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保護猫を飼う話

2019年6月頃に保護猫シェルターから猫を連れて返ってきた話を振り返ってみようと思う。

小さい頃に猫を飼っており猫が好きで、大人になったらどこかのタイミングで猫を飼いたいと思っていた。当時4月に部署異動があったのだが、異動した先の同僚に猫を飼っている人が多く、猫の話をよく聞くことから猫を飼いたい気持ちが強くなっていた。

ちょうど引っ越した1LDKのマンションがたまたまペットOKだったこともあり、同棲相手を説得して猫を飼うことを決めた。

さて、どこから猫を引き取るかと考えたときに、ペットショップは選択肢には入ってなかった。私も同棲相手もフルタイムで働いており、家を留守にすることが多かったことから子猫の世話ができないと考えたためである。ペットショップは大体が子猫だろうということで、どこかで成猫の保護猫をもらうのがよいかな?と判断した。

保護猫ってどうやってもらうのだろう?とネットで調べると、まず最初に出てくるのが「ペットのおうち」というサイトだった。

ペットのおうちは犬猫譲渡のマッチングサイトであり、譲渡が必要なわんちゃん、猫ちゃんがたくさん並んでいる。(更新頻度もすごく高く毎日新しく譲渡対象の子が追加されている)

ペットのおうちで猫ちゃんを探すにも、当時同棲中であった私は保護猫を探す上で注意が必要だった。多くの保護猫譲渡団体は、譲渡する猫が「良い環境」で生活できることを望んでいるため、「同棲カップルNG(別れる場合に猫を捨ててしまう可能性があるため)」という制限をかけている団体もいる(ちなみに一人暮らしや年配の方にも譲渡制限がある団体は多い)。そのため当時の私が選ぶ条件としては①成猫であること②同棲カップルOKであることを軸に探す必要があった。

ペットのおうちには「この猫ちゃんは今このくらい問い合わせを受けています」といった人気度数のような指標も見ることができ、血統書がついているような猫ちゃんや洋猫は特に人気なようだった。私は(たしか)あまり血統書では選んでいなかったものの、やはり見た目が可愛い子は問い合わせ数が多く、そんな子は競争でそもそも勝てる気がしなかったので問い合わせするのが躊躇われた。

どんな猫ちゃんと暮らしたいかなと考えながら毎日更新される猫ちゃんたちの一覧を見ている中で、シャム系の猫ちゃんで最近奄美大島から保護された猫に目が惹かれた。その猫ちゃんはその週末譲渡会に参加するということだったため、その都内で開かれているその譲渡会に同棲相手と行ってみることにした。

当日ワクワクしながら会場につくとそこにはなんと長蛇の列・・少し嫌な予感がしたが、列に30〜40分ほどならび、やっと順番になったので中に入ってみると子猫、成猫含めて10〜20匹くらいが譲渡対象として並んでいた。

その中でお目当てのシャム猫ちゃんを見に行くと、人がたくさんいるようで緊張しているようだった。その会場は抱っこなどはできないので、ケージごしからしか見ることはできなかったものの、やはり見た目もとてもタイプだったので、意気揚々と譲渡申請書をもらいにいった。ところが、団体の方からは、「この子は人気なので他の子も候補に考えてみてくださいね」と言われつつ、申請書を渡された。

その保護猫団体は「同棲カップルNG」というわけではないものの、申請書には「家族構成」、「賃貸か持ち家か」、「猫のお留守番時間」など、審査条件と思われる項目を記載せねばならず、うちのような同棲共働き×賃貸のおうちよりも、もっと条件の良いところから申し出があればその家庭に貰われるのだろうな・・と申請書を書きながらすでに感じ取っていた。申請書を渡すと、結果が出次第お電話しますねと言われ、会場を後にした

その夜、保護猫団体から電話がかかってきたが、結果はやはり他の家にもらわれることになったとのこと。がっかりはしたが、まあそうだろうな・・と思い、次を探すことにした。

少し落胆気味の私は次に「保護猫カフェ」に行ってみようと考えた。保護猫カフェのほうが比較的譲渡条件がゆるい団体が多い気がしていたのと(ちゃんと調べたわけではないが目に止まった保護猫カフェはそうだった)、保護猫カフェにまず遊びに行って猫ちゃんの性格を把握した上で引き取ることができると思ったためである。

結論からいうと、保護猫カフェを3店ほど周り、3店目にいた猫を引き取ることになった。

正直私は3店目の保護猫カフェでも再びピンと来る猫がいないなと思っていて、その場を去っていたのだが、家に帰るタイミングで、今まで私の気にいる子を飼えば良いよといっていた同棲相手が、「あの茶色くて毛の長い子を飼いたいな」と急に言ってきた。

どの子のことを言っているかは私もすぐわかった。その猫は茶色の毛で、おそらくペルシャ猫、緑色の目だが片目が曇っており、見た目が特徴的だった。あまり他の猫とは群れず、単独行動をしており、どこか目立つ存在だった。

「なんでその子がいいの?」と聞くと「自分にすりすりしてきたから」となんとも単純な理由。私は片目が曇っているというのが少し気になっており、もっと健康的な子が良いんじゃないかな・・と思っていた。だが、保護猫カフェを3店周って決められていない自分を考えると、もう自分じゃ決められない気もしてきていたので、そのペルシャ猫ちゃんのことをもう少し知ってみようと思い、保護猫カフェのサイトに行き、その子の写真を見返してみることにした。

その子は2018年11月からその保護猫カフェにいて、雄、推定3歳とのこと。サイトには写真のほかに動画も載っており、動画も見てみるとなんだかとてもかわいく見えてくる。不思議なものである。気づくとその動画を繰り返し繰り返し見ており、その子が今まで見た保護猫ちゃんたちの中で一番かわいく思えてくる。

「よしこの子にしよう!」

翌週その保護猫カフェに譲渡の申し込みを行い、面談をしてもらい(ここで一応は譲渡審査がされている)、無事譲渡が決まった。保護猫カフェのお姉さん曰く、「この子は多頭飼いには向かないだろう」とのこと。そんなたくさん飼える自信もないので、その面でも安心した。

その日は梅雨のど真ん中で雨がザーザー降っていた。猫ちゃんを新しく飼ったキャリーにいれて急いでタクシー乗り場に向かいタクシーに乗り込む。家についてキャリーをあけると、そーっとペルシャ猫ちゃんが出てきた。

すぐにソファ下に隠れていったものの、その夜にはリビングをくんくんしながら散策していた。

ようこそ、我が家へ!名前はペルシャ猫なので「ペル」になった。


当時のことをこうやって振り返ってみると、譲渡条件が合う保護猫団体を見つける必要がある点、ピンとくる猫ちゃんを見つける点から保護猫を譲渡するというのは結構大変だったなと思う。時間もかかるし、精神的にも上がり下がりがあった気がする。でもペルを迎えられた事、一緒に生活ができていること自体はなにものにも代えがたい。

今でも当時伺った保護猫カフェのサイトをたまに覗きに行くのだが、当時会った子の中でもまだ貰われずにカフェにいる子や、中には病気で死んでしまった子もいる。一方で私が見に行ったときにいた子が譲渡されたという知らせを見ると心のそこから「良かったねぇ」と思う。

ペットショップ以外の選択肢として、保護猫を検討してみませんかという記事など最近よく目にするようになった気がする。ただペットショップで売れ残った猫ちゃんたちも最終的には同じ運命をたどる可能性はあるわけで、なんとも難しいなとも思う。

今は色々なルートで猫の引き取り方がある中で自分にとってどの選択肢が良いかは結局はその人たちに置かれている状況によって変わってくる気がする。そんな中でよりたくさんの人と猫に良いマッチングが訪れるとよいなと思う今日このごろである。


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