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フィードバックの極意⑤「内観と自己開示をサポートする」

「とても有意義な時間だった」
会議やミーティング、コミュニティや勉強会。人と人とが集まる場において、「良い時間だった」と感じるときと「時間の無駄だった」と感じるとき。いったい何が違うのだろう?

様々な要因があるけれど、一つの仮説として浮かび上がってきたのが
「参加者のフィードバックの力」

「一人ひとりのフィードバック力が上がると、場の価値(時間的価値)が上がる」
「フィードバック力が高い人が集まる場は、良い場になりやすい」
「ではフィードバック力を上げるには、どうすれば良いのか?」

そんなことを思った著者が感じた、身近なフィードバックの達人にフィードバックの極意を教えてもらうこのコーナー。

第五回のゲストはヨクスル株式会社代表高木正和さんです。

野見「高木さんのフィードバックって、とても分かりやすくて面白い。それでいて相手に対して大きな気づきを与えるような印象があります。高木さんが思うフィードバックの極意って何ですか?」
高木「相手の内観自己開示をサポートすること。これに尽きると思います」
野見「おー、なるほど! ちなみに内観とはどういう意味でしょうか?」
高木「自分の心との対話のことです。今、何を感じているのだろう? なぜそのように感じるのだろう? こうした問いを自分自身に向けることを内観と言います」
野見「内省は省みると書きますが、内観は観ることですね、ありがとうございます。内観を促し、そして自己開示?」
高木「はい。自分の内側に何があるのかを気づいたら、今度はそれを表に出して表現する。感じたままを外に出す。相手の内観と自己開示を促す。これをフィードバックの時には常に意識をしています」

なるほど! まずはその人自身が自分との対話ができるような、的確な問いを投げる。そして相手が自分との対話をして感じたことを、自己開示しやすい雰囲気を作る。ただ、特に初対面の人だったりすると、いきなり自己開示をバンバンするというのは難しい気もするのだけれど……。

野見「すごく分かりやすいです。ただ、自己開示ってレベル感がありますよね? 自己開示を促すコツみたいなものはありますか?」
高木「はい。自分の体験を話す、つまり自分も自己開示をするということです。そのときに意識するのは時間軸です。自分の過去の体験は、今はもう傷が癒えていたとしても、当時は苦しかったはずです。その時の感情を再現して伝える。当時10段階で8とか9くらい苦しかったとしたら、それを伝える。でも今は2くらいだとしたら、それも伝える。当時は8か9くらいだったけれど、今は2くらいですよと。これが時間軸を意識するということです。そして人によって体験のレベル感も違うと思うので、感情レベルの変化を意識して表現することが重要やと思います」

なるほど! 同じ体験をしたとしても、それに対してどう感じるかは人によって違う。レベル感も違う。ある人にとっては死ぬほど辛いと感じたとしても、他の人からしたらその体験だけを見たら大したことないと感じてしまう可能性もある。虫が死ぬほど嫌いな人は、玄関のドアノブに虫がいただけで卒倒しそうになる。感情レベルで言えば8か9だ。でも虫を特に何とも思わない人からしたら、そんなの大したことないじゃんと思ってしまいがち。そうではなくて、自分の感情レベルの8か9の出来事を思い出して、それと同じくらい辛い体験だったのだと理解をすれば、共感を得られやすいし、自己開示に繋がりやすい。

まとめると、フィードバックは相手の内観と自己開示のサポートをすること。その際に意識することは、感情レベルの変化を意識し、自分の体験を伝えるときには時間軸(当時の感情レベルと現在の感情レベル)を伝える。これは今日からでも常に意識して取り入れていこう。

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