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詩集「声を聞かせて」

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あなたの声をきかせて。 そしてこっそり私の声をきいて。
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#透明な手紙

「流されて」

.
泣いた理由を
あなたに教えたいけど
悲しみだけが大きくなって
理由が
遠くに
遠くに
流されてしまった

遠くに、ずっと遠くに

.
思い出が
うんと遠くに
ずっと遠くにあれば
よかったのに

まだ
息が
胸が
苦しい

あなたに恋を

あなたに恋を

.
眠そうな
午後二時の横顔
流れる風に
恋をしそうな予感
あなたに
会いたい

やっぱり

やっぱり

.
やっぱり好きだなあと
ぼんやり
ぼんやり
確認しているところです
ひとつふたつみっつと
たぐりよせるように

探り合い

探り合い

.
偽りばかりを探りあって
見えるはずの真実を
通り越して
今の二人が
遠くなっていく

霞む街

霞む街

.
遠くで
街が霞む
二人の関係も
こんなものかも知れないね

知っているものだけが
知っている

そっと
そっと
呼吸をするように

運命なんて

運命なんて

.
君に
恋をしていたわけじゃなかった
午後の日差しに立ち止まり
出した答えは

さよなら
運命だと思った人