今の政府に対して思うところ

今の政権を一言で表すなら「看板倒れ」といったところだろうか。
注目を集める看板を掲げては、庶民の思いの斜め雨上を行くまさに異次元の政策を打ち出したり、新しい看板を掲げた影で以前上げた看板をそっと下ろしていたり。

与党である自民党も裏金問題や統一教会との関わりありなど、このところ毎日のようにメディアでも批判され続けている。

自民党の政策も主に大企業に有利なものばかりと思うのは私だけだろうか。インフレによる物価上昇に伴い実質賃金の低下、ステルス増税と揶揄されているように控除の廃止、社会保障費の増額などの市民の負担増、資産倍増の看板を掲げNISAの枠を倍増も株価上昇には寄与しても内需拡大には向かない。なんせ消費ではなく投資になけなしの預金を回すのだから。

ガソリン税のトリガー条項の凍結解除についても検討すると言うばかりでなんの進展もなく、ついに国民民主党も協議から離脱してしまった。トリガー条項の凍結解除や何らかの減税についても経済連や財務省の反対で全く進まないと言われている(それが事実かどうかまでは私は知らないが)。しかし、減税に対して現政権が行う気がないのはこれまでの制作を見ても明らか。一応減税を歌って入るが、一度きり。つまり補助金によるバラマキと何ら変わらない。少なくとも経済連はトリガー条項凍結解除に反対どころか、消費税の増税まで主張している。

また、社会保障費の増は個人のみならず企業の負担金も増えるため、エネルギー価格、物価の上昇と合わさって余裕のない中小企業は益々、賃上げも難しくなっていくはずである。そんな政策を進めながら賃上げを現政権は歌っている。言動不一致も甚だしい。

世界でも様々な問題が起きている中で、日本は裏金問題など国政とは関わりのないところで問題を起こし続け身動きが取れない状態に陥っており、尖閣諸島でもますます中国が圧力を強めている。

露によるウクライナへの侵略戦争も3年めに突入し、ガザでの戦闘も収束する気配もなくむしろ、アメリカ軍も巻き込んでレバノン、シリア、イエメンなどへ紛争が拡大しつつある。北朝鮮も韓国と実質的には断交ともとれる声明を出し、以前よりさらに国民への統制をつよめ軍備拡大を推し進めている。隣国の中国も近年急速に通常戦力のみならず核戦力を拡大している。

ロシア、中国、イラン、北朝鮮、いずれもアメリカと対立する国家がか接近する中、むしろ民主主義国家群は分断が進みつつある。ウクライナへの支援もアメリカの支援の停滞から先細りつつあり余談を許さない状況が続いている。日本も直接支援は現状では無理だがイギリスへの砲弾の提供案なども聞かれたが果たして進んでいるのか、立ち消えになったのか。

ニュースではあまりにも砲弾の消費が多すぎ、日本がイギリスに砲弾を提供しても焼け石に水とアメリカの高官に言われたとか。まあ、たしかに日本の砲弾の生産力は欧州以上に貧弱なため事実なのだろうけど。

ウクライナが敗戦することになれば、アメリカの核の傘への信頼がゆらぎ、核保有の声が多くの国で高まると予測もある。確かにロシアの核の脅しにより支援が遅れたことも事実であり、結果、ウクライナが敗戦するようなことがあれば、ますます各保有国の発言力は高まるだろう。核に対抗するには核兵器を保有するしかないと考える人が増えても仕方がないことである。事実、一時期韓国では(実現可能かはさておき)核保有の声が高まっていた。

ロシアも核兵器の保有制限する新STARTの履行を停止。中国はそもそも加盟すらしておらず、北朝鮮の核武装と核兵器削減どころか近年ではむしろ拡大傾向にある。

世界が冷戦期以上に不安定になってきている。そのような状況で現政権は国民の信用を失い外交どころではない状況である。上川外務大臣が細々と活動を続けているようだが、現状ではあまり身動きが取れない状況だろう。

裏金問題に話を戻せば、説明責任が叫ばれる中、言を左右に未だに明確な説明は行われておらず、このままのらりくらりと逃げ切るつもりなのは明らかだろう。それが果たして許されるかどうかは次の選挙結果に現れるだろう。

検察の捜査にしても、秘書と会計責任者のみが処分される結果となった。国会議員で逮捕者は1名のみで追加で2名が略式起訴、在宅起訴となったのみ。

訂正された収支報告書に至っては不明、不明、不明・・・とあちこちに記載がなされている。果たしてそれは訂正なのだろうか。それが受理されるというのも恐ろしい話だけど。政治資金問題アンケートにかんしても、全く調べる気がないのが明白なアンケート。不記載があるか、不記載があるならその金額を明記せよ。たったそれだけの内容しか無いアンケートでり、アンケートの結果も不記載なしとのこと。まあ、結果を待つまでもなく予想できる結果である。

結局のところ、自主的に使途を明確にしている議員も沢山居るとは言え、お金の使途に関して最も不透明なのが国会議員というのはいかがなものだろうか。政治資金について少なくとも以下のようなものは実現してもらいたいものである。

・収支報告書のデジタル化による公開(一定金額以下は匿名を認める)
・調査権限をもつ第三者機関による監査
・連座制の導入

少し野党にも目を向けてみよう。野党第一党の立憲と第2党の維新が対立。立憲が共産党と協力関係を結んだことで立憲と国民民主も協力が難しくなり、国民民主から離島した前原氏のおこした政党と維新が協力関係を結んだことから維新と国民民主の関係も微妙な状態に。れいわ新縁組は汚染水などと中国政府と同じような主張を繰り返し、どこに向かっているのやら。

次の選挙で自民党が与党にとどまるようなら正直日本の将来は暗澹たるものしかないと思えるが、野党の方も相変わらず纏まりがない。野党第一党と第2党が対立する中、立憲と共産党が協力し始めた時点でこれは駄目かなと思えてきた。

大企業優遇の政策、また政策や法律の立案作成も日本では各省の官僚が行うため、とうぜん各省の事情に合わせた内容になりがちで、例えば財務省が立案すれば当然、それは国の財務を健全化することを前提に立案され、市民の現状を考えたものになるわけではない。それを政府や国会議員がそのまま受け取るなら国会議員の存在意義は一体何処にあるのだろうか。

日本は議院内閣制でああるため、内閣総理大臣を国民が直接選ぶわけではない。国民に選ばれた国会議員から選出されるため、間接的には民意が反映されていると言えなくもないが、果たして現在の政権がそう言えるものとなっているだろうか。正直、現在の政権を見ていると、日本も内閣総理大臣は国民による直接絵選挙で選び、政府と議会を分けたほうが良いのではないかと思えてしまう。もちろん、韓国やアメリカでの例もあるよう色々弊害もあるとはいえ。

最後にこの国の安全保障についても少し考えてみよう。確かに現政権の元、国家の安全保障に関する大きな改定が行われたのも事実である。個人的には十分であるとは思っていない。本気で考えるなら、憲法第9条についても真剣に議論すべきと思う。

この国を取り巻く現状は、戦後の冷戦期以上に厳しいものになっている。ロシアのウクライナへの進行に伴い、核保有国でもあるロシア、北朝鮮、中国は協力関係を強めており、いずれの国家も日本の隣国であり、必ずしも友好な関係にあるとは言い難い。

ロシアはもはや戦争に伴う戦時体制。つまり、総力戦の状態に移行しつつある。北朝鮮についても核武装をお行うのみならず、国内での国民の統制も今までにないレベルにまで高め軍事力強化に邁進し、韓国に対しても断交宣言ともとれる声明を発表している。中国についても共産党による国内への統制は以前より強まりつつあり、軍事予算も数十倍に跳ね上がり急速な軍備拡大路線をとっており、核兵器についても2035年頃までに米露にならぶ程になると言われている。

また、米中の対立とは別に、中国による尖閣諸島への圧力は以前以上に高まっており、中国の拡大路線は以前より遠慮がなくなってきているのも事実であり、ロシア、中国、北朝鮮の動向は日本も他人事として眺めている訳にはいかない。当事者なのである。

日本は長らく米国の軍事力の傘にかくれ、平和を享受し続けてきた。その弊害か、近年では多少変わってきたとは言え、戦争や紛争は何処か他人事として捉えている人も少なくないように思える。

世界最大の軍事力、経済力を持ち日本の唯一の同盟国であるアメリカもどんどん内向きになりつつあると言われる現在、日本も舵取りを間違えればあっという間に転落しかねない。今の政権にこの不安定な情勢を乗り切れるだけの力量があるか甚だ不安である。それはまた、日本国民自身の自覚も足りていないということもあるのではないだろうか。


2024年2月11日


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