映画『きみの鳥はうたえる』から学ぶ誠実と不誠実

恋愛において誠実な人間と不誠実な人間どっちを取るだろうか?

答えは簡単100人いれば98人が誠実な人間と答えるだろう。残りの2人はただの不誠実である。

ここでの私が言う誠実の意味は自分の感情に素直であり、裏表がないことである。つまり不誠実とは自分の感情に対してひねくれている、または自身の感情がわかっていない。素直ではないということだ。

この作品はあくまで一個人の見解であるが結局は誠実な人間が人に好かれるということを表していると思う。

登場人物は大まかに僕、静雄、佐知子の三人である。

僕は佐知子と付き合っているのかそうでないか曖昧な関係だ。セフレとはまた違う愛情はあるがあまり束縛のない緩い関係である。なので僕は佐知子が僕の同居人である静雄と二人っきりで出かけても気にもしない。そんな付き合いをしている。しかし佐知子は僕の愛のない言動に少しうんざりしている様子だ。

僕と佐知子は同じ勤務先の書店で知り合ったのだが、佐知子の元彼も同じ書店の店長でありまだきちんと別れ切れていない状態であった。そのことに対して佐知子が僕に悩ましそうに話すと「そんな大げさなこと?」「だって遊びみたいなもんでしょ」と返事をする。この発言に佐知子は軽蔑してるの?と苛立つ。

また別の二人の会話のシーンでは僕が店長から「佐知子のこと大事にしてくれって言われちゃった」と伝える。「それに対してなんて答えたの?」と佐知子は疑問を口にするが「別になにも。」と返す。普通ならばこの答えはないだろう。案の定佐知子は不服そうな表情を浮かべる。

ここまで書いてある程度僕の性格と佐知子の関係性が理解できたのではないだろうか。

さらに僕の情報を加えるならば、佐知子との約束を忘れる。バイトをサボり気味である。佐知子からお金を借りている。適当なやつだと社員から言われる。万引き犯を追いかけない。

つまり僕はこの映画の中で不誠実な存在なのである。強いて言えば特に佐知子に対して不誠実である。好きなのかそうでないのか言葉に出さず、しかし佐知子の肩に腕を回したり、抱きしめたり、と、行動と言動が伴っていないのである。

ではそれに対して静雄はどうだろうか?

幾分佐知子視点にはなってしまうものの彼はコンビニのカゴを持ってくれる。「このシャツいいね。」「すごい好き。」と、服を褒めてくれる。変な楽器の趣味もある。キャンプも一緒に行ってくれる。僕と佐知子を気遣って遅く帰ってくる。二人っきりのシーンは少なかったものの佐知子にとって静雄は誠実な人間であった。

さて、自分が佐知子だったらどちらを取るだろうか?

言わずもがなだろう。

そして案の定佐知子はカフェで僕に静雄と恋人として付き合うことにしたと伝える。そのことに対しても僕は「うん。」「言われなくても二人見てれば分かるよ。」「俺は二人がうまくいけばいいなと思ってたよ。」と返す。僕は本当に心の底からそう思っているのだろうか?

その後カフェから出て佐知子を見送った後、僕は120秒数えようと試みる。(佐知子を初めて待った時も120秒数えた。2分経っても来なかったら帰ろうと思っていたので。)しかし数え終わらないうちに佐知子に向かって全力で走り出す。そして追いつき彼女にこう伝える。「さっき嘘をついた。全部嘘だ。」「俺は佐知子のことが好きだ。」と。

ここで自身の本心を吐露したことによって僕は誠実になったと思う。やっと自分の気持ちを理解することができたのだ。

そして佐知子の返事は聞けないまま映画はエンドロールを迎える。

今後の展開を考えるなら佐知子は僕の気持ちを汲み取り、静雄と別れ僕と付き合う。もしくは遅い!と言い突き放す。私は後者であると考える。そして誠実を手に入れた僕は違った人生を歩むのであろうかと。


人生のすべてにおいて最も大切な物は誠実であると考えるが今回は恋愛における誠実と不誠実を考えていきたい。何度も言うがここでの誠実、不誠実は自分の感情に対して素直であるかないかだ。

例えば告白する場合、好きな人に対して率直に好きだと伝える。もしくは自身の感情と真逆の嫌いだと伝える。どちらを人は多く言うだろうか?圧倒的に好きであろう。なぜなら自身の感情が好きであるから。(単純明快小学生でもわかる。書いていて情けない。)

また、自分に対して素直に感情を伝えてくる人間といちいち察してあげなければいけない人間どちらが居心地が良いだろうか?(ちなみに面白いほど男性は女性の感情を察するのが下手だ。考察偏差値が3くらいだと思う。悪口になるのでここで止めておく。)もちろん前者であろう。

恋愛において湾曲に自身の感情をさらけ出したり、ひた隠しにするのは全くもって無効化だ。だったら素直に正直に自分の感情を伝えるべきである。

誠実は不誠実に勝てない。


追記)佐知子も僕に対して誠実であるべきでは?このことに関しては佐知子は僕に対して誠実に関わろうとしていたのだが(店長ときちんと別れる、小言を言う、云々)僕があまりにも不誠実なので諦めてしまっていたのである。




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