ソフトバンクグループ3兆円超の大損失

業績が良い企業より、窮地に立たされた企業の決算発表に学ぶべきことはとても多い。株主や経済メディアからの凄まじいプレッシャーの中、会社の代表による言葉選び、立ち振る舞いが問われる。

孫CEOは、率直かつ丁寧な言葉でその状況と反省を淡々と説明されていた。決してごまかさない、責任転嫁しない姿勢はやはり素晴らしい経営者だと思います。

 何度も窮地を乗り越えてきた孫正義率いるソフトバンクグループ。AIによるイノベーションをビジネスモデルとする投資先への自信はこれまで全くブレる事はなかった。

 従来、金利上昇や為替変動による損失は「市場ノイズ」でビジネスの本質を崩すものではないとして来た。但し、今回ばかりはそのノイズはノイズに留まらず、会社の業績を窮地に追い込んでしまった感があります。

  インフレや金利上昇の影響を過小評価し過ぎたと思う。金利上昇はナスダックをはじめバリュエーションの高いハイテク市場を襲う事は容易に想像出来たはずだし、円安の進行も日米金利差を見れば必然のこと思われた。

 あくまで結果論だが、アリババ株の一部売却のタイミングが遅くなり過ぎたと思う。あと半年早く売却できていれば、ドル建て債務返済も済ませていたかもしれない。


 何度かソフトバンクGの決算発表会を見て来たが、今回ばかりは、自らの判断ミスを悔やむ悔しさに満ち表情を見た気がする。いつもの保有企業の本質的な強さに裏付けられた、強気の発言はなりを潜めた。

 ただ、このくらいでへこたれる孫さんではないだろう。逆境を毎回跳ね返し、必ず這い上がってくるのが本来の孫正義なのだから…ソフトバンクグループの逆襲に期待したい。




#日経COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?