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名前のないふたり#泊まり

|1日目|

今回はグランピング🕯
彼とはここ2年くらいお出かけしてるけど、初めての泊まり。

朝は雪が降っていた。
いつものように、彼は車で私の家の近くのコンビニまで来てもらって私はそのコンビニまで走って向かう。走っているのは慌てているときもあるし、早く合流したいからというときもある。そして、「走ってこなくても大丈夫だよ」って苦笑いする彼の顔が見たいっていうのもある。そしてそのコンビニでいつものように彼の好きなグミと飲み物を2本買って車に乗る。

私たちは、やりたいことは楽しみ尽くす。
子どもがときめくアクティビティに私たちもときめいてしまう。今回の宿泊先は、"泊まれる学校"

チェックインまで時間があるから、制作体験をする。

キャンドルを作って、スタッフさんがおすすめしてくれたご飯屋さんでランチして、それからオルゴール美術館でゆったり過ごした。

音楽大学出身のふたりなので、仕組みとか歴史とか、興奮気味な会話が弾んで割と楽しかった。

チェックインしたら、私たちは貸切で使える体育館で遊んだ。ちなみにふたりとも20代の大人。本気の卓球は私が勝ったし、バレーのラリーは10回目標で頑張ったけど7回でギブアップした。フラフープを何個まで回せるかとか、回っているのをくぐれるかとか。そんなことをしながら過ごした。そして夜ご飯。バーベキューもできるけど、私たちは室内で鍋をゆっくり食べた。それから、かつて放送室だったカラオケルームで歌って、私たちが泊まるヴィラに向かう。

お風呂は交互に入る。どちらがそれを言うことも無く自然にこういうことはクリアできる。ふたり並んで歯磨きをしていたら「もうほぼ暮らせてるよね」と彼は呟いた。夜はふたりで1枚の毛布にくるまって映画「花束みたいな恋をした」を観た。そして各々ベッドに入って、眠くなるまで話す。今日作ったキャンドルをベッド横のテーブルに並べて灯りの揺れを眠くなるまで見つめる。

|2日目|

明け方、寒くて目が覚めた。「さむっ」と声に出してしまうくらい寒かった。2月の那須は寒い。モゾモゾしていたら「起きたのぉ?」とすこし掠れた声が聞こえた。「寒くて起きた」と言うと、「僕のところあったかいよ」と言って「こっちくる?」と隣を空けてくれた。結局、私が使ってた布団を彼のベッドに持っていき、そこで二度寝した。くっついていても、彼は無防備にいびきなんかかいて寝ている。私は思わず笑ってしまった。今同じベッドで寝てるのに私が苦手とする流れにならない。彼はいびきかいてぐっすり寝ている。最高だ。幸せに満たされながら二、三度寝くらいしたら朝ごはんをふたりで作った。明け方の寒さからすっかり変わって陽気が気持ちよかったので外のテーブルでご飯を食べた。

チェックアウトしたら、昨日予定していたけど天気が悪くて行けなかった場所へ行く。

家族連れが多い中、子どもたちに紛れて遊び尽くす。この日は、夕方からお互い予定があるため半日で解散の予定。

帰りの車で「ふたりで暮らしたらさ〜」とか、「もし子どもができたらさ〜」とか、随分曖昧な先の話をしたり「こういうことができるのってうちらだけだよね」と、私たちの関係を語り合ったりした。

「泊まり」と聞くと大体家族は騒ぐ。しかし私たちはカップルではないし、彼はゲイなので大したことではないと思っていた。私の母は、彼の事情を知っているので「いいね!」くらいだったが、彼のお父さんはそれを知らない。「泊まりなのだから、相手のご家族に挨拶してきなさい」と言われたらしい。結局、家まで送ってもらって、私の母と話をして、解散した。

この歳になると「結婚」というワードが飛び交うようになるが、私たちも考えていないわけではない。仕事のこともあるから「27歳になったら結婚したいね」とふたりで話した。できるかどうかだって分からない。だけどこの先、私たちの未来は「大丈夫」だって確信がある。

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