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オンデマンド交通概論

最終更新日:2022年2月20日

オンデマンド交通とは

オンデマンド交通とは、というところから始めたいが、オンデマンド交通はかなりサービス内容に幅がある。そこで、一旦小難しい話は横において、共通の特徴を以下に挙げる。

  1. 予約があるときのみ運行する

  2. 走行するエリアがあらかじめ定められている

  3. 独占利用ではなく、他の需要と組み合わせられることがある

1がタクシー寄り、2・3がバス寄りの特徴と言え、「バスとタクシーの中間のモビリティサービス」と呼ばれる理由でもある。

オンデマンド交通の分類

分類についてはこちらの手引きが詳しいので、一部抜き出して記載する。

運行方式

「手引き」では、4つの運行方式に分類している

A)定路線型
  予め定められたルートを運行
B)迂回ルート・エリアデマンド型
  需要に応じ予め定められた迂回ルートやエリアへ運行
C)自由経路ミ ーティングポイント型
  予め定められた乗降場所間をルートを定めず結ぶ
D)自由経路ドアツードア型
  決まったエリア内であれば、乗降場所をあらかじめ定めず運行 

「デマンド型交通の手引き」より引用、一部要約

運行ダイヤ

「手引き」では、3つの運行ダイヤに分類している

1)固定ダイヤ型
2)基本ダイヤ型
3)非固定ダイヤ型

「デマンド型交通の手引き」より引用

1,2は需要密度の小さい地域におけるバス代替手段として概ね確立されており、近年、MaaS実証の一部として各地で行われているオンデマンド実証は3の非固定型がほとんどである。

予約期限

「手引き」ではその他扱いだが、配車システムのテクノロジーの発展とともに、大きな変化が表れている要素に変化してきている。

大きく分けると、①事前予約型②リアルタイム型に分類され、予約期限がリアルタイムに近いほどユーザーの利便性は高まる。
どちらも配車システムが導入されていることが多いが、需要密度の小さい①は予約をもとに人手で運行を決めている場合もある。システムを介する場合は、①も予約期限が短くなりつつあり、②との差は小さくなっている。

①は一定期限で予約を締め切り、そこまでに入った予約をもとに運行を決める方式で、すでに社会実装されているものも多く、現在のオンデマンド交通の主流である。
一方、②は予約が入るたびにリアルタイムに運行を再計算し、配車を実施する方式である。近年各地でオンデマンド交通実証として急速に数を増やしており、様々な配車システムプレイヤーが参入してきている領域である。

重要なのは、どの方式が地域の需要特性に合っているか、ということであり、①より②が優れているということでは決してない。

近年の傾向

近年、スマートモビリティチャレンジ等の対象となっているオンデマンド交通の実証は、『(C・D)自由経路/(3)非固定ダイヤ』で配車システムを用いた①事前予約型か、②リアルタイム型に集中している。

事例に関する整理は別記事で詳細に考察したい。

以上

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