日記:移動教室と息子の帰還

 先日のことです。仕事中、私のスマホに家族からメッセージが届きました。仕事中に家から連絡がくるということはあまり良いことがない。渋々画面を覗くとやはりでした。

 内容は、移動教室(臨海学校)で息子が熱を出したという知らせでした。ずっと楽しみにしていた旅行。千葉の房総方面に2泊3日の旅行。意気揚々と出掛けていったのに初日のお昼に体調を崩してしまったというのです。先生が病院に連れていってくれたのですが、体調が思わしくないということでした。

 慌てて仕事を切り上げ、家に帰ると、もう一度先生から電話があり、「やっぱり熱が38度あるので迎えに来てください。」と言われました。

「ああ、ダメだったか」。。千葉まで迎えにいくとは夢にも思っていませんでした。悲しいやら、面倒くさいやら、逆に面白いやら。複雑でした。妻も一緒に行ってくれましたが、モチベーションはどん底でした。
 夜の首都高を通り、東京湾アクアラインを渡り、木更津から奥地に進みます。真っ暗な高速道路を走り続けました。この道をまたトンボ帰りするのかと思うと切ない。なんだか懐メロが聴きたくなって昔の曲を流しながらひたすら目的地に向かいました。

 宿泊施設に着くと先生が迎え入れてくれました。周囲にはお風呂上がりの子供たちが楽しそうに騒いでいました。この楽しい雰囲気の中で帰らなければならないなんて。しばらくすると先生に連れられた息子がきました。普通に歩けたのでさほど辛そうではなかったのですが、明らかに浮かない顔をしていました。先生が症状を説明してくれたので丁寧にお礼を言って施設から帰ろうとすると、複数名のお友達が「帰っちゃうのか」「また学校でね」と声を掛けてくれました。が、息子は振り返りもせず車に乗り込みました。

 車に乗ると息子は「本当はもっといたかったよ。やりたいことがたくさんあったのに。」そう言ってしくしく泣き出しました。残念無念。何と声をかけたらいいのかわからず、「そうかぁ」とだけいいました。その後、息子はポツリ、ポツリとその日のことを話しましたが、次第に口を黙ました。車はどんどんと宿泊施設から離れていきます。海ほたるを通り過ぎる頃には息子は寝て静かになりました。私は一刻も早く家に帰りたくなり、首都高をひた走りました。23:00ごろ家に着き、みんな疲れて眠りました。

 翌日とその翌日、息子の熱は下がり元気になりました。しばしば「今頃みんな何してるかな」「鴨川シーワールド行きたかったな」と呟きました。その顔は残念そうでした。

 移動教室の最終日の夕方、息子は家を飛び出して行きました。帰ってくるお友達を小学校まで迎えに行ったのです。気になって仕方がなかったようです。

 しばらくすると嬉しそうな顔をして帰ってきました。お友達がたくさんのお土産を買ってきてくれたのだそうです。

 息子は「やっぱり持つべきものは友達だね。」「悪いことがおきると、いいことがあるんだね。」「なんかこんなにうれしいことがあると思わなかった。」と言いました。

喜んだ笑顔を見て心からホッとしました。旅の思い出は得られなかったけど、別の何かを得られたみたいです。

次回は体調を万全にね。



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