早口言葉 2012-12-22



考え方を変えることで、人間の機能はとても上手に働くことができます。

苦手だと思っていたことも、それに必要な「体の動き」についての、間違った思い込みや癖が影響し、本来の機能がうまく働いていなかっただけだったりするのです。



先日のレッスンで「早口言葉」をみんなでやってみることになりました。

つっかえていなくても、なめらかに早く話しているとは言い難い感じです。



さて、そこでアレクサンダーテクニークを使ってみることにしました。

ほとんどすべての人が常に無意識にやっているクセと言っても過言ではない「頭の押し下げ」をやめる、これはアレクサンダーテクニークの最初の一歩です。



「頭の押し下げ」とは、脊椎のてっぺんを頭蓋骨の重さでぎゅうっと押し縮めている状態です。

常にやっているためなかなか気づけませんが、それにより首の本来のカーブが失われます。

そこに連なる脊椎にも影響を及ぼし、本来の長さよりも短く縮こめられた状態になります。また脊椎についている肋骨も一緒に押し下げてしまいます。



頭を支えるべき部分を働かせていないので、本来頭を支えるのに使う予定のないところがそれを支えなくちゃ、と頑張るハメになり、後頭部、首、肩の筋肉に緊張が起こります。喉も狭められます。

短く縮こめられた脊椎の周りに余計な緊張が生まれます。



後頭部から首は、脳から体の各部への動きの指令やフィードバックの通り道であり、生命を維持する呼吸の通り道もあります。脊椎は体の大事な軸です。

そういった人間が動くときに大事な部分に緊張を持つことは、何かをする時の役に立つ、よりも邪魔になることの方が多い、ということなんじゃないかと私は思ってます。



実際「頭の押し下げ」は人間のあらゆるパフォーマンスに影響を及ぼします。

驚くことに、身体の物理的な動きだけでなく、考え方、感じ方といったメンタル面にまで影響が及ぶのです。



そんな不必要な「頭の押し下げ」これをやめるためにどうするか、というと、こんな考え方をしてみます。

「頭が脊椎の上で自由に動けて、押し縮められていた脊椎が本来の長さとカーブを取り戻す」

人間の頭は約5キロの重さがあり、脊椎の一番上に米袋を載せているのと同じようなもの。



その重さは、脊椎の自然なカーブに沿って下へ流れていきます。

脊椎から骨盤へ、2本の脚それぞれへ重さは分散され、末端の足へ。足から地面へ。地面から地球の中心へ。

私達は自分自身の重さを持って、足の裏で地面を押しています。

作用・反作用の法則で、同じ大きさで反対向きの、固体の面が物体を押し返す力が生じるのです。



つまり同じだけの力で私達は地球から押し返されている、だから立っていられる。

同じだけの反対方向の力を、地球から受けているんです。

これはファンタジーではなく、ただの物理です。



押し返された力は上向きに、脊椎の自然なカーブを昇り、てっぺんで、頭蓋骨を繊細なバランスで支えます。

余分も不足もなく、頭蓋骨が持っている重さと同じだけの力でただ支えています。



それも、じっと静止して支えられているのではありません。

頭蓋骨と脊椎が出会う関節面は、曲面となっていて、頭蓋骨はいつも微細にスイングし、バランスを取っている、静止できないつくりになっています。



なので、頭蓋骨の重心はココ!この首や顎の角度が正しい!正しいポジションをキープしようなどと思ってしまうと実際の機能ではできないことを要求していることになります。

しかし、その期待に体はけなげに応えようと、できなくても何かやらなきゃ!とりあえずできること、筋肉を縮めることをしたりしてしまうんです。



頭が脊椎の上で微細に動ける、と思うだけで具体的に動かしてみる必要はありません。

ちょうど目の下のラインと、耳の後ろのくぼみのラインが交わるあたりで、常に微妙なバランスをとり続け、繊細に動き続けている、その自由さを知り、思い出すだけでいいのです。





さて、そうやって「頭が脊椎の上で自由に動けて、自分の身体全体を使ってしゃべることができる」と思って早口言葉をしゃべってみると、みんな少し舌がまわるようになりました。

舌はかなり大きな筋肉ですから、首回りの緊張がなくなることが役に立つはずだよねとみんなで話しました。



さらに、「しゃべるときに使うのは舌、舌の先が動いて早くしゃべれると思って言ってみて」

と言われ、それを試したところ、全員が今までより速く、驚くほどなめらかに早口言葉をしゃべることができました。



人間の身体は「考え方」にホントに従順。本来持っている自分の機能を信頼し、それが働くようお願いすると、きちんとその機能を発揮してくれる。

そして「頭が自由に動ける」という土台の上で信頼したりお願いしたりすることで発揮される結果がほんとうに面白いように変わってきます。

「新しい考え方」にぜひぜひトライしてみてほしいです。



最初の一歩、うまく説明できたかな?

コメント、質問、文句、があったらぜひよろしく!

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