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2020年、誰もいない初詣

1月1日、早朝日の出前。気温0度。今年も恒例の山登りランがはじまる。

かれこれもう数年になるが、毎年元日は初日の出を見に、山登りランニングをしている。ふもとから山の中腹にある初日の出ポイント、そしてさらに山を登りきり、峠のところにある神社で初詣というコースだ。

距離にして往復およそ15km。さして大した距離ではない。が、それは平地の時の話だ。ふもとから延々と続く上り坂。ところどころ傾斜5度クラスの急な坂道も出迎える。1km5~6分ぐらいのゆったりペースで登っていこうとしても、そのうち一歩一歩の足取りが鉛のように重くなる。

それでも、今年も重い足取りを承知で山のふもとに立ち、自前のライトを頼りに進み始める。

夜明け前の真っ暗な山道はひたすらに怖い。前に本屋で山の怪談噺の本を見てゾッとしたのを思い出す。たしかにこんな真っ暗で静まり返った山道だと、物の怪のひとつやふたついても不思議ではない。

それでも一歩一歩は知ること30分ほど、だんだんとまわりが明るくなってきた。元旦の初日の出を見に行くのだろう。普段は車も通らない山道でいくつもの車が通り過ぎる。

午前7時前、ようやく山の中腹に到着する。ちょうど日の出だ。山の中腹は地元ではちょっとした初日の出ポイントになっており、何台もの車がすでに止まっていた。今年もご来光を拝めることができた。

さて、まだランはこれからが本番だ。朝からガクガクの足にムチを打って、さらに山登りを進める。

はじめは息も上がり、足も痛かった坂道ランだが、1時間近くも登り続けるとさすがに慣れてはくる。それでも、目の前にはまだまだ終わりの見えない山道が広がる。

午前7時過ぎ。かつての関所跡に到着する。このあたりまで登ると、山の景色も変わってくる。ふもとには見られなかった雪の降った跡、今まで以上にグッと冷え込む気温、そして山の上の神社が近いせいか、ピリッとした空気が漂い始める。さすがに人も自分以外には見られない。

ここまでくると、山の上の峠まではあと一歩。しかし、ここからのあと一歩が苦しい。

延々とつづく坂道を上り続けると、ようやく坂道のはるか向こうに終点が見えてきた。ラストスパートだ。

午前7時半前。ようやく山道を登りきる。山の上の峠には一軒の小さな神社がひっそりとたたずむ。はるか神話の時代にまでさかのぼるとも言われる由緒正しい神社だ。鳥居をくぐり、冬の朝の木立を進むと、小さな境内に到着する。

誰もいない静寂の中、初詣。今年も無事に山を登り切った。

ここ数年で、この新年のご来光拝観と誰もいない初詣は自分の健康チェックのバロメーターも兼ねた恒例行事になりつつある。来年も山を登り切れるよう、健康に過ごして、それからきちんと体もなまらないように鍛えよう。

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