間でとても良かった。


暴力のチラ見せがモダンな日本映画的でよい


もう一つ、突然の暴力。これもブレッソン的で良かった。
あまり画面の中心に来ないが、隠された形で激しい「暴力」が描かれる。
これは、北野映画の特に『あの夏、いちばん静かな海』や『ソナチネ』を見ているときの居心地の悪さ、アクセントに似ている。

とくに霧島れいかの暴力性。これは、また北野映画とはちがうアクセントがあったと思う。

『ドライブ・マイ・カー』が国際的に評価されてるのは、黒沢の弟子筋でありながら、先品的には北野映画の系譜によってきて、独特な作風担ってきたからではないかなと思う。

いずれにしても、黒沢、北野の次の世代として、今後も楽しみな監督だ。
ただ、そろそろ三池崇史の次の世代も知りたい。熊切和嘉監督なんかもそうなるかなと思ったけど違ったし、片山慎三さんも違うんだろうな。

ちなみに、ロベール・ブレッソンの『たぶん悪魔が』を劇場で見れるのが嬉しすぎる。

https://twitter.com/Bresson_films


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