進撃の巨人を読んだ。※33巻ネタバレ有

題名の通り、進撃の巨人を久々に読みました。
最後に読んだのは13巻なので、アニメの1期2期がやっていたあたりでしょうか。当時、私は学生でとってもハマっていましたが、勉強を理由に漫画を買うのを諦め、そのまま読まなくなってしまいました。
2期以降のアニメ化をしているのは知っていたのですが、途中まで買った漫画を読みなおして見ようと思い、それがネックになって、なかなか見ることもできず買い足すこともできず、今に至り。

2021年となって、今、読み返そうと思ったのには二つ理由があります。
一つは、今年、最終巻が出るというニュースを見たこと。正直13巻までもなかなかにヘビーな内容で、いつ誰がどうなるのかモヤモヤしながら読むよりいっそ、一気に最終巻まで読んでしまった方が楽なのかもと思っていたのもあります。なので、そのニュースは購入の後押しとなりました。
そして、もう一つ、ワールドトリガーを数年ぶりに読んだこと。なんで急にワールドトリガー?と思うかもしれません。ワールドトリガーは、進撃の巨人にハマった頃と同時期(ワールドトリガーの方がちょっと後かも)にハマっていた作品でした。ちょうど、2期アニメ化を記念し9巻無料公開をしていたのもあって、改めてワールドトリガーに触れ、凄い懐かしさを感じたんです。
その時にふと、『あれ、進撃の巨人って学生の頃、メチャクチャにハマってたけど今、どうなっているんだろう』と気になり、ちょうどいい機会だし買ってみるかと重い腰を上げるきっかけになりました。
(もしかしたら、ワールドトリガーと進撃の巨人を『未知の敵×バトルアクション×SF系』というジャンルに無意識にも分類していたのもあって、そう思ったんでしょう)







※この先最新巻含むネタバレ












いや、もう、凄いですね。
想像の先の先を行くような展開で、開いた口が塞がらないというか。進むたびにこう来るのかとただ驚くのと、先はどうなるのかとはやる気持ちでひたすらページをめくりました。
私は学生時、ジャン・キルシュタインをやや盲目的に推していて、今でも普通に推していますが、正直、よく生きてるな……という気持ちが大きいです。凄いね、ジャン……。
先を急ぐように読んだのでまだ全容を深く読み込めていないのですが、最終巻まで読みパッと思った感想は2つ。いじめの構図、そして、ジャン・キルシュタインという男について。語りつくされている感想でしたらすみませんが、とりあえず私の思った言葉として書かせていただきます。




いじめの構図。
進撃の巨人というストーリーは、その構図における真の登場人物は誰なのかを知るそんなお話だと思います。そして、『いじめられたらやられっぱなしでいいのか』と問いかけるような、『やり返すならどこまでやり返していいのか』を考えさせられるような話だと。※個人の主観です。

最初はこの登場人物をミスリードしていました。物語が進むにつれ、知り得なかった背景部分を知り、誰がどう攻撃しどう被害を受けたのか、ここに至るまでの歴史を整理していくと、本当に歴史の教科書をまとめているような気持ちになります。

エレンの視点では一応、13巻まではいじめっ子は巨人で、いじめられっ子は壁の中にいる私たち人間。そのいじめっ子によって不自由を強いられていて、巨人さえなんとかすれば、いじめられることなく自由。だから、『外』への探求心を抑えないで夢のある『外』の世界へ行こうとする。そんな風に、この物語を解釈していました。
(最も、壁の中と外という単純な構図以外にもいじめの構図は考えられるし、例えば、壁の中の居住区によって格差があり、内地の人々に虐げられるようなポジションであったかなと思います。13巻時点で、すでに壁の中での内戦の話へと進んでいましたし)

でも実際は、『外』には人がいる。いじめっ子は人間で巨人になれる人間を利用して、いじめられっ子をいじめていた。しかも、彼らはいじめられる子にはいじめられる理由があるからいじめていいと教え込まれていて、いじめっ子には同じ血の流れる民族も含まれているのがタチ悪い。
上記まではエレン含むパラディ島の視点ですが、マーレ視点(マーレだけでなく他の国々もそうかもしれません)からしたら逆のように思えるのでしょう。脅威なのはパラディ島のエルディア人で、彼らの存在があるから安心できないのだと。
最新巻まで読み進め、大分、胸糞悪い話になってきたなと思いますが、でも、よりリアルな話ですよね。(マーレ編でユダヤ人迫害の映画を思い出したりしました)

最後の最後までエレンの真意は見えませんでしたが、最終的に明らかになったエレンの選択は本当にエレンらしいもの。最初から見ていたエレンと何ら変わりないエレンらしさがそこにはあって、変な話、ホッとしました。
外野がどんな難癖を付けようとも自分たちにとっては不当にいじめられていたことに変わりなく、自らが屈することは決してない。一貫していますよね。普通はここまで一貫して意見を通すことはできない。悔しくとも相手に同情したり、妥協を許したりする。もはや狂っていると言ってもいい。だから、初期の調査兵団メンバーたちはエレンを止めに行ったんだと思います。

単純ないじめに落とし込んで考えたら、『クラスでいじめられたからその学校にいる全校生徒並びに教師全員を殺してしまった』ぐらいの勢いある話です(※比喩)。この文章だけ見たらやりすぎだよと言いかねないし、実際にこんなニュースで見たらやばい奴だと思います。でも、それは他人だから言えることで当事者としたら関係ない。

『そんなの関係ねぇよ』『今までさんざんにやりやがって』『絶対許さないからな』

エレン・イエーガーはそんな怒りの声を抑えないカッコいい奴であり、今まで我慢していた人にとっての痛烈な救いでもある。救いなんて本人は意図していないし、やっぱり狂っていることには変わりないんですけどね(※個人の感想)。

いじめの構図とらえ冗長に感想を書いていきましたが、まあ、単純に言ってしまえば、身近ないじめ問題や対人関係上でのトラブル、もっと言ってしまえばニュースでやるような世界の諍いを、考え直すような読了感でしたということです。そして、その際に怒りを持ったのなら、(他人に迷惑をかけてもいいとは思いませんが)それを無理に許さなくてもいいのかなと。
あともう一つ、エレンがライナーに言った「お前と同じだ」というセリフ。平たく雑に解釈すれば、同じような行動をしても立場によって容易に受け取り方が変わるということ。当たり前と言えばそうですけど、大事だよなって思いました。




ジャン・キルシュタインという男。

進撃の巨人にハマった学生の頃、限定版13巻を買うくらいには本当に好きでした。今も好きですけれど。一回では全てを語りつくせる気がしないので、とりあえず思ったことを取り急ぎ。

ジャン、めちゃくちゃ変わってしまったなと。

ジャンだけではなく、コニーやサシャも随分変わってしまいましたね。特にそう感じたのはレベリオ奇襲編です。王政編でジャンが憲兵側の人間を殺すことに躊躇してしまい、逆に殺されてしまいそうになるシーンがありました。それがレベリオ奇襲編ではちゃんと敵を人間だと理解して『戦争』していて。戦闘シーンのカッコよさを感じるのは勿論、同時に何とも言えない気持ちにもなりました。巨人との戦いでも十分に死線をくぐってきたというのに、これ以上に戦い慣れしてしまうのかと。苦しい。

もとより彼はごく一般的な家庭に育ち、努力家で、自分に正直な男だと解釈していました。反感を買おうとも、自分に嘘をつかない。正直にものを言えるだけの視野の広さがある。だから、楽をするために憲兵を目指していた。訓練兵時代を見れば随分と嫌味な奴でしたが、成績上位者に食い込むのを見れば相応の努力はしているんだろうなと。
そんな彼が調査兵団へと進むきっかけとなるのは紛れもなく親友の死で、この影響が本当に大きかったんだと最新巻を読んでしみじみ思いました。最後の最後、余生を楽に生きれるからという理由でイエーガー派に寝返ろうとしちゃうの本当にジャンっぽい。でも、“彼”を裏切る選択はしたくないっていう気持ちで、エレンを止めに行く選択をするのもまたジャンっぽいんですよね。うまい言葉が見つからないんですが、この、生きる上での怠惰さと勤勉さで揺らぐ感じ。これが彼らしさかなと思いますし、こういう人間らしさが好きですね。
ただ彼を、そして自分を裏切りたくないという思いで生きている。きっと彼が死ぬことが無ければ、今存在するジャン・キルシュタインにはなりえなかったと痛感します。マルコには生きていてほしかったですけどね、本当に。

彼の死をもって本当に逞しく育ってしまったとしみじみ思う訳です。
これが19歳って本当ですか?やっぱり展開辛すぎません?

学生の頃はもっと本編が進んでいない分解釈の余地があって、どう転ぶのかわからないハラハラ感とともに彼のことを推していたのですが、あの時推そうと思ったジャン・キルシュタインはもういないのだと。ニコニコ動画でネタ扱いされ、好きな子の気を引きたくてエレンに散々ちょっかいをかけ、“普通”の人間を凝縮したようなあのジャン・キルシュタインは。

けれど、あの時以上にジャン・キルシュタインという男はカッコいいし、好きだなと思う気持ちは変わらないので。ああ、最終巻でどうなってしまうのかな。


先が気になりすぎて雑に読み進めたので、最終巻出るまでにはもう少し深く読み直したいですね。久しぶりに13巻限定版OVAを見て、アニメ見たくなっちゃうし。アニメの方で見直すのもアリかもしれない。皆さんもぜひ。

P.S.
最初に名前を出したので。アニメと言えばワートリ2期も忘れずに見たいですね。漫画のおかげでキャラクターもゆっくり思い出してきましたし、展開も気になるところ。

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