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アップルパイ、オールドファッション。backnumber楽曲で見える景色


back number楽曲のなにが好きかって、「その景色が見えること」なんですよ。曲に登場してくるふたりの思い出とか、その人物の見ている景色とか、抱えている感情とか、誰かへの愛おしい気持ちとか。知らないはずなのに、そんな経験はないはずなのに、その景色が見えてくる。なぜだ。

特に好きな楽曲を聴いていると、なんと共通点が見つかった。

それは、歌詞に食べものが出てくること。歌詞で突然食べものが出てきたり、そもそもタイトルが食べもの名だったりする。これは、「食べもの」という共通認識のあるものを通して、自分もその景色を知っている、と思って深く共感しているってことなのかもしれない。

そんなわけで(どんなわけで?)わたしの好きなback number楽曲の話をしたい。


パン屋の前で思い出すのは、きっと大切な人だ ―『アイラブユー』


駅前のパン屋と踏切の閉まる音 
ああ 君に会いたくなる

back number『アイラブユー』


2022年の朝ドラ『舞いあがれ!』の主題歌として、秋から春にかけての朝を彩った楽曲。

自分にとっての大切な君を想う。君を幸せにする術を、君を笑顔にするすべてのものを探したいと、君のいないところで君のことを考えている。

パン屋の香りと、聞こえてくる踏切の音。懐かしくて胸が切なくなるような、幸せな記憶をたどって笑顔になるような、なんだか不思議な、ふわっと想いを馳せる瞬間がそこにはある。パン屋の前で足を止めて会いたくなるのは、自分にとっての大切な人だと思う。


うやむやに続いていくお腹いっぱいの日々 ―『アップルパイ』


ああそれよりさっき買ったアップルパイ 
出来立てよりちょっと冷めてるけど 
それが良いんだ一緒に食べようよ 
大丈夫美味しいはず

back number『アップルパイ』


甘酸っぱい恋の期間が終わり、もうその味すらも忘れてしまった、お腹いっぱいのふたりの話。心の乱れない関係。楽だけど、すこしの喪失感。

ぐちゃぐちゃ考えるけれど、最後に照れ隠しみたいに「アップルパイを一緒に食べよう」と呼びかけ、うやむやにして曲は終わる。ちょっと冷めてても、一緒に食べるとなんとなく美味しく感じちゃうから、もう甘酸っぱくない気持ちなんてうやむやにして、この日々はなんとなく続いていく。


素敵な君が言いそうな突拍子もないこと ― 『オールドファッション』


僕と見た街は夜空は どう映っていたんだろう
君は後悔していないかな
ねぇちょっと
そんなのどうだっていいの 
ドーナツ買って来てよって 
君ならああそう言うだろうな

back number『オールドファッション』


突拍子もないことを言いだす、素敵な君のことを想い続ける僕が、もういない君に語りかける楽曲。

君がいないと、迷ってしまって、考えこんでしまって、後悔してしまいそうになる僕。そんなとき君なら、突拍子もなく「ドーナツ買って来てよ」って言うのだろう、と僕はふっと心が軽くなる。

その突拍子もない君の言葉に救われて、「単純な事なんだきっと」と最後に変わらないひとつの気持ちを見つける。「君には僕なんだ」と強く言い切って、前を向いて生きていける。


思い出になるいまこの瞬間の美しさ ― 『光の街』


コンビニのくじで当たったアイスを食べながら 
自分で買うのより美味しいね別に同じだろ 
文句を言うならあげないよとにらんでいる
君から僕は大切なものをもういくつももらったよ

back number『光の街』

隣を歩く君との思い出、橋から見えるいまこの景色。こんなにも君に救われていること、世界が輝いて見えること。遠くを見て、そんな大げさなことを考えて歩く。

目の前の君は、コンビニのアイスを食べてはしゃいでいる。「文句を言うならあげないよとにらんでいる」君に、「大切なものをもういくつももらったよ」と思う僕。アイスを食べながら橋を歩くふたりの会話と、僕が君を大切に想う気持ち。何気ないこの瞬間も、思い出になって美しくなってゆく。


食べもので見えてくるその先の景色


すべてわたし個人の解釈で、好きな楽曲の食べものに関する歌詞について書いてみました。食べものが出てくると、その香りとか、甘ったるい味とか、その言葉以上にその先の景色が見えてくる気がして好きなんだと思う。(ただ単に食いしん坊の可能性もある)

と書きつつ、食べものが一切出てこない最新曲『新しい恋人達に』も、主題歌になっているドラマ『海のはじまり』とともに好きすぎる楽曲なので、普通に食べもの関係ない気もしてきた…… 鳩サブレ食べたい。



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tsuki | つき
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