日記(9/16〜22)

月曜日
 故郷に関する屈折した感情みたいなものは結局もとをただすと親族に関する感情なのかもしれないと思う。やさしさみたいなふんわりした言葉で絡め取られて動けなくなる。卒業したら戻ってくるんだろう、と言われて自分はすっとぼけて「いやわかんないっすね〜」と返すことができる境遇だが。選択肢があるだけ恵まれているかもしれないが、難儀なことである。

火曜日
 近所の栗の木の実がいい感じだった。緑と茶色がグラデーションになっていてきれいだ。

水曜日
 ずっと書きすすめられない詩がある。しかるべき時期が来たら木から実が落ちるように言葉が降ってきて書けるだろうとは思うけど、じりじりしてしまってファイルを開いたり閉じたりしている。

木曜日
 空港。基地が隣接する空港で、戦闘機を見ることができた。自分はぜんぜん詳しくはないが、家族が戦闘機に詳しいので、幼少期から航空祭に連れて行かれたりしている。轟音を置き去りにして飛んでいくのを見ると、性能も、乗ってる人の技術もすごいなと思う。高速道路で100キロで走るのもおっかなびっくりなので、素朴に凄すぎると思う。それと裏返しというか、隣接した感情として、有事にならなければいいな、と思う。

金曜日
 髪を切る。美容院でまともに会話できない。話を振られてもオチもおもしろみもない話をモソモソと喋るだけであり、美容師さんに申し訳なく縮んで消えていなくなりたい。

土曜日
 空気が冷えている。肌寒いのは嫌だけど、紅茶がおいしく感じる。暖房をつけたいけど、カレンダーを見てもまださすがに時期じゃないかなと思った。

日曜日
 なんだが寒くて眠い。朝起きて着替えするのが億劫で、アラームをとめてそのまま二度寝した。11時くらいにやっと起きて、適当にカップラーメンを食べて文学フリマの会場に向かった。
 文学フリマに行ったのはこれが初めてだ。出展者としても来場者としても来たことがない。今回は来場者だった。
 なんかいいエナジーみたいなのが漂ってて、雰囲気のいいイベントだなと思った。べつにネットで売り買いもできる時代だけど、売り手と買い手がこの距離で交流できるのは魅力的だ。ただ、私のコミュニケーション能力の低さが売り手との距離感に気まずさを発生させていて、自分が文フリに向いてないなと感じた。勇気をだして何冊か買わせてもらった。じっくり読む。

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