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詩集「声を聞かせて」

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あなたの声をきかせて。 そしてこっそり私の声をきいて。
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2020年4月の記事一覧

運命なんて

運命なんて

.
君に
恋をしていたわけじゃなかった
午後の日差しに立ち止まり
出した答えは

さよなら
運命だと思った人

明日の天気を
何となく心配して
もう
振り返らなくなった
あなたに
ねえ、と声をかけてみる

報われないまま
終わった恋

さよならもないまま
残った空虚

.
頭が少し痛むのを
部屋の隅に押しやって
どうしようもない事ばかりを
考えている

疑うこともなく
寂しいと言えた夜は
いつまでだっただろう

ひとりきり
ひとりきり
あなたの知らない場所で

.
終わったのだという安堵感
終わってしまったのだという
少しの寂しさ

春が、散る
ひとひら はらり

/春が散る

.
言えないこと
言わないこと
夜をこえるたび
重ねて 増えて

ひとりぼっち
ふたりぼっち

ままならない 恋

ばかり、ばかり

ばかり、ばかり

.
すれ違ってばかり
傷つけてばかり
泣いてばかり

あの頃も
今も
何も変わらないまま

膝をかかえて