マガジンのカバー画像

詩集「声を聞かせて」

144
あなたの声をきかせて。 そしてこっそり私の声をきいて。
運営しているクリエイター

2018年8月の記事一覧

季節だけ過ぎて

愛してると言えなくて
愛してると聞けなくて
季節ばかり過ぎていく

約束もないまま
ただ
わかり合えると信じて

麦わら帽子

それは
まるで太陽だった
泣きながらでも
永遠を信じた恋だった

夏の終わりに
置いてきた
麦わら帽子、ぽつり

Twitterにて

教えて

傘をなくして
雨に濡れた、二人

運命があるというのなら
純愛を教えて

嘘をついた

.
あなたにひとつ
嘘をつきました

大嫌いです
だいっきらい

切なそうに
彼女をみつめる
あなたなんて

忘れられそうにない
さよならです

置き去り

.
もう少し
あなたに触れていたかったと
呟いてしまえば
夜明けが早く
やってきそうな気がして
口を噤む

両手で足りるほどの恋は
いつだって
揺れて迷って
私を
あなたを
置き去りにする

密やかな決心

.
あなたに
気持ちを打ち明けないと
決めた恋でした

子供みたいにはしゃいで
線香花火に切なくなって
煙が目にしみたふりをして

それでも
それでも
終わりのない
友達でいたかったのです

密やかさを抱えたまま

日々、めぐる

.
自分の芝生だって
隣人から見れば
きっと青い

手のひらは
そんなに大きくないから
その時
信じられるものだけで
事足りる

日々、巡る

声が聞きたい

ゆっくりと
ゆっくりと
今日が更けていって
なにをするわけでもなく
冷えた麦茶を飲む

そんな
代わり映えしない今日でも
今日は
あなたの声が聞きたい
そんな夜です