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M1輪講 第6回 力学問題としての化学反応

こんにちは!今回のM1輪講 担当のM1平田です!
こないだ大学のオープンキャンパスでポスター発表をすることが決まりました!結構楽しみなのですが、ポスターを作るのがとても大変そうです…頑張ります😤


2024/06/06
ポテンシャル地形からわかる生成物のエネルギー分配の様子についてみんなで勉強しました。また今後につながるような概念として、反応座標ハミルトニアンや断熱表現などを導入しました

生成物のエネルギー分配の様子について、簡単にですが説明したいと思います!
簡単のために$${ A + BC \rightarrow AB + C }$$型の化学反応を扱います。
この化学反応を衝突としてみて、古典的な計算をすることで化学反応の定性的な理解ができます。

ポテンシャル曲面と古典軌道の概念図

この概念図に書かれている等高線はポテンシャル曲面を表しています。また、太線は化学反応を衝突として見た時の原子の相対運動の古典的な計算の結果(古典軌道)を表しています。
右下からスタートするこの古典軌道は、まず初めはBC分子が振動しながらA原子に近づいている様子を表しています。曲がり角を過ぎるとB原子が移動し、AB分子として振動しながらC原子から離れている様子を表現しています。

このようにポテンシャル曲面を描き、古典軌道に注目することで化学反応の生成物が振動励起するなどといった現象を定性的に理解できます。

詳しい説明は教科書に譲りますので、もっと知りたい方はぜひ教科書を読んでみてください!

また引き続き一緒に勉強したい方も大歓迎なので、気になった人は馬場先生に連絡してみてください!


また今回の範囲の計算で少し理解ができなかった部分がありました。
それが教科書のp85、式番号(3.31)の部分です。断熱表現の展開係数の時間発展を表す方程式を上手く導出することができない問題です。

断熱基底$${ |\psi_n(t)\rangle }$$が時間依存するハミルトニアンの固有状態であるとします。

$$
\hat{H}|\psi_n(t)\rangle = E_n(t)|\psi_n(t)\rangle
$$

断熱基底を用いて、波動関数$${ |\Psi(t)\rangle }$$を展開することを断熱表現と呼びます。

$$
|\Psi(t)\rangle=\sum_n a_n(t)|\psi_n(t)\rangle
$$

今回の輪講会で問題になったのは展開係数$${a_n(t)}$$の時間発展を表す方程式(3.31)

$$
\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}a_n(t) = -\frac{\mathrm{i}}{\hbar}E_n(t)a_n(t) - \sum_{m \neq n} a_m(t)\langle \psi_n(t) | \dot{\psi_m}(t) \rangle
$$

を導出する部分です。シュレディンガー方程式

$$
\mathrm{i}\hbar\frac{\partial}{\partial t} |\Psi(t)\rangle = \hat{H}(t)|\Psi(t)\rangle
$$

の波動関数を$${|\Psi(t)\rangle=\sum_m a_m(t)|\psi_m(t)\rangle}$$と展開して、$${\langle\psi_n(t)|}$$を作用させることで式(3.31)を導くようです。しかしこの導出は$${ \langle\psi_n(t)|\dot{\psi_n}(t)\rangle = 0 }$$という関係が成立しないと、どうもうまくいきません。

$${ \langle\psi_n(t)|\dot{\psi_n}(t)\rangle = 0 }$$が成立する理由を30分以上議論をしたのですが、結局結論がつきませんでした。わかる人がいたら解説してくださると嬉しいです!!

議論の様子

感想

化学反応ってまったく物理ではないじゃんと感じていたのですが、今回の範囲の勉強でその印象は結構変わりました!力学問題として捉えるアプローチは結構面白かったです!
また、今回あまり触れていなかったポテンシャルの計算方法や化学反応における量子力学についてもとても気になります!今後の学習が楽しみです
ご覧いただきありがとうございました!

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