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光りろん研究室! B4輪講 第3回(密度演算子、電磁場の量子化、第二量子化)

こんにちは!横浜国立大学 光と物質の量子論研究室(略称:光りろん研) 新B4の大竹(おおたけ)です!

今回はB4輪講の第3回ということで、
越野和樹さんの「共振器量子電磁力学」で、1.1.7〜1.3.4を担当しました!


『量子状態』を記述するための『密度演算子』とは?

量子力学をはじめ学ぶ際には波動関数のシュレーディンガー方程式 $${\hat{H}\psi=E\psi}$$ を中心に学ぶと思います!
これらの量子状態$${\psi}$$は純粋状態と呼ばれています。
しかし、一般には純粋状態が混ざったような混合状態というのが知られており、量子力学のより広い記述が可能になります。また、混合状態は密度演算子を用いて表します。
純粋状態を $${ \ket{\psi_i} }$$ とすると、一般の密度演算子は純粋状態の確率混合として

      $${ \hat{\rho}=\sum_i p_i \ket{\psi_i}\bra{\psi_i} }$$

のように記述されます。

一定温度での調和振動子系の物理からボース統計が?

平衡統計力学で学ぶように、温度$${T}$$の環境下ではエネルギー固有状態が熱浴によって確率的な値を取るので、量子状態は混合状態として扱うことが適切です。密度演算子はハミルトニアンを用いて

                         $${ \hat{\rho}=\dfrac{\exp(-\hat{H}/k_BT)}{Z} }$$

と表せます。(演習問題:これが先ほどの密度演算子の確率に統計分布を当てはめたものと一致することはぜひ確かめてみてください!)

また、ハミルトニアンとして調和振動子系を選び、エネルギー固有値が$${n\hbar\omega}$$となる状態の粒子数の平均値は、量子統計的なボース粒子の分布に対応することがわかります。調和振動子系は何かボース粒子と深い関係があるのでしょうか?!(次節へ)

量子力学では電磁場が粒子に??

電磁気学で学ぶように、真空のMaxwell方程式から電磁波の波動方程式が導けます。しかし、これを光と呼んで終わりではありません!!

古典電磁場が現実世界と矛盾することがあるのは次週の内容ですが、ご存知の通り、物理学の基礎学問は量子力学なので、電磁場を量子化したいというモチベーションがあります。

実は、古典電磁場のラグランジアンが数学的に古典的調和振動子のラグランジアンと対応していることが確認できます。調和振動子系の量子化は基本的なので、そこから電磁場の量子化が行えるということです。そこで出てくる『粒子』のようなものを光子(フォトン)といいます。

光子はボース粒子であることがわかっているので、前節にボース統計が登場したのはたまたまではないことがわかります!

第二量子化とは??

先ほどボース粒子というのが出てきましたが、この自然界に存在する粒子はボース粒子かフェルミ粒子のいずれかであることがわかってます!
それぞれの粒子の多体系の量子力学を考えると、波動関数の『統計性』(波動関数の位相に関係がある性質)が出現し、これはシュレーデンガー方程式とは別に考慮しなければならない問題です。
そこで、第二量子化という量子力学の記述があります。登場する演算子に適切な交換関係を用いることで、統計性が自動的に成り立つことが保障されます。

最も単純な量子系??(2準位系の量子力学:1qbit系)

最も単純な量子系として2準位系が存在します。測定を一つ定めれば、観測される値は確率的に2値のみの系のことです。混合状態を含めて2準位系を考察するときに、ブロッホ球を理解しておくと、イメージしやすくなります。ぜひ量子情報などの教科書を見てみてください!


光と物質の量子論研究室では輪講に参加するメンバーを歓迎しています!共振器量子電磁力学などを勉強したい方、一緒に参加しませんか?
同大学の学生以外でも、また学生でなくても大歓迎です!またオンラインとオフラインのハイブリッド形式で行えるため遠隔地でも参加できます!

今回の投稿は以上です、最後までご覧いただきありがとうございます
演習問題の解答などについてはぜひ大竹(otake_shuntaro_zx@ynu.jp)に気軽に連絡してください!
次回は同じく新B4同期の高橋くんが投稿してくれます、楽しみですね!

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