「ヒトノカタチ」-プロローグ-
遠い未来、人類が地球を飛び出し、広大な宇宙に生活圏を移した時代…
そんな中のある地球に似た惑星、ジパング613(ろっぴゃくじゅうさん)と言われる惑星がある。
この惑星で、不思議なことがある
一見するとまるで地球が最も輝いていた時代、地球世紀20~21世紀ごろの都市、生活が広がっているのだ、しかもこれがテーマパークではない、まさにここの住民はそんな時代のころの生活をしているのだ。
そしてそういう世界を支えているのが一見すると人間と寸分変わらない姿、仕草のアンドロイド---ここの人たちはそれらと寄り添う生活をしている。
広く散らばった多くの人類社会は長い開拓時代や大戦の間にそのような”人間らしい”物を失ってしまい、そういうのを不要とする社会を作っていた。しかし、ここの住民は違った。地球を飛び出す直前に多くの記憶、要素をかき集め、この惑星上に展開した、そういう社会を成り立たせるために不可欠な存在としてアンドロイドを受け入れ、寄り添い、共に生活する---そんな社会を構築した。
ここの住民たちはそれらアンドロイドは労働力として、生活の糧として、そしてかつての人間らしさを再現するパートナーとして受け入れ、ともに生活している。
そういう社会を無駄だと思う人も中にはいる、しかし多くの人は失われた”人間らしさ”という何かを追い求め、そして人間の姿をしているが人間ではないものとともにそれらを投影し、それを良しとしている。
そんなこともあり、この惑星には多くの観光客が訪れる。多くの人にとっては失われた生活や文化は今や教科書などでしか見ない珍しい雰囲気として楽しんでいるのだろう。
そしてそんな世界の中で、かつて地球上にあったという山岳信仰をなぞるような「ジパング富士」といわれる山の裾野にある高山都市…フジヨシダ---そんな都市の生活を守るヨシダ警察ロボット部、様々なロボットの事件などを扱うこの部署の中のひとり、レイア。彼女もまたドロイドを始めとしたロボットの秩序を守る一人である。
これは、彼女の周りで起きる生物とドロイド達との悲喜交々な出来事の物語である。
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