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詩 まぼろし

幽霊になりたかったんだ。
誰にも知られずに
息をしていたかった。
わたしの
髪の匂いも
瞳の色も
手の冷たさも
誰にも教えずに
閉じ込めておけたらよかった。
わたしを愛するには
それしかなかったのに。
わたしのこころは
きみにはわかんないよ。
言葉に預けて
仮初のこころで満足して
わたしをまるで全部
知り尽くしてしまったみたいな
きみの表情がすきだ。
わたしはもう
あとは消えてしまうだけ、
きみに夢だと思わせるだけで
ひとつの季節が終わります。
幽霊になろう。
美しくて曖昧なまま
浅く浅く息をして
誰にも知られずに
消えていけたらいいのに。

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