見出し画像

竹の珈琲ドリッパー・六つ目編み

最初に目にした竹の珈琲ドリッパーの写真は、網代編み。
うっとりするほど美しく細かく円錐形が編まれていた。

ドリッパーといえばプラスチックか陶器か木か、または針金をぐるぐると螺旋状に巻いたものとかがあるけれど、竹である。

編むという意外感と、竹素材という身近さと、網代編みの繊細さおしゃれさがとがなんともこう溶け合って、雰囲気抜群!

私が竹細工をやると言うと、2番目に多く言われるセリフが「コーヒードリッパー作って!」だったりするのも納得である。

そう、雰囲気はものすご〜〜〜く良い。ステキ!憧れる!
では実用性は?

珈琲ドリッパーの円錐、何編みにする?

手元の「竹工芸『編組工法』図面集」に、網代編みの「塩入れかご」という持ち手のついた円錐形のかごがあった。
これを参考にすれば作れる、と思っていた。

しかしある時ネットで検索してみたら、菊底でのござ目編み、六つ目編み、など、さまざまな竹の珈琲ドリッパーが。

確かに、紙フィルターを使うならば、網代編みでなくてもいいはず。
そもそも網代編みのドリッパーは、紙フィルター使う前提なのかしらん?

珈琲ドリッパーの条件
紙フィルターを使うかどうか?

私は珈琲を淹れる時、ドリッパーでなくてステンレスの二重メッシュの茶漉しを使ったりする。
少々雑味はあるが、自分では十分に美味しく飲めるレベルで、何より楽。

紙フィルターは使わない前提で、二重メッシュ茶漉しと同レベルの濾し加減を求めるとしたら、網代編みしかないような気がする。

しかし、紙フィルターを使うんだったら?

濡れた紙フィルターを支え、お湯の重さにぐらつかず、珈琲を通すという条件だけで良いから、網目は細かくなくていい。
つまり、網目の大きい六つ目編みで十分てことだ。

でも、網代編みのドリッパーだからこそ憧れるのだ。
網代編みの上品さというか、良すぎる雰囲気は捨て難い。

と、工房の友達が網代編みの珈琲ドリッパーを持っているという。
使い心地を聞くと、直に粉を入れても、紙フィルターを使っても、ちっともコーヒーが落ちていかなくて、なんと!使っていないとのこと!あれ〜?

そもそも珈琲ドリッパーに必要な条件てなんなのであろうか?

ドリッパー比べの記事をネットで読んだところによると、ドリッパーと紙フィルターの間には、空気が抜ける隙間が必要なのだそうだ。
それがないとコーヒーが滴り落ちていかない。
なので、一般的にドリッパーの内側にはそのための突起や筋などが施されているのだそう。
自分で今まで陶器やプラスチックのドリッパーを使った時、紙フィルターがピッタリしないのは、フィルターのメーカーやサイズが合わないものを使っているからかしら?と思っていたけれど、くっつかないように設計されてたわけか〜。

もっと細かくいえばドリッパーの形状や穴の数で、フィルターの中でのお湯の滞留時間が変わって云々、とあったのだが、今回はそれはまあ置いといて。

ここで、網代編みでドリッパーを編む、を候補から外した。
雰囲気は最高なんだけどなぁ。惜しい。

ということで、私の珈琲ドリッパー作りは、六つ目編みに決定した。

六つ目編みで円錐形。どこから編むか?

さて、六つ目編みでドリッパーを編むと決めたものの、一体どこから編んだらいいのかがわからない。
工房でアドバイスを仰ぐと、円錐のてっぺんからでは?と言われ、そこからやってみることにする。

円錐のてっぺんの隙間は、3本のひごで構成された3角形。
そこを中心に、それら3本のひごに平行に1本ずつひごを挿したら、次は立体に起こしていく。

珈琲ドリッパーの最初の編み目

最初の中心の三角形の周りに、五角形の星が3つ現れる。
それぞれの星は同じ形でツノは5つ。ツノの一つを3つの星で共有する形に作れたら、もうすでに円錐形は形作られている

あとはそれぞれのひごに平行に一本ずつ刺していき、好きな大きさの円錐形になるまで増やしていけばいい。

今まで六つ目編みがそんなに好きではなくて一つ二つくらいしか作ってこなかったけれど、これを編んだら六つ目編みの面白さにハマってしまった。

空中で360度からぐるぐると見て確かめながら、立体を作っていく面白さ!
六つ目編みってかなり自由に形を編める編み方なんだなぁ。面白い〜!

縁は巻き縁に決定

楽しく本体の円錐形を編んだものの、縁をどうするかが悩ましかった。
あて縁では、縁の裏側で縁と編み地がかなり離れてしまい、そこの見目と強度が気にかかる。
ちょうど、一昨年採った新竹のひごがあったので、当てた縁をそれで巻いてみることにした。

珈琲ドリッパー3つ。左上は編み地も縁も身ひご。右二つは皮目のひごで。

縁はもっと隙間なく巻くのがいいし、それがベスト!と思っていたんだけど、巻いてみたら、このくらい隙間があってもいいのでは?という気がした。

ひとまず固定はされているし、あとは見目の趣味の問題。
このくらいのラフさが私は好きかも。

縁を巻いている新竹は、水を吸うと柔らかくなってしまうから、じゃぶじゃぶ丁寧に洗ったり、水に漬けっぱなしは避けるべし!
あとは、丁寧に扱っていけば、竹本来の丈夫さを発揮してもらえる。

プラスチックと同じ扱いでなく、自然素材の柔らかさを味わいながら丁寧に使うには、私はこれで十分と思える。

珈琲ドリッパーデビュー

作って満足し、しばらくそのままだったが、思い立って昨日実際に珈琲を淹れるのに使ってみた。

珈琲ドリップ中!お湯のたまり具合もなかなか良い感じ

実際使ってみると、なんとも軽くてしっかりしてて使い心地よし♪
100均の円錐形紙フィルターがピッタリ。1人or2人分淹れるのにちょうどいい。

一人分の場合は私みたいに計量カップで、二人分なら一番小さいティーサーバーを使えば、ドリッパーの一番下がコーヒーに浸からずに済む。

使い終わったら、紙フィルターを捨て、網目のところをざっと水道水で流して、水気を振り切って、フックにでもかけておけばいい。

一回では全くひごに色移りしなかったのが意外。ま、色移りしてもいいし、1年も使ったら染まるだろうけれど。

竹の珈琲ドリッパー

プラスチックでできたものがあまり好きでないので、今までドリッパーも陶器や、針金タイプを選んでいた。

陶器は、なんといっても重たいのと、洗いづらさと、ヒビが入ったり割れたりに気を遣うのが難点だった。

針金タイプは畳んで置けて軽いのはいいけれど、カップの上に置くとズレたり、少し多めに入れようとしてうっかりすると、紙フィルターが折れ畳まって粉が漏れたりと、ちょっと頼りなかった。

で、今回これを使ったらば、そこら辺がクリアされてて、あぁ、早く作って使ってみればよかったなぁ、さすが竹!とつくづく思ったのだった。

竹の珈琲ドリッパーは絶対網代編み!と思い込んでいたけれど、六つ目編みのドリッパーも心地よかった!

持ち手をつけたり、カップの上に乗せられるように何か工夫も考えてはみたけれど、このシンプルさと気軽さ、いいんじゃない?

次のマルシェで置いてみよう♪

いいなぁと憧れたり、〜してから作ろう、と先延ばしにしたりするより、さっさと作って使ってみる、って、大事だ。

そして改めて、網代編みのドリッパーもチャレンジしてみようと思った。

だってさ、職人の網代編みはきっちりと編まれて隙間がないだろうけれど、私の編む網代編みならば、隙間が十分あるだろうから、もしかしたら珈琲がちゃんと落ちてくれるかもよ???


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?