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『石の辞典』 感想

矢作ちはる著、内田有美絵『石の辞典』。百余りの鉱石について、シンプルに絵と文で紹介した本。何故手に取ったかというと、この本では写真ではなく絵を使ってすべての石を紹介していて、その絵があまりにもいきいきと、まるで詩のように輝いていたからです。石に息吹すら感じられるよう。

添えられた紹介文も科学的というよりもっと親しみやすく、この石がどのように発見されたか、どのように人々を魅了してきたか、生活のなかに息づいているかといったことを伝えてくれました。

それを通して私は、その石を使って化粧をしたり、美術や装飾品を生み出したり、科学製品の部品にしたりする人々のことを思い描かずにはいられませんでした。石にまつわる伝説や、魔除けとしての石の意味。考えてみると、地球上にこれほど豊かな石の資源があるってとても不思議ですね。

石は石としてそこにあるだけなのに、人間はそれを生活に役立てようとか、あるいは美しいとか、いろいろな意味を見い出します。そういうことをするのってやはり人間だけなのかなと思うと興味深いですが、美しい石たちを眺めると私もどうしてもそこに名前をつけずにはいられない気がします。

追記。絵を担当された内田有美さんのイラストがあまりにも素敵だったから、ほかにはどんな絵を描かれているのかと思って検索しちゃいました。雑誌などに食べ物の絵も描かれているみたい。写実的なのにどこか親しみがあるというか、あたたかみを感じるというか。とにかく素敵。


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