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石橋啓一郎氏に聞く「プロ翻訳家」のお仕事(5)
先週に続き、翻訳家で筆者の中学時代からの友人である石橋啓一郎氏との対談を続けていく。
機械翻訳の理想は「ほんやくコンニャク」だ。すなわち、他の国の言葉であることを意識せずに話せるようになることだろう。そうなると、一つの帰結として、翻訳家の仕事は機械に取られることになる。
だが、本対談で見てきたように、その世界はまだ遠い。では、翻訳者にとっての「機械翻訳」はどういう存在になっていくのだろうか?
最後に、このテーマに踏み込んでみた。
なお、友人同士の間柄なので、ちょっといつもの対談よりくだけた話し方になっている点は、ご容赦を。(全6回予定)
■機械翻訳は翻訳家の敵なのか
西田:最後に聞いておきたいのが、やっぱり先ほど言ってた機械翻訳との関係。
翻訳家と機械翻訳ってもう切っても切り離せない関係で。
別に敵じゃなくて、翻訳家にとってのツールでもあると思うんですよ。それこそ、機械に下訳をやってもらって直す、みたいなことというのは十分ありうるわけで。
翻訳家から見た時の機械翻訳が、どういうふうな役割を果たしてて、どういう変遷をたどっていきそうか、という予測をちょっと聞きたいな、と思うんですけど。
石橋:前段でも言ったとおり、ジャンルによって関わり方がずいぶん違うので、なんとも言えなくて。
ただ、なんというかな……例えばRPA(Robotic Process Automation)で仕事がなくなった人たちっているじゃないですか。
西田:いますね。
石橋:翻訳の中にもそういうタイプの翻訳ってけっこうあって。
財務レポートの翻訳なんかはもともと、専門性が高いけれど、その専門性さえ身につけてしまえばあとは繰り返し、というタイプの仕事だった。それで昔は高い単価を取っていたんだけど、今はたぶんもう主と従が逆転してて。人間は機械翻訳のあらさがし、つまり機械翻訳の結果を修正する仕事をする立場になっている。
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