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日記 2021.9.22.


・1

水筒の水を飲もうとしたら、飲み口に昨日の茶葉がこびりついててびびる。洗ったつもりのままもってきてしまったみたいだ。

・2

パソコンで作業をするわたし。この痕跡は次にこの席に座る人には残らない。物語からもれてしまった物語がいま紡がれているのだなと、物思いにふける。(手は動かしながら…!)

・3

リーダーの神谷さんが、応接スペースを使いやすいように整えている。わたしの代わりのスタッフさんが見つかったのかな? 面接があるのかな。

・4

トイレに向かう途中、神谷さんが社員食堂へ昼食の予約表を出しに向かっていた。(うちの事務所の昼食は、おおげさにいうと受注生産だ)  後ろから、「ありがとうございます」と声をかけたかったが、できなかった。(その後、神谷さんがわたしの席の近くで段ボールをごそごそしていた時に、ちゃんとお礼をいえた。)

・5

トイレから出ると、いつも社内便を届けてくれる服部さんが、窓の外をみていた。こちらの視線に気づいてはっとしていた気がする。なにをみていたんだろう? そういえば、いつもはわたしが先にするあいさつを、今日は服部さんが小さな声でしてくれた。

・6

わたしの席の真向かいさんと、おとなりさんは、今日お休みだ。気をつかわず自分のためだけにエアコンを消せる。よっしゃー!と一瞬よろこぶ。それはそれでせつないなと、ちょっとへこむ。 

・7

生理がきていた。チョコレートが食べたい。でもそれはきっと幻想だから負けたくない。けど、このお腹の嫌な感じから目を反らすために食べるのも作戦のひとつかもしれない。迷う。

・8

サブリーダーの福永さんが取次ぎの電話に出る。電話の相手が名乗り終わると「ああ、お疲れ様です」と必ずいう。 掛けてきた相手が誰なのか事前にわかっているはずなのに、「ああ、」が付いてしまうのは、ずっと不思議でおもしろい。(たぶんわたしもやっているんだろう)

・9

外階段に出て一息つく。見下ろすと、木の葉に隠れて、なぞの物体がなめらかに素早く移動していた。正体はハトだった。あの首を揺らす動きが見えないと、こんなに早く歩いているのがわかるのだな。

・10

コピー用紙を届けに配達員さんが元気よく入ってきた。荷物をおろすとその荷物にこけた。神谷さんに「もう年だとだめですねえ」とはにかんで言った。ほほえましい光景だった。

・11

いつもおだやかな雀部さんに声をかけられた。「あ、わかりました~~」と返事したのだが、妙に取り繕っていてちょっと気持ち悪かった。

・12

福永さんの電話が鳴る。以前一緒に仕事をしていた樋口さんからだ。わたしよりひとつ年下の女の子で、同い年の人がいなくなるのはものさびしいと話してくれた。元気かな。

・13

トイレに向かう途中、服部さんが眺めていた窓に目をやる。いつもみる高架橋が、穴から雑草を吐き出していることに気がついた。草目線でみてみると、吐かれている様子はないようにみえた。

・14

メンバーの中でも一番人物像が掴みきれていない福永さん。パソコンのデスクトップが、ダイバーが緑がかった水色の海を泳ぐ様子を写した画像だった。ダイバーの正体は福永さんなんだろうか。趣味はダイビングなのだろうか。そういえば、ほどよく肌が焼けているのが第一印象だったな。

・15

観察が好きなわたし。この観察を外に出してかたちにしたいはずなのに、結局さらしたくなくなるのはなんでだろう? と考えた。自分の感性を守りたいからかもしれない。それほど大切なのかもしれない。

・16

それに付随してこんなことも考えた。わたしは、他者に自分のことをしゃべるのが苦手だ。特に、「何をするのか」という問いに答えるときは。それは○をするわたしの裏に存在する、△□◇をしない自分たちも大切にしたいからというのが一理あるのかもしれない。問いに答えることは、△□◇をしない自分をいたわれない。このモヤモヤに対する答えはまだ出ていない。

・17

お昼休みの時間だ。食堂常連の神谷さんと一緒に食べるのだが、特に約束をしているわけではない。なんだか妙にそわそわして、ほんとうは一人で食べたいんじゃかいのかとか考えて緊張する。キーボードをたたいた指が若干強ばっていた。

・18

お昼を食べ終わった。食器を水をはったシンクへ戻す。その前に、シャワーでお皿に残った汚れを流す。水が流れる先に残飯をためるザルが置いてある。神谷さんとの会話に集中していたのかそこに食器を流してしまった。ごめんなさいと謝ると、食堂の女性は大丈夫ですよと言ってくれた。その流れで、神谷さんが、食器をシンクの水に沈めておくのと浮かべておくの、どちらが助かるのか聞いていた。食堂の女性は、沈めておくほうが助かりますと答えていた。食堂で働く人との、普段は食事を受けとるだけの関係性からじんわりと抜け出せたのがうれしかった。


・19

お昼休みの残り時間は自分のデスクで本を読んで過ごした。わたしの職場は12:00~13:00を目安として、各自のタイミングで1時間の休憩をとる。わたしはぴったり13:00~はじめる予定だったが、本の世界につかって5分遅れた。あせった。

・20

神谷さんのところに作成した書類を置いていく。トレーに置く方式で、「お願いします」と声をかけることもあまりない。お昼休みにある関係性とは離れた白々しいわたしを感じた。

・21

人に間違いを指摘するのは難しい。特にテキストだと。やってくれたことへの敬意を示すことと、適度にしっかり仕事をするよう促すことのバランス。たった2行の分に15分時間を捧げた。どっと疲れる。伝わるといいな。

・22

福永さんの画面がスッゲー早さでチカチカしてた。まばたきするように画面が白く光っていた。普段からこういう仕様なんだろうか?

・コンビニに行って、生理用品を手にいれたい。(忘れてきてしまった) 仕事中に外に出たことはないからソワソワする。10分とある程度長い時間席を外すから神谷さんに言ったほうがいいのかな? いやでも福永さんとかはタバコ休憩で10~15分くらい席を外すことがある。そんな感じなら言わないでいってもいいのか? ソワソワしまくった結果、言わないで行ってみることにした。結局道中もソワソワした。

・23

福永さんさんが電話をしながら立ち上がった。一歩、歩いた。また一歩、あるいた。ゆっくり、ゆっくり、廊下を出る。いつもはスタスタ行くから不思議だった。電話からなにか感じとるものがあったんだろうか。 

・24

1ヶ月前に異動してきた河嶋さんが書類を持ってきてくれた。だが不備があったので確認してもらった。訂正するのに使う修正テープを持ってこようと、河嶋さんは自分のデスクに戻ろうとした。わたしはそれを引き留めて、その場にあったシャーペンで二十線をひいて対応した。河嶋さんにとって、助かったのか迷惑だったのかはわからない。けれど、おせっかいをするのが苦手なわたしにとっては、小さな前進だった。 

・25

勤務おわり、トイレでとある記事をみる。作文に関する記事。自分のためだけの作文は、わたしをすくってくれる。みんなに開かれた作文も、わたしをすくってくれる。納得とつっかかりを抱えて、作文についてああだこうだ思いながら、電車に揺られる。

***

今日はこんな感じ。後半は体がつかれて、気づくアンテナがあまり作動しなかった。

おやすみなさい。


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