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詩集「声を聞かせて」

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あなたの声をきかせて。 そしてこっそり私の声をきいて。
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2019年10月の記事一覧

「流されて」

.
泣いた理由を
あなたに教えたいけど
悲しみだけが大きくなって
理由が
遠くに
遠くに
流されてしまった

遠くに、ずっと遠くに

.
思い出が
うんと遠くに
ずっと遠くにあれば
よかったのに

まだ
息が
胸が
苦しい

あなたに恋を

あなたに恋を

.
眠そうな
午後二時の横顔
流れる風に
恋をしそうな予感
あなたに
会いたい

やっぱり

やっぱり

.
やっぱり好きだなあと
ぼんやり
ぼんやり
確認しているところです
ひとつふたつみっつと
たぐりよせるように

探り合い

探り合い

.
偽りばかりを探りあって
見えるはずの真実を
通り越して
今の二人が
遠くなっていく

お別れを

お別れを

.
あなたの言葉を探す
あなたの感情を探す
もう一度
ゆっくりと
見失わないように

わたしの笑顔を探す
わたしの涙を探す
もう一度
ゆっくりと
ひとりでも立てるように

そうして
あなたに
わたしに
さよならを

遠く遠い昨日

遠く遠い昨日

空を
見上げるのを
やめてしまった
涙はかわかない

願い事は
忘れてしまった
それでも
痛みは痛みとして
まだ、ここに

いつか、は
遠く遠い
昨日