【#02】デザインには「目的」が必須
デザインに一番必要とされるものが「目的」だというのは不思議な気がするかもしれません。
しかし「何か特定の結果を導きたい」という目的があるからこそ、どうやったらそれが起こせるか?を考える。
そしてそれが起きるような工夫をする、その工夫するところこそが「デザイン」なのです。
人にこれを伝えたい、こんな人に伝えたい、こういう行動をして欲しい、一緒に楽しみたい、こうなったらいいな、などなど。
その目的が明確で、取ってほしい行動が絞り込んであればあるほど、他の可能性(状況や予算や時間など)とも合わせ、それを起こせるであろう可能性は絞られてくるもの。
ここがデザインの非常に面白いところで、私がチラシをデザインさせていただく時も、クライアントさんの目指すところがビシッとブレなく見えた時は、もうどんなデザインにしようかと迷う必要がなくなってきます。
条件を詰めていくことで、他の可能性を選びようがなくなり、これがベストというものが立ち現れる、そんな感じがします。
情報から判断してこの条件では「こういう言葉しかないでしょ」「ここにコレを置くしかない」という状態に自然と絞り込まれていく。
紙の上の迷路は、行き止まりを分岐点まで塗りつぶすことで、出口までの道が浮き上がります。まるであんな感じ。
目的となる行動を導きだせないものを、どんどん捨てていくことができれば自ずと、その条件下で選ぶ道は誰にでも明らかになります。
誰も思いつかないような独創的な解釈や奇抜な発想とかはそこに必要ありません。
それはしなくても必要ならば可能性として残るのです。
私たちはルールに従って削ぎ落としていけばいい。「誰にでもできる」と言う所以です。
もしそこに「センス」と呼ばれる個人の好みを反映してしまったら。
それはデザインではなく、アートになってしまいます。
いくらカッコよいと思っても、個人的な好みは邪魔になるだけ。
「不要なものを削ぎ落としていく」という判断も個人の好みではなく、ルールに従って不要と判断すればいいだけです。
そのルールも特殊なものではなく「当たり前のルール」(これについてはこれから後の回で丁寧にお話ししていきますね。)
そうやって浮かび上がった道が、どこに繋がっていてほしいのか?
そこが一番大事です。目的地はどこなのかは、最初に決めておかないとルートが浮かび上がることはありません。。
目的地によっては、道が変わってしまうのですから。
デザインするツールの目的、ツールで叶えたい未来は、最初から最後までブレずに一つを貫きます。
もし違う目的でやりたくなったら、あれもコレも、ではなく、改めてそれだけを目的にして実験していきます。
たとえば簡単な例として、道路に書かれたものすごく縦長の路面表示の文字は、「安全」が明確な目的です。
ドライバーは車の座席に座っているところから文字を見る、歩くよりも早い速度で、そして確実に読み取ってもらう必要がある。
これに叶うのは、道路に書かれたやけに縦長の白いゴシック文字以外にないわけです。
そんな風に目的をハッキリさせて絞り込んでいくことで、常識外の思いも寄らない答えが見つかったりもする。
最初から奇抜なやり方を探そう!とするわけではないんですね。
つまり「カッコいいチラシを作りたい」というのは決して目的にはなり得ません。
多くのチラシの目的は申し込みやお問い合わせ。
本当に使えるチラシを作りたかったら、その行動を起こしてもらうために必要なことは?というところから考える必要があります。
デザインというと色の使い方や写真の加工、アプリケーションの派手なエフェクトや機能を使うこと、のように思われがちですけど。
そしてデザインを教えるスクールとかでは、そういうところしか教わらないのだけれど。
「センス」と呼ぶものに左右されることなく誰にでもデザインができる道は、こういう前準備から道筋立ててやっていくことがとても大事。
そうすることで、人を錯覚させるような「惹きつけるテクニック」に頼ることなく、モノクロでも、雰囲気ある写真や可愛いイラストがなくても、本来の目的を果たすデザインができるようになるのです。
「目的」が決まったら次回は「デザインに必要な情報を集める」です。お楽しみに。
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