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 日々の信仰として
 たてがみに触れるときの
 いらだちに似た感情の
 その名前を
 わたしは発音できない

 語族といとしさについて
 考えるとき
 時差は草原に似ている

 日々の信仰として
 わたしたちが草地にすわるとき
 発音できない名前が
 夕暮れのかたちをして
 あなたは灰色
 湖畔で
 亡霊が
 灰色をなげかけてくれる

 吐瀉は
 湖岸で
 ひとり行うべきだったかもしれない

 いらだちに似た感情の
 名前を吐き出そうとするとき
 東から押し寄せてくる文脈が
 馬のかたちをして駆け抜けてゆく
 そういうとき
 あなたは押し黙ってしまっていい

 日々の信仰として
 草原をさまよって
 時差を回収しては途方に暮れる夕方
 あなたは
 湖畔で誰かの背中を撫でなくていい

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