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トピックス 日本経済🇯🇵

トピックス 日本経済

⚫️2021.12.7日本経済新聞🗞

【サマリー】
政府方針
デジタル化、脱炭素軸

【思ったこと】
日本はリーダーが変わった
多少違うかもだけど
ビジネス的に捉えると
リーダーの役割は、チーム(日本)とチームの皆(日本人)が世界中の人々(お客さん)の役に立てる様に導くことが一つ
ベクトルは示されたので、後は是非導いてほしい

【記事全文】

岸田文雄首相は6日、第2次政権発足後初の所信表明演説に臨んだ。成長戦略としてデジタルや脱炭素の分野を中心に政策項目を列挙した。日本経済の成長底上げにどうつなげるか具体論が問われる。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の拡大を踏まえ、ワクチンの3回目接種は前倒しを表明し「大事なのは最悪の事態を想定することだ」とも訴えた。(関連記事総合2、政治・外交面、演説の全文7面に)

6日召集した今国会は10月の衆院選後、最初の論戦の場となる。首相が政権の政策運営や全体像を示す所信表明演説を踏まえ8日から与野党による代表質問に入る。
首相は成長と分配の好循環を実現する「新しい資本主義」をコロナ禍に伴う危機後の目標に位置づけた。成長戦略の柱として(1)イノベーション(2)デジタル(3)気候変動(4)経済安全保障――の4分野を並べた。
デジタル分野では日本を周回する海底ケーブル「デジタル田園都市スーパーハイウェイ」を3年程度で完成させると言明した。大規模データセンターや光ファイバー、高速通信規格「5G」と組み合わせて高速大容量インフラの全国での整備を約束した。
2050年の温暖化ガス排出実質ゼロなどを目標とする気候変動対策では「新たな市場を生む成長分野へと大きく転換していく」と提起した。
具体策に再生可能エネルギー拡充や電気自動車の普及に欠かせない「送配電網のバージョンアップ」や「蓄電池の導入拡大などの投資」を掲げた。
問題は政策の実効性だ。6日には経済対策分で追加歳出31.5兆円の21年度補正予算案を国会に提出した。そのうち関連事業への予算が占める割合は給付金などと比べ小さい。
計上額は蓄電池の国内生産基盤の確保に1000億円、海底送電網の整備は調査委託費として50億円だった。
「スーパーハイウェイ」を巡っては通信業界で通信規格が3G時代に建設したものが多いケーブルの更新を歓迎する声はある。一方で国内は陸路のケーブルが中心で「海底ケーブルの増設がなくても現状で十分にカバーできる」と効果に懐疑的な見方も多い。
予算を伴わず判断次第ですぐに実行に移せる成長戦略に規制改革があるが、演説では具体策に触れなかった。
分配政策では介護や保育などの現場で働く人について22年2月から3%給与を引き上げると強調した。「若者世代・子育て家庭」の所得増をめざす考えも示した。
賃上げ企業への税制支援を巡り混乱もあった。3日時点まで演説原案に「中小企業は最大25%から40%へ」といった税額控除率の具体的な数字が入っていた。
政府内での数字の精査や与党への根回しが不十分で、6日の臨時閣議で決める直前に修正する異例の事態になった。「企業の税額控除率を大胆に引き上げる」との表現に落ち着いたものの決定過程に不安を残した。
首相は経済よりも新型コロナ対策を優先する立場も鮮明にした。経済社会活動の再開に向けた楽観論を否定し「慎重に状況を見極めなければならない」と強調した。

⚫️2021.12.6日本経済新聞🗞


人口減に伴い、人々はより豊かさを求め農村から都市へと移動しそうだ。国連によると2010年に都市の人口は総人口の51.7%となり、農村を超えた。50年には世界人口の3分の2以上が都市に住むと推計される。

都市への集中が目立つのは南アジアやアフリカだ。インドのデリーの人口は35年時点で4335万人。1950年に比べて約30倍にも増え、世界で最も人口が多い都市になる。一方、東京をはじめ先進国の都市は、規模としては次第に縮小していく。
「乱雑な都市化で、集積による生産性向上のメリットが見込めない」。世界銀行は2016年発表のリポートで、インドなどでの急速な都市化に懸念を示した。都市が大きくなり、世界のスラム人口はこの30年で3億人増え10億人になった。
都市化の進行と膨張は、先進国にとっては都市の機能をどう維持していくかという問題につながる。主要国でつくる調査機関、グローバル・インフラストラクチャー・ハブは「2015~40年に世界で累計15兆ドルのインフラ投資の不足が発生する」と予測する。

⚫️2021.12.6日本経済新聞🗞

人口動態の変化は、世界各国・地域の「家族のかたち」とも密接に絡んできた。世界でいま増えているのは単身世帯だ。日本や欧州では、すでに単身世帯が全世帯の3分の1を占める状況になっている。

一人暮らしの増加は人口動態の縮図でもある。都市化や女性の社会進出などを背景に晩婚化や少子化が加速した。結果として高齢化と単身世帯の割合に強い相関関係が生まれた。
アジアをはじめ新興・途上国でもこれから大都市とその周辺で一人暮らし世帯が増えていく公算が大きい。日本では2040年、全世帯の39.3%が一人暮らしになる。行政には孤独への対策が一層求められそうだ。
消費のかたちを変えていく可能性も高い。変調の象徴的な動きは、例えば「日本の国民食」とも呼べるカレーの売れ行きから見て取れる。
スーパーでの売れ行きを分析すると、2017年に「レトルトタイプ」が「カレールー」を上回った。レトルトブームの広がりだけでなく、背景には単身世帯が増えて「孤食」が広がったことがある。

⚫️2021.12.6日本経済新聞📰

日本経済新聞社が主要30業種を対象にまとめた2022年1~3月期の産業天気図予測は、自動車や旅行・ホテルなど7業種が改善する。自動車は半導体不足の影響が年明けから徐々に緩和される見通し。新型コロナウイルス感染者数の減少で国内旅行が回復。飲食店や百貨店に客足が戻る。ただ変異型「オミクロン型」が深刻な感染拡大を引き起こせば業況が再び悪化する懸念がある。
半導体不足が響いてきた自動車は「雨」から「小雨」になる。2021年10月の国内新車販売台数(軽自動車含む)は10月単月で過去最低だった。10~12月が販売量の底とみる声が多く、年明けから段階的な回復を見込む。
緊急事態宣言の解除を受け、国内の旅行や出張が戻りつつある。旅行・ホテルは「小雨」から「曇り」に改善。リースも「曇り」から「薄日」になる。ホテルや飲食店の設備投資の回復を見込むため。米欧の航空機リースの引き合いも強まる。
一方で原材料価格の高騰は重荷だ。マンション・住宅は「薄日」から「曇り」になる。需要は高いが、アルミなどの価格高騰が利益を圧迫。供給が滞る可能性もある。

⚫️2021.12.1日本経済新聞📰

総務省は30日、2020年国勢調査(総合2面きょうのことば)の確定値を公表した。経済活動の主な担い手となる生産年齢人口(15~64歳)は7508万7865人となり、5年前の前回調査から226万6232人減った。ピークだった1995年の8716万4721人に比べ13.9%少ない。人口減時代の成長は一人ひとりの能力を高め、規制緩和にも取り組んで生産性をどう押し上げるかにかかる。(関連記事総合2面に)

総人口は1億2614万6099人で5年前から94万8646人減った。総人口の減少は2調査連続となる。
生産年齢人口の減少は日本経済の足かせとなる。現在の生産年齢人口は7580万7317人だった1975年を下回る水準だ。総人口に占める割合も59.5%と1950年以来70年ぶりに6割の大台を割り込んだ。
2010年代は景気回復などで女性や高齢者の就労は増え人口減を補った。労働力調査によると20年の就業者数は6676万人で10年前より6.0%増えた。
家電量販大手のノジマは10月、80歳としていた雇用制限を事実上撤廃した。1年単位の契約としベテラン社員の販売ノウハウを生かす。YKKグループも65歳だった正社員の定年を廃止した。
こうした女性や高齢者の就労拡大にも限界はある。生産性を高めなければいずれ生産年齢人口の減少の影響を補いきれなくなる。
日本の労働生産性(労働時間あたりベース)の伸び率はアベノミクス下の12年から19年まで年平均1.1%と一定の改善があった。
それでも20年時点で1時間あたりに生み出す付加価値は48.1ドルと主要7カ国(G7)で最も低い。経済協力開発機構(OECD)各国平均の54.0ドルも下回る。
内閣府の試算によると、働く人や労働時間が増えたことによる2010年代の平均的な経済成長率(潜在成長率、年平均0.7%)の押し上げ効果はゼロポイントにとどまる。1980年代には労働による押し上げは年平均で0.7ポイントあった。
人工知能(AI)など先端技術の活用やデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じて生産性を上げなければ根本的な成長につながらない。
海外では徹底した自動化で人手に頼らないオペレーションへの転換が進む。米小売り大手のウォルマートはロボットを活用した物流設備や無人トラックによる配送などを手掛ける。
日本では人口減に対応する無人技術にも制度の壁がある。
人手不足に悩むコンビニエンスストア業界はデジタル機器や遠隔で確認する技術の発達を踏まえ、無人店舗で酒やたばこの販売を円滑にできるよう規制緩和を求める。小規模な工事でも現場に管理者を置かねばならないといった規制も見直しを促す声がある。
生産性の高い業種に人材をシフトさせる政策も不可欠となる。終身雇用を前提とした制度はなお多い。同じ企業に20年超勤めれば退職一時金をもらう際に税制優遇が受けられる税制などは見直しが急務といえる。
今回の国勢調査で少子高齢化もより鮮明になった。65歳以上人口は5年前の前回調査に比べ6.6%増で過去最多の3602万6632人、14歳以下の人口は5.8%減で過去最少の1503万1602人となった。
高齢化率も2.0ポイント上昇の28.6%で過去最高を更新した。

⚫️2021.11.30日本経済新聞📰

政府は29日、新型コロナウイルスの水際対策(総合2面きょうのことば)を巡り全世界からの外国人の新規入国を原則停止すると発表した。新たな変異型「オミクロン型」の世界での急拡大に備える。30日午前0時から適用し当面1カ月間は継続する。帰国するすべての日本人にはワクチン接種者を含め14日間の自宅などでの待機を求める。(関連記事総合2面、ビジネス面、社会2面に)

外国人の新規入国の原則停止に伴い入国できるのは日本人と再入国する一部の外国人となる。
1日あたりの入国者数の上限についても11月26日に5000人に引き上げていたが12月1日から再び3500人に戻す。
ワクチン接種を条件に待機期間を最短3日間に縮める措置も止める。オミクロン型対策として入国後に指定施設での待機を求める対象にアンゴラやドイツなど14カ国・地域を加える。これまでは南アフリカなどアフリカの9カ国だった。
政府は2021年1月以降、特段の事情を除き外国人の新規入国を原則認めてこなかった。今月8日にビジネス目的の滞在客や留学生、技能実習生らの新規入国について条件を緩和して容認したばかりだった。
世界でのオミクロン型の感染拡大を踏まえ、水際対策の方針を緩和から引き締めに転じる。オミクロン型の感染力の強さが定かでないといったリスクへの対処を優先した。海外で感染状況が落ち着かなければ今回の措置を延長する可能性はある。
岸田文雄首相は29日、首相官邸で記者団に「最悪の事態を避けるための緊急避難的な予防措置だ」と強調した。「まだ状況が分からないのに慎重すぎるという批判は私がすべて負う覚悟だ」とも述べた。
入国後の待機措置に関し、オミクロン型の拡大のおそれがある国・地域から入国する人には検疫所などが確保した施設での3~10日間の待機を求める。
期間はアンゴラからの入国は10日間、イスラエルや英国、オランダ、イタリアなら6日間、オーストラリアやドイツ、フランス、チェコ、香港など9カ国・地域なら3日間とする。アンゴラは30日から、それ以外は12月1日から適用する。
首相は南アフリカでオミクロン型が確認されたと報告を受けた11月26日のうちに水際対策の強化を指示していた。9月の自民党総裁選のときも「安易な楽観論に陥ることなく臨機応変な対応が必要だ」と主張していた。
海外ではオミクロン型の広がりを受けて水際対策の強化が相次ぐ。
イスラエルは全外国人の入国禁止を決めた。米欧各国は南アフリカなど一部の国からの入国制限を打ち出す。全世界を対象とした日本の強化策は主要7カ国(G7)で最も厳しい部類に入る。
国際社会ではワクチンの接種証明を活用して水際対策を緩和するのが潮流になっていた。日本は水際対策の緩和が遅れていた事情もあり、もともと各国に比べて新規入国の制限は厳しかった。

⚫️2021.11.26日本経済新聞🗞

新型コロナウイルス禍で落ち込んだビジネスの回復をにらみ、企業が働き手の待遇見直しを急いでいる。自動車や飲食など期間従業員(総合2面きょうのことば)やアルバイトの求人を増やしている。労働市場の一部で逼迫感も出ており、非正規従業員の待遇改善につながれば経済正常化の動きにも弾みがつきそうだ。

生産の急回復を進めるトヨタ自動車は9月末時点で2200人いる期間従業員を増やす。コロナ禍前の2600~2800人体制を視野に入れる。半導体不足など供給制約による減産分を挽回するには人手確保がカギだ。コロナ前に深夜勤務のある期間従業員の確保に苦労していただけに、入社時の支給金を2倍の20万円に引き上げた。
SUBARUも支給金を2倍の40万円に増額。期間従業員を約350人増やす計画のマツダは、基本給(日給)を8770円と9%増とした。
幅広い製造企業で生産が回復しており現場従業員の確保は共通課題だ。製造業向け求人サイトを運営するインターワークスの調査で10月の平均時給が1336円と前年同月から79円上昇した。
コロナで大きなダメージを受けた飲食業。21年9月の雇用者は207万人と19年9月から55万人減ったが、人材確保の動きが出てきた。
居酒屋の養老乃瀧は1日に新宿と池袋の直営店でアルバイトの時給を50~100円引き上げた。再開が遅れていた深夜営業だが、時給を上げて人員を確保し深夜でも需要を取り込む。就職情報サイトのマイナビ(東京・千代田)によると、10月の全国の飲食・フード系平均時給は前年同月比2%増の1000円と20年1月の調査開始以来、最高となった。
物流施設の建設が相次ぐ千葉県流山市で作業員の求人が膨らむ。同地区に拠点を新たに設けたアマゾンジャパン(東京・目黒)は契約社員の時給を1200円と、首都圏の物流作業員平均を上回る条件で募集。流山地区で物流施設を開発する日本GLP(東京・港)は託児所を設け主婦層取り込みを狙う。
有効求人倍率(季節調整値)は9月に1.16倍と20年6月以降最も高い。緊急事態宣言の解除や製造業の生産回復時期が重なり、求人が同時期に集中している。
10月に東京都で最低賃金が1041円と28円増額されたことなども加わり、10月の三大都市圏のアルバイト・パート平均時給は前年同月より15円増の1103円(リクルート調べ)と06年度調査以来、最高となった。
21年9月の非正規雇用は2059万人とコロナ前の19年9月から約140万人減っている。非正規従業員の待遇改善が本格的に広がれば、景気回復も後押ししそうだ。

⚫️2021.11.22日本経済新聞📰

「100年に1度」と呼ばれる危機が頻発する時代に日本がすくんでいる。新型コロナウイルスとの闘いで後手に回り、経済の回復が遅れ、台湾有事のような安全保障の備えもままならない。ニッポンの統治はどこで機能不全が起きているのか。立て直せなければ国民の命が失われる。
ベッドに茶色いシミがこびりついていた。亡くなってすぐ発見されたのになぜだろう。5月11日、神戸市内の一軒家に入った特殊清掃事業「関西クリーンサービス」の運営会社代表、亀沢範行氏は首をかしげた。
部屋の主は一人暮らしだった90代の男性。4月末に新型コロナの感染が分かり救急車に乗ったが、病床に空きがなく自宅に戻された。翌日、遺体で見つかった。
感染のため遺体を運び出すのに数日かかり、防腐剤を使っても傷んでしまった。遺族からそう説明を受けた。テーブルの上にはパン。横にはワクチン接種券。「頑張って生きようとしてたんやな」
政策阻むギルド

自民党の国会議員だった塩崎恭久氏は3月、泣きじゃくる知人の訴えを聞いた。「家族が自宅で症状が急変して亡くなった。医師が診てくれていたら悪化に気付けたのに」。自宅療養中に相談していたのが保健所の保健師だったのを嘆いた。
塩崎氏は厚生労働省の幹部に提案した。「保健所が持つ自宅療養者の情報をかかりつけ医に伝えてオンラインで診る仕組みをつくれないか」
日ごろ診察している医師なら重症化の兆候を見つけやすいと考えたが想定外の反応が返ってきた。「行政情報は出せません。症状急変リスクはしょうがないんです」
「じゃあ死んでいいってことか。おまえら命を救うために厚労省に入ったんじゃないのか」。問うと相手は押し黙った。
幹部は医師免許を持つ「医系技官(総合・経済面きょうのことば)」だった。事務を担当する官僚とは異なる職種で、国家公務員試験を受けずに入省する。およそ300人の人事はトップの医務技監が握り、閣僚や事務次官の統制が及びにくい。政府内で「ギルドのような独自組織」と呼ばれる。
自宅療養者の情報共有に反対した理由を、与党幹部は「医系技官が保健所の権益や開業医の負担に配慮した」とみる。
この医系技官に直接聞くと「法律上、本人の同意なしに感染情報は出せないと説明しただけ」。自宅療養者には行政が委託契約した医療機関が健康観察を担う制度があると強調し「今すぐ対応を求める塩崎氏と今の仕組みで可能なことをやる私の議論はかみ合わない」と総括した。
その後、情報共有できる医療機関などを全国3.2万件に広げる対応を進めてはいる。政府によるこれまでの対策の本格的な検証はまだない。
米国の社会学者ロバート・マートン氏は官僚機構に潜む病理を「目標の転移」という言葉で看破した。役所内の規則は目標を実現するための手段にすぎないのに、いつの間にか規則の順守が最大の目的に置き換わってしまうという現象だ。
「一つ一つの規則に拘泥するあまり、多くの顧客に便宜を計ってやることができない」という指摘は首相―閣僚―官僚の指揮系統が働きにくい「ギルド」で暮らす医系技官に顕著にあてはまる。日本が「コロナ敗戦」と呼ばれる状況に陥った原因の一つはここにある。
「国家安全保障局(NSS)があまり関与できなかった」。イスラム主義組織タリバンが制圧したアフガニスタン。日本が邦人やアフガン人協力者の退避に遅れた背景を政府高官はこう明かす。
内閣法が危機管理の所管と定める内閣危機管理監の組織は邦人退避に不慣れだった。安保の司令塔であるNSSは法的権限がなく政治判断なしでは動きにくい。首相官邸はコロナ対策で十分に手が回らなかった。
縦割りのはざまで退避作戦を担った外務、防衛両省は自衛隊派遣以外の方法を探り決断に時間がかかった。出遅れた日本を韓国紙は「カブールの恥辱」と揶揄(やゆ)した。敗因は法的な縦割りと、それを打破する政治の意思の欠如だった。
内向く官僚機構
日本の国家公務員は2021年度で59万人。かつて政策立案と実行を一手に担った巨大な頭脳集団は精彩を失っている。
1990年代後半から続く政治主導の掛け声の下、政策形成は官邸の一握りの集団に権限が移り、人事でも首根っこを押さえられた官僚は内向き思考を強めてきた。
政治が自ら責任をとって官僚機構を動かそうとしなければ、彼らは縦割り組織やルールの壁の内側にこもり、保身を最優先するしかない。
55兆円を超し、規模は大きいが、新しい日本をつくろうという気概が感じられない経済対策も今の政治と官僚機構の機能不全を映し出している。
未経験の危機が繰り返し世界を襲う21世紀。変化のスピードがかつてなく高まる中、統治機構を再構築しなければ、日本は世界から完全に取り残されてしまう。

⚫️2021.11.17日本経済新聞📰

政府は16日、イベント参加や飲食店利用に関する行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」の概要を公表した。感染対策と経済再開の両立につなげる。接種証明ではアプリの実用化が経済再開に間に合わず、写真撮影した画像やコピーの利用を認めた。改めてデジタル化の遅れが印象づけられた。

同日開催した政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会に概要を示し、専門家の了承を得た。政府は19日にも新型コロナ対策の指針となる基本的対処方針を改定し、行動制限の緩和策とあわせて月内の適用を目指す。
ワクチン・検査パッケージを使うと、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などによって行動制限がかかっていたとしても、一定の条件を満たすことで飲食やイベント参加、都道府県境をまたいだ移動の制限が緩和される。
ワクチン接種の場合は2回目の接種から14日以上が経過すれば対象になる。検査の場合、PCRは3日以内、抗原検査は1日以内に陰性であれば対象となる。
接種証明を巡っては、政府もアプリの開発を進めているが、運用開始は12月の予定で、まだ公開できていない。足元では感染者数が減って経済再開が進んでおり、アプリにこだわらず接種証明を認めることにした。具体的には、紙の接種証明書やそれを撮影した写真で確認する手法も認める。
ただ、確実な感染対策として利用するには本人確認が必須だ。運転免許証などの身分証明書の提示を求め、なりすましを防ぐ必要があるが、飲食店やイベント会場でアプリや写真など様々な証明方法に対応しつつ、厳格に本人確認するのは容易ではない。

政府は10月から「ワクチン・検査パッケージ」の実証実験を実施し、サッカーのJリーグの試合会場や居酒屋などで運用方法を検証した。
利用者からは証明書の写真で手軽に対応できる点などが高評価されたが、事業者側からは確認作業に時間がかかるケースがあるとの指摘が出た。山際大志郎経済財政・再生相は16日の記者会見で「知見や運用上の蓄積を踏まえてブラッシュアップし、進化形のものができるならば柔軟に対応していく」と述べた。
政府はワクチンの接種証明書に関し、当面は有効期限を定めない方針だ。2回接種で感染を防げる効果の持続性や12月に始める3回目接種の取り扱いは曖昧なままだ。
国内の接種者の大半を占める米ファイザー社製ワクチンは、入院や重症化を予防する効果は2回目接種から半年後も続くとされるが、感染予防効果は半減するとの報告が海外である。効果が下がった状況でイベントなどに参加すれば感染リスクは高まる。
分科会の尾身茂会長は「今すぐ有効期限を決める必要はないが、しっかり検討してなるべく早い時期に結論を出した方がいい」と話す。
日本の接種証明アプリは、デジタル庁が開発中だ。マイナンバーカードを使って政府のデータベースから引き出した接種記録をスマートフォンの画面にQRコードとして表示する。今回分科会で示された方針には、デジタル庁は関与しなかった。どの確度の証明なら入店を認めるかといった「証明書の『受け手側』の話」(デジタル庁関係者)だったためという。
接種証明アプリで先行する欧州などと比べ、日本政府が動き出すのは半年ほど遅かった。イスラエルの接種証明アプリやデンマークの「コロナパスポート」アプリの公表は2月。欧州連合(EU)全体でも7月に「デジタルCOVID証明書」の本格運用が始まった。
米国でもニューヨークでは州と市がそれぞれ接種証明アプリを提供している。屋内のレストランなどで接種証明の提示が必要な同市内ではどちらか、または両方のアプリをスマホに入れている人が多い。同州の人口は約1900万人いるが、州のアプリは10月下旬時点で600万人超が取得したという。
日本の場合、政府のアプリに先行して東京都などの自治体がアプリを導入している。接種証明の写真でも認められるとなると、政府のアプリは厳格な本人確認が必要な海外渡航用などでばかり使われる可能性もある。
導入が経済再開に間に合わなかったことで、本人確認の不備による感染拡大リスクや、複数のアプリや証明書を使うといった利用者の煩雑さが指摘されている。

⚫️2021.11.4日本経済新聞🗞

日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国が参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が2022年1月1日に発効する。外務省が3日、発表した。世界経済の3割を占める巨大な自由貿易圏がアジアに誕生する。日本にとっては中国、韓国と初めて結ぶ自由貿易協定(FTA)が動き出す。(関連記事総合・経済面に)
オーストラリアとニュージーランドが2日、RCEP協定の批准手続きを終了した。同協定はASEANのうち6カ国、その他の5カ国のうち3カ国が批准してから60日後に発効すると規定する。
すでに日本や中国など8カ国は批准を終えている。外務省によると、豪州などの手続き終了で22年1月1日にまず10カ国で協定が発効する。
RCEPは世界全体の国内総生産(GDP)や貿易額で3割程度を占めるメガFTAだ。約9割の品目で関税を段階的に撤廃する。日本企業の進出や輸出入の促進など大きな効果が見込める。

⚫️2021.11.2日本経済新聞🗞

緊急事態宣言の解除から1カ月がたち、個人消費に回復の兆しが出てきた。百貨店大手5社が1日発表した10月の売上高(既存店、速報値)は全社が前年同月実績を上回った。ただ伸びは小幅にとどまり、新型コロナウイルス禍で抑制されていた消費が反動で増える「リベンジ消費」は勢いを欠く。感染再拡大への消費者の警戒は強く、先行きに不透明感が残る。
(関連記事ビジネス面に)

10月の売上高は三越伊勢丹が9.5%増、大丸松坂屋百貨店が6.9%増、高島屋が5.6%増だった。寒さが増したことでコートやセーターなど秋冬物を買いに訪れる消費者が増えている。伊勢丹新宿本店(東京・新宿)と三越日本橋本店(同・中央)では婦人服の販売額が計2割増えた。
年末年始向けのおせち予約も出足が良く、各社の受注額は前年同期に比べて2ケタ伸びている。「自宅でぜいたくをしたいと考える消費者が多いようで、5万円以上の高級おせちの販売が好調だ」(そごう・西武)という。
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBが1日発表したクレジットカード決済額をもとにした指数「JCB消費NOW」でも、消費は持ち直している。10月前半の指数は2016~18年同期平均と比べて2.1%増えた。プラスは20年11月後半以来、約10カ月ぶりだ。電子商取引(EC)などが堅調なところに、低迷していた外食などのマイナス幅が縮小した。
ただ、消費持ち直しの動きは総じて緩やかだ。リベンジ消費として期待されたほど盛り上がっていない。
百貨店各社の10月の売上高をコロナ前の19年10月と比べると1~10%増だが、当時は消費増税の駆け込み需要に伴う反動減があった。今回は高額品販売が好調だった21年7月の伸び率も超えておらず、大きく伸びたとは言い難い。高島屋の村田善郎社長は「コロナ感染は下火になったが、不要不急の外出を控える人はまだ多い」と話す。
JCB消費NOWの指数も内訳をみると、百貨店が44.5%減。旅行は30.9%減、外食も5.4%減だ。EC(37.3%増)やスーパー(13.8%増)などと対照的で、「消費の回復はまだら模様だ」(同社)。
マクロミルの消費者調査では、10月6日に調査した過去1週間の消費金額は1万4246円だった。13日の週以降も1万4000円台で推移する。新規感染者が減少傾向にあった9月29日の週(1万5658円)を超えられていない。
旅行も予約が増加傾向だが、コロナ前の水準には遠い。JR東日本の秋田・東北新幹線は11月の予約がコロナ前の5~6割の水準だ。全日本空輸(ANA)は10月末時点で12月28日~22年1月3日の予約が9月末に比べ2倍以上増えたが、19年比では5割程度にとどまる。JTBも12月~22年1月の国内旅行予約人数が19年12月~20年1月比で35~45%の水準だ。
世界的な供給制約や円安などを背景に、今秋から食品などで値上げが相次ぐことも消費に影を落とす。食品のメーカー品の値上げで消費者の節約志向が強まると見たイオンは、プライベートブランド(PB)約3000品目の価格を年内まで据え置くことを決めた。PB商品は好調で、イオンは年内の関連売上高が前年同時期より2割程度増えると見込んでいる。
一方、好調なのが富裕層の消費だ。リゾート会員権を仲介するe会員権(横浜市)によると、9月の会員権の平均価格は前月比15%高い374万円と約20年間で最高値を更新した。富裕層が軽井沢や箱根などの高級リゾートホテルの会員権を積極的に取得している。近畿日本ツーリストも10月、高級ホテルや高級旅行を専門に扱うサイト「ブループラネット」を開設した。
ただ富裕層需要は局所的にとどまり、広がりを欠く。米マッキンゼー・アンド・カンパニーの船石智彦氏は「日本経済の先行きは悲観的な見方が多い。他国ほどリベンジ消費は強くならない」と指摘する。

⚫️2021.10.28日本経済新聞🗞

新型コロナウイルスの感染者が急減する中、飲食店などでのワクチン接種証明の活用方法があいまいになっている。政府の接種証明アプリは12月に運用が始まる予定で、各地の制限緩和に間に合わなかった。証明書原本やそのコピー、写真で認める自治体があるが、国の統一的な指針はない。経済活動の再開に必要な接種証明の運用が定まらないと、感染拡大防止との両立はおぼつかない。
東京都は11月1日から対話アプリ「LINE」を使い、接種を完了した都民に飲食店のクーポンなどを配信する「TOKYOワクションアプリ」を導入する。若者らの接種を促進するのが主眼だが、登録時に接種記録と本人確認書類の画像を送ってもらうため、接種証明としても利用できる。都の委託先が内容を目視で確認する。

アプリで登録する際には自宅の郵便番号を使う。都民を対象に、都内の店舗に限った利用を想定しており、当初は都外の人は使えない。将来は都外からの通勤・通学者や旅行者の登録も検討しているという。
都は飲食店に対する営業時間短縮の要請を25日に解除したが、1テーブル1組4人以内にするよう求めている。感染対策の認証店では接種記録の提示を条件に5人以上を認めている。都民はアプリの提示で証明できるが、都外からの通勤・通学者や旅行者は在住する自治体が発行する接種証(コピー、写真可)などを用意する必要がある。
政府は行動制限の緩和に向け、実証実験で活用策を検証している。ただ、既に飲食店などは通常営業の再開に動き始めている。統一の要件がないまま、自治体ごとに接種証明の方法が異なる状況では利用客、店側の双方で混乱は避けられない。
都道府県境をまたぐ場合、住んでいる地域のアプリを他地域で接種証明として使えるかどうかははっきりしない。他地域のアプリや紙の接種証明書などを同時に提示された場合、店側が対応に悩むケースも考えられる。
コピーやアプリが本当に本人のものかなどを確認しきれず、感染防止対策が不十分になるリスクもはらむ。利用者にとっても、複数のアプリに登録したり、原本などを持ち歩いたりするといった煩雑さが生じかねない。
政府は実証実験の「実施要領」で証明書など原本のほか「コピー、写真でも可」と記載している。免許証などでの本人確認も要件として挙げている。ただ、あくまでも実証実験を担う自治体などに向けた文書に記載があるだけで、十分に周知しているとはいいがたい。
政府は接種証明アプリの運用を12月にも始める。マイナンバーとひもづけて登録する必要があるなど手続きは厳格。政府がアプリの登録に使うと想定するマイナカードは全人口当たりの交付率が足元で約38%にとどまり、アプリを使えない人も多い。アプリ以外の選択肢を示す必要がある。
政府のアプリ導入が遅れる中、東京都以外でも独自のアプリや仕組みを始める自治体が相次ぐ。
群馬県は13日にデジタル接種証明「ぐんまワクチン手帳」を始め、27日時点で20万人の登録者がいる。沖縄県石垣市も9月下旬、スマートフォンの画面に接種済み証を表示するシステムを採用。提示すると飲食店などで特典を受けられる。石垣市は「マイナカードを取得していない市民も特典を受けられる」として、政府のアプリ導入後もサービス提供を続ける。
政府のアプリは9月に発足したデジタル庁が開発を担う。アプリは海外渡航時の接種証明のデジタル化も兼ねるため丁寧な本人確認が必要で、開発に時間がかかっている。接種証明が本人のものかという観点ではこのアプリは精度が高い。
複数の自治体がバラバラにアプリ導入を進める中、本人確認の担保や、国と各自治体のアプリの整合性、原本やコピー・写真も認めるかなどを巡り、国の明確な指針や周知が必要となっている。

⚫️2021.10.13日本経済新聞📰

【サマリー】
コロナ飲み薬💊
実用化に向けて進捗中

【思ったこと】
ワクチン普及、接種証明、飲み薬の汎用化により、経済活動への刺激を期待🥺

【記事全文】


実用化が近づいている新型コロナウイルスの飲み薬の効能が明らかになってきた。11日に米当局に申請した米製薬大手メルクの飲み薬候補の臨床試験(治験)で入院・死亡リスクの約50%低減を確認できた。実用化できれば自宅などで簡単に投与できる。各社のコロナ薬が広まり重症患者が減れば、医療現場の負担軽減にもつながりそうだ。
メルクが米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請した「モルヌピラビル」は「RNA(リボ核酸)ポリメラーゼ阻害薬」というタイプの抗ウイルス薬。ウイルスが増殖する際に必要な酵素の働きを抑え、体内でウイルス量が増えるのを抑制する。
メルクによると臨床試験(治験)はコロナ発症5日目までの軽症から中等症の患者で、重症化リスクがある人を対象に実施。モルヌピラビルを12時間ごとに5日間投与した。対象者のうち775人のデータを解析すると、投与した人は偽薬を投与した人と比べ、入院または死亡のリスクが約50%低かった。
一方、発熱や嗅覚障害といった症状の改善については現時点でデータはない。メルクは現在、症状がどれだけ緩和するかや改善までの日数について、他のデータも含めて解析を進めている。
メルクの日本法人MSDの白沢博満上級副社長は「自宅でも投与できる可能性がある(モルヌピラビルの)開発を急いだ」と話す。日本でも承認申請に向けた準備を進めており、早ければ21年内の供給開始を目指す。日本政府と供給契約について協議中だ。
他のメーカーもコロナ治療の飲み薬の実用化を目指す。塩野義製薬は軽症者と無症状者を投与対象に据え、9月下旬から最終段階の治験を始めた。米ファイザーも軽症者向け治療薬として最終段階の治験を実施中だ。中外製薬も米バイオ企業が開発した治療薬候補を国内で開発中で、22年の承認申請を目指している。3社とも投与対象は感染初期段階の患者を想定する。
製薬各社は発症前の人への予防的な効果を持つ薬の開発も進める。中外製薬は抗体カクテル療法で患者の家族など濃厚接触者の発症予防として投与できるよう厚生労働省に申請。新たに無症状の陽性者や患者と濃厚接触した非感染者を対象に加える。海外で患者の家族など濃厚接触者を対象にした治験では、発症リスクを8割低減することを確認している。
こうした新たなコロナ薬候補が感染拡大抑制に効果を発揮するかどうかは、感染初期の患者に確実に投与できるかどうかだ。そこでカギとなるのが迅速にPCR検査を受けられる体制だ。
発熱など症状が出始めた時に検査を受けるなどしてコロナ感染を早期に確認できれば、発症5日というメルクの治療薬が効果を発揮できる投与のタイミングに間に合う。中外の予防薬も患者を検査で早期に見つけ二次感染が広がる前に実施して初めて効果が上がる。
一方で、国内の検査体制にはなお課題がある。東京都では保健所業務の逼迫で感染者の増加に検査が追いつかず必要な人が検査を受けられない事態が生じた。
厚労省は冬にも想定される第6波に向け、自治体に対して検査体制を見直し10月中に報告するように通知した。民間検査機関の積極的な活用も求めている。感染の波までに体制が拡充していなければ、治療薬の生かしどころが失われかねない。

⚫️2021.10.13日本経済新聞📰

【サマリー】
自民党公約のポイント
コロナに係る支援、体制整備
創薬と防災に投資

【思ったこと】
経済政策の方針はこれからか?
どう世界の人に対して日本がどんな役割を担っていくか?
日本をチームとすると、チームの方針(誰に向けた?世界?も大事)を示すのがリーダー
ちと見られなかった

【記事全文】


自民党は12日、衆院選の公約を発表した。新型コロナウイルス対策を巡る政府権限の強化や経済安全保障の拡充に向けた法整備などを書き込んだ。岸田文雄首相だけでなく甘利明幹事長や高市早苗政調会長らが訴える政策の集合体となった。金額や期限などの明示は乏しかった。
(公約の要旨を4面に)
首相が重視する「成長と分配」は賃上げした企業への税優遇や児童手当の強化などを列挙した。長期的な視点の経営を促すため企業の「四半期開示」の見直しも盛った。
「令和版所得倍増」や金融所得課税の見直しは入らなかった。子育て世帯の住居費支援も直接の記載はなかった。
高市氏は記者会見で、総裁選に出馬した4候補に言及し「4人とも合意を得たものを(部会長に)みてもらい、党をあげて実現できることを示した」と説明した。
成長戦略は高市氏の看板政策である「危機管理投資」を採用した。「創薬力の強化」や防災へのインフラ投資を挙げた。
甘利氏が注力する経済安保は独立した章を立て、重要技術の流出を防ぐ「経済安全保障推進法」の制定を唱えた。企業に戦略物資の国内生産を促す税財政支援を入れた。
安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」の3本柱である(1)金融緩和(2)機動的な財政出動(3)成長戦略――に関して「総動員して成長軌道に乗せる」とも言明した。
新型コロナ対策は菅義偉前政権からの問題意識を引き継いだ。病床確保や人流抑制へ「行政がより強い権限を持てるための法改正」を掲げた。
保守派への意識もうかがえる。ミサイル防衛で「相手領域内で弾道ミサイル等を阻止する能力の保有を含め、抑止力を向上させる」と記した。相手の発射拠点をたたく「敵基地攻撃能力」の保有が選択肢になり得る。
これまで国内総生産(GDP)比1%以内が目安だった防衛費は「GDP比2%以上も念頭に増額を目指す」と書いた。
台湾の環太平洋経済連携協定(TPP)加盟申請は「歓迎」を表明した。選択的夫婦別姓に関し原案の「具体的な制度のあり方についてさらに検討を進める」との文言は削った。「氏を改めることによる不利益をさらに解消」との表現は残した。
首相は公明党の公約である「18歳以下への一律10万円給付」にも前向きな意向を示す。与党内の各種政策を採り入れる構えだが、具体策は選挙後になる見通しだ。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは経済政策について「規模感が不明確で踏み込み不足ととられかねない」と指摘する。

⚫️2021.10.4 日本経済新聞📰

世界中に張り巡らされたサプライチェーン(供給網)に異変が起きている。「社長100人アンケート」で製造業の7割弱が部品・部材の調達に遅れが生じていると答えた。感染力の高い新型コロナの変異ウイルスの流行による取引先の減産などが響く。企業は在庫の積み増しなどの対応を急ぐが、解消時期を見通せず、長期化しそうだ。(1面参照)



製造業の8割が国内または海外の工場で「生産活動や部品調達に影響が出ている」と答えた。
影響が出ている企業にその内容を聞いたところ(複数回答)、「部品・部材の調達遅れや不能」が81.4%と最も多く、影響の出ていない企業を含む製造業全体では67.9%にあたる。次に「調達価格の上昇」(80.0%)、「自社製品の減産・生産不順」(64.3%)が続く。
供給網が機能不全に陥っている原因については(複数回答)、影響の出ている企業の70.0%が「新型コロナウイルス感染拡大による取引先の減産」「航空便の減便やコンテナ不足」と答えた。「半導体不足」も67.1%を占める。ファーストリテイリング傘下の「ユニクロ」は取引先の縫製工場が多いベトナムの新型コロナ感染拡大が響き、一部の新商品の発売を約1カ月遅らせた。
対応策は「在庫の積み増し」が60.0%とトップ。「取引先に部品確保を要請」(54.3%)や「特定国への集中を見直し分散化」(42.9%)という声も目立った。自動車メーカーの間で部品在庫をなるべく持たない効率重視の調達戦略を見直す動きが広がる。

⚫️2021.9.30日本経済新聞🗞

【サマリー】
緊急事態宣言解除
各自治体が消費刺激策等
飲食、宿泊中心

【思ったこと】
人の動きが戻る→感染者数増える→また締め付け
となるんだろうけど、
少しずつ締め付けが緩やかになるといい
コロナの次のリスクに備えておくべき(中国の不動産バブル崩壊等)

【記事全文】

新型コロナウイルスの緊急事態宣言解除に合わせ、首都圏の自治体が飲食・観光事業者への経営支援を本格化する。経営が悪化した企業が新業態を始める費用の助成や消費喚起、専門家の派遣などで地域経済の再生を後押しする。一部地域ではワクチン接種証明などを活用し、行動制限緩和の実証実験にも取り組む。



東京都は飲食事業者が小型のテークアウト専門店を新たに始める場合の出店費用を一部助成する。メニューや営業時間帯など営業スタイルの見直しや、資金繰りに課題を抱える事業者には、適切な助言ができる中小企業診断士などの専門家を派遣する。

埼玉県戦略会議終了後、取材に応じる会議メンバーの池田一義・埼玉県商工会議所連合会会長(右)と大野知事(8日、埼玉県庁)
28日に始まった都議会定例会で補正予算案が成立したら、速やかに支援事業を始める。観光関連では新しい宿泊プランを作成するホテルや旅館に対し、専門家による支援をするほか、旅行や観光バス事業者がサービスにデジタル技術を導入する経費を補助する。
1都3県では緊急事態宣言が9月末で解除される。宣言期間中は旅行や飲食店の営業を制限する要請が出ていたが、10月からは一部緩和される。感染状況がさらに落ち着いてくれば制限緩和が段階的に進む見通しで、経済活動の本格的な再開に向けて自治体は経営が傷んだ事業者の支援を急ぐ。
埼玉県は産学官で構成する県戦略会議で9月上旬、感染拡大期から収束後までを念頭に置いた経済支援策の枠組みをまとめた。県民限定クーポンの配布や接種証明を活用した観光誘客、飲食店の業態転換支援、オンラインとリアルを融合したビジネスマッチング推進などを盛り込んだ。10月以降、具体的な支援策を順次実行していく考えだ。
横浜市は12月から市内飲食店支援のための消費喚起策を実施する予定だ。飲食店が発行したレシート金額の5%が、スマートフォン決済アプリなどを通じて消費者にポイントや現金で還元される仕組みで、40億円の事業効果を見込む。
千葉県の熊谷俊人知事も感染状況を見ながら飲食や旅行の再開を探る意向を示す。28日、「どういう段階で(県独自の観光支援策である)『ディスカバー千葉』を含めて旅行などを後押しするのかしっかり考えていきたい」と述べた。
政府が呼びかける行動制限の緩和に向けた実証実験も埼玉県内や横浜市内で検討されている。埼玉県は日程や場所、方式について具体的な協議を進めている。接種証明やPCR検査の陰性証明、飲食店の第三者認証制度を活用し、「感染防止対策と社会経済活動を両立させる」(大野元裕知事)狙いだ。神奈川県は横浜市内での実験に協力する。
ただ、自治体の間では感染再拡大への警戒感も強い。東京都は6月下旬、酒類の提供を条件付きで認めたものの、1人の感染者が何人にうつすかを示す実効再生産数が上昇したなどとして、7月に再び全面的な提供自粛を要請した。
10月からは、感染対策が徹底していると都が認証した店での酒類提供を認めるが、都の担当者は「1テーブル4人以下とするルールを守るなど、感染抑制行動をとりながら楽しんでほしい」と呼びかける。感染が拡大に転じれば制限が再び強化される可能性がある。小池百合子知事は「事業者と利用者の協力を得ながら、確実に感染を抑え込みたい」としている。

⚫️2021.9.27NewsPicks📱

先行きが読めない経済情勢の中で、雇用環境が厳しくなっている業界や企業が増えています。今後、早期退職などで退職金を支給する企業が増えることが見込まれる中、2021年度の税制改正で短期(5年以内)の勤務年数の者に支給される退職金に係る所得税が増税されることになりました。そこで今回は、2022年以降に適用される「勤続5年以内の退職金」についての課税強化の概要とその影響について解説いたします。
退職金の課税のしくみ
まず、退職金(退職所得)にかかる所得税のしくみを見てみましょう。
退職金への課税は他の所得に比べ非常に優遇されており、主に3つのメリットがあります。
●退職所得の3つのメリット
①退職所得控除
退職所得の計算上、退職金から勤続年数に応じた退職所得控除を差し引くことができる。
②2分の1課税
上記①で計算された金額をさらに2分の1した金額を退職所得(課税対象)とすることができる。
③分離課税
上記②で計算された金額を他の所得と合算することなく、その金額だけを基準に累進課税の税率を適用できる。
まず、勤続年数に応じて計算される退職所得控除が認められており、さらにその控除後の金額の2分の1が原則として課税対象となります。また、分離課税という有利な課税制度を選択することができるため、所得税の納税負担は大幅に抑えられています。
退職所得は、長年の勤務をねぎらう意味で支給されるものであることや、今後収入が減る中での老後資金に充当されることも多いことを想定されています。そのため、「他の所得とそのまま合算して累進課税の適用を受けるのはなじまない」との考えから、他の所得と比べ税負担が少なくて済むような配慮がされているのです。
勤続5年以下の退職所得の規制強化
この退職金への課税は、あまりにも優遇されているという指摘が以前からありました。実際、特定役員等の退職金については、2012年度改正で規制強化の措置が既になされています。当時のキャリア官僚の天下りなど、特権階級の優遇を認めないという背景から、勤続5年以下の特定役員等の退職金については「2分の1」課税を認めないことになったのです。
しかし今回の2021年度の税制改正では、特定役員等以外の「従業員」に対しても規制の対象が広がります。従業員であっても、勤続年数が5年以下の場合は、課税額が300万円を超える部分については「2分の1」課税が適用できなくなるというものです。この措置は、2022年以降の支給分からが適用となります。
●2021年度税制改正のポイント(2022年以降に支給分から適用)

筆者作成
とはいえ、今回の改正点である「5年以下」という短い勤務年数の従業員に300万円を超える退職金が支給されることは、現実的には少ないのではないかと思われます。
では今回なぜこのような改正が行われたのでしょう。従来から外資系企業のような完全実力主義の会社では、短期間の雇用契約を結ぶ際、月給を抑える代わりに退職金を上乗せすることで従業員が税軽減を享受するケースが散見されていました。このような制度の本来の趣旨にそぐわない節税策が問題視され、今回の改正に至ったと考えられています。
勤続5年以下で退職金が出る場合、どのくらい手取りに影響がある?
ただ、今後は長期間ものあいだ1つの会社にずっと勤め上げて定年退職するという働き方よりも、自分のライフスタイルや自分を最大限活かせる企業に転職をしていくという働き方がスタンダードになっていくことが考えられます。そこで、勤続5年以下で退職金が出る場合はどのくらい手取りに影響があるのかを試算してみました。
例えば、勤続期間が5年で600万円の退職金を受け取った場合を考えてみます。
退職所得控除は以下の計算式にあてはめます。
●退職所得控除額の計算式

今回は、勤続期間が5年ですから、①勤続年数が20年以下の場合の式にあてはめて計算すると退職所得控除は200万円(40万円×5年)となります。
600万円から退職所得控除の金額200万円を引いた後の400万円に対し、改正前は全額が2分の1課税ですんでいたものが、改正後は400万円のうち、300万円までの部分は2分の1課税が適用され、それを超える100万円には2分の1課税が適用されないということになります。
この改正により、上記の前提条件では5万円ほど所得税の負担が増加する結果となりました。
●勤続年数5年で退職金を600万円受け取った場合の所得税の変化

【試算】
〈改正前〉
(1)退職所得控除後の金額  600万円-200万円=400万円
(2)退職所得  400万円×1/2=200万円
(3)所得税  200万円×所得税率10%-9.75万円=10.25万円
〈改正後〉
(1)退職所得控除後の金額  600万円-200万円=400万円
(2)退職所得  300万円×1/2+100万円=250円
(3)所得税  250万円×所得税率10%-9.75万円=15.25万円
退職金の税制優遇にまつわるその他の問題点
一方、今回の改正には盛り込まれなかったものの、退職金の税制優遇にまつわるその他の問題点も指摘されています。先ほどご紹介した退職所得控除は勤続20年以下と20年超では計算方法がガラリと変わり、勤続20年を超えると1年当たり70万円ずつ増額する仕組みとなっている点が、人材の流動化を妨げているというものです。つまり、長期間勤め上げた方がより優遇を受けられるという仕組みになっています。
しかし、このような退職所得控除の優遇が、旧態依然とした終身雇用を助長し、新しい仕事にチャレンジしようとする社員のモチベーション低下を招いてしまっているのではないかという懸念です。
そのため、今後、このような退職所得控除の見直しについても、世の中の実情を踏まえ変更される可能性があります。ご自身が退職金を受け取る際にあわてないよう今後の動きにも注目しておきたいですね。

⚫️2021.9.22NewsPicks
【サマリー】
日本人は絶滅危惧種へ?
日本は現在、世界3位の経済大国の位置付け
人口約1億2千5百万人
2053年には一億人を切る
一方で、世界人口は増加するため
世界人口における日本人シェアは低くなり
2100年のシェアは1%を切る

【思ったこと】
これからの世代は
デジタルネイティブ
グローバルネイティブ
でないと
シンプルに稼げない
役に立ちたい対象を日本人だけに絞ると
そもそも日本人が少なくなっていくのだから😢

【記事全文】






米国ワシントン大学の研究所チームの予測によると、2100年の日本の人口は、世界で38位となる(本書より)
 最新刊『世界100年カレンダー』(朝日新書)で、「人口を追えば、未来は見えてくる」と説くジャーナリスト・河合雅司さんは、「このままいけば、2100年に日本人は“絶滅危惧種”となる」と看破する。そんな日本のリアルな現在地について本書より紹介する。
【写真特集】意外な動物もレッドリストに?「絶滅危惧種と侵略的外来種」の動物たちはこちら
*  *  *
■人口減少の現在地

 21世紀とは、これまでその数を増やし続けてきた人類が、ついに長い長い“絶滅の道”を歩み始める分かれ道の世紀となる。人々はどこで分かれ道を選び、どんな道を進みゆこうとしているのだろうか。各国の変貌ぶりを「世界カレンダー」として読み解いていこう。

「世界カレンダー」の編纂は、地球儀をぐるりと回しながら各国の未来図を覗くという極めて難作業となるのだが、出発地は日本にしようと思う。

 遠大な未来絵巻を追いかけるには、自らの足元をいま一度、見つめ直しておくことが大切だと考えるからである。そのほうが、世界全体の理解がより進むはずだ。

 世界における日本の位置づけを一言で説明しようとするならば、やはり「世界第3位の経済大国」というフレーズを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。あるいは、「アジア唯一の主要国(G7)参加国」という言い方もポピュラーかもしれない。だが、「人口」という視点で日本を捉えると、経済大国とか先進国とかとは、少し違う姿が浮かび上がってくる。

 まずは、日本の現在地を確認しておこう。日本は少子高齢化が進み、人口減少社会にあることはいまや小中学生でも知っている常識である。だが、人口減少がどれぐらい進んだかは意外と知られていない。

 総務省の国勢調査の速報値によれば、外国人を含む2020年10月1日現在の総人口は、1億2622万6568人である。国勢調査における日本の総人口のピークは2010年調査の1億2805万7352人なので、この10年間で183万784人減ったことになる。日本人人口に限ると、ピークは2005年調査の約1億2573万人となる。2020年は1億2367万人なので、この15年間で206万人ほど減った計算だ。
人口減少社会に突入したとはいえ、まだそれほど大きく減ったわけではない。激減するのはこれからなのである。そうした意味では、微減にとどまっている2020年というのは、「過去最高水準の人口規模」を誇る段階にあると言って差し支えない。

■日本人は“絶滅危惧種”

 では、そんな史上最高規模の人数を誇る日本は、世界人口においてどの程度のシェアを占めているのだろうか。

 現在の日本は世界第11位の人口大国であり、かなりのシェアを占めているようにも思えるのだが、計算してみるとそうでもない。国連の「世界人口推計」によると2020年の世界の総人口は77億9479万9000人であり、日本の総人口は世界の中ではわずか1.62%を占めるにとどまる。地球規模で捉えると、日本人は“希少種”に分類されるほどに少ないのだ。

 1950年には、日本の人口は世界第5位にあったが、それでも当時の世界人口の3.32%を占めるに過ぎなかった。第二次世界大戦後、日本人がメジャーな存在であったことは一度もないのである。経済が人口規模の影響を受けやすいことを考えれば、こんな少人数で世界第3位の経済大国を維持していることに対し、日本人はもっと胸を張ってもいいのかもしれない。

 ところで、1950年からの70年間で日本人のシェアが縮小した理由は、総人口が減ったからではなく、他国が日本をはるかに上回る勢いで人口を増やしたからであるが、ここから先は事情が変わる。

 社人研の『日本の将来推計人口』(2017年)によれば、2040年の日本の総人口は1億1091万9000人、2053年には9924万人となって1億人を下回る。2063年には9000万人も割り込んで8999万4000人となり、現在と比べて3割ほど少ない規模となる。

 その後も下落を続け、2080年には7429万9000人、2100年は5971万8000人となって現在の半分以下となる。2115年には5055万5000人まで落ち込む。

これまでのように他国の増加スピードに追い付かず相対的にシェアが縮んでいくのではなく、多くの国が人口を増やすのに、自ら「絶滅の歩み」を加速させる時期に入るということだ。

 こうなると世界人口における日本人のシェアは年を追うごとに縮小し、おのずと存在感を失っていく。2100年の世界シェアはわずか0.55%に沈む。この頃になると、もはや“希少種”ではなく“絶滅危惧種”と表現したほうがピタリと来るようになることだろう。

 国連は、日本の人口規模ランキングについて2050年に世界17位、2100年には36位にまで下降すると予測している。国連の推計では2050年は1億580万4000人となっており、社人研の推計値1億192万3000人とほぼ同じだ。しかしながら、2100年は社人研よりも1524万1000人も多い、7495万9000人になると見積もっている。

 これは、国連が2100年の日本の合計特殊出生率を「1.67」とかなり高めに設定して計算していることが理由だが、出産期にある女性人口が激減することなどを考えると国連の推計はかなり甘いと言えよう。2100年にはもっとランキングを下げそうである。いずれにせよ21世紀の日本は「人口大国」の地位を失い、「人口小国」へと転落することは間違いない。

⚫️2021.9.22日本経済新聞📰



新型コロナウイルスのワクチン接種証明の利用拡大が遅れている。欧米では入国制限緩和に使われるが、日本では海外からの感染拡大を警戒して厳重な水際対策を続けている。海外出張者などへの接種証明を導入して2カ月近くたつが、帰国時の隔離措置が維持されており、自治体での証明書の発行も限定的だ。
日本政府が発行する接種証明を待機期間の緩和・免除などに利用できる国はおよそ35の国・地域にとどまる。イタリアは接種証明書と陰性証明書を合わせるなどして隔離期間を免除しているが、中国などは含まれておらず、米国でも証明書が有効なのはグアムのみだ。
出入国の制限は両国が同じ条件を課す「相互主義」が原則となる。日本は世界各国に対し、接種証明者には水際対策の緩和を要請している一方、日本入国時には適用していない。日本の対応が不公平とみている国が多い。
海外からの入国者は出国前に陰性を証明した上で、日本入国時に空港でも再度検査を受ける。ワクチンを接種していれば、さらに陽性者である可能性は低い。自民党幹部は過去に入国した人のうち陽性者であった人の割合など実績を示すよう厚生労働省に求めているが、公表されていない。

接種証明書を受け取る様子(東京都品川区役所)
対象地域が広がらない中、ワクチン証明書の発行数も伸び悩む。内閣官房によると1日の発行数は5000件程度という。東京都目黒区は21日時点で約3000人に発行した。接種完了者の約2%で、8割が出張者や在住外国人だという。大阪市は16日時点で約6100人と0.5%程度だ。目黒区の担当者は「行動制限が緩和されれば、発行件数も増えるだろう」と話すが、再入国時には14日間の待機措置が維持される。この期間は近く10日間に短縮されるが、それでもニーズは限定されそうだ。
ワクチン接種を使った往来再開で日本が遅れているのは、与野党に根強い慎重論があるためだ。野党には水際対策を徹底して感染者をゼロにするよう求める声がある。自民党の外交部会にも「緩和しても感染拡大につながらない科学的根拠を示すべきだ」との訴えがある。
強固な制限が続く日本をよそに海外はぞくぞくと往来の再開に動く。米国は11月から外国人の入国にワクチン接種を義務付ける一方、地域ごとの入国禁止措置は撤廃する方針を打ち出した。英国も10月から日本など17カ国・地域を対象に接種証明で10日の隔離を免除するほか、渡航前の検査も緩和する。
これまで入国時の基準は滞在元が感染拡大地域かどうかが重視されていたが、ワクチン接種の有無に切り替わりつつある。移動の制限緩和は国際的な経済活動の再開に直結するため、経済界からは出遅れを懸念する声がある。
経団連の十倉雅和会長は6日、接種者に入国時の隔離措置を免除するよう求める提言書を菅義偉首相に手渡した。接種有無にかかわらず待機期間を最長10日間に縮めることも求めた。経済財政諮問会議でも民間議員が隔離措置の見直しを提言している。
政府は接種証明の利用を促進するため、年内にスマートフォンアプリでの発行を始める。電子署名つきのQRコードを表示し、接種歴や本人情報を確認できる仕様にする。利用拡大に向けて、入国時の制限措置をどう扱うか再度議論する必要がある。

⚫️2021.9.21日本経済新聞📰

【サマリー】
ウィズコロナがニューノーマルとなる消費者状況は、来年四月頃から
ワクチン普及が日本より進んでいる海外も、いまだコロナ感染者数がぶり返している

【思ったこと】
アフターコロナへの移行等
外部環境の好転に依存して事業計画等を描いている場合
最悪、来年夏ごろから、やんわり回復してくる
くらいに思っていたほうが無難か🤔
政府の資金繰政策も最悪を見据えておくべき(もう財源ないか😢)

【記事全文】
新型コロナウイルスの感染者数がピーク時に比べて減り、経済活動の正常化に向けた施策のメニューも出始めている。第6波への懸念もくすぶるが生活者はコロナ禍とどう向き合っているのか。人流の抑制により大きな影響を受けているファミリーレストラン、ホテル、機内食など幅広く展開するロイヤルホールディングスの黒須康宏社長にウィズコロナ時代の消費の行方について聞いた。
時間の制約緩む
――足元の状況について教えてください。

「第3四半期(7~9月)を見ると7月は大都市圏では梅雨明けが例年に比べて早かったことや五輪関連で人の動きがよかったのでコロナ禍の下としては売上高が最高となった。ただ感染者数が急増した8月は厳しい数字となった」
――コロナは消費行動をどう変えましたか。
「高速道路のサービスエリアにあるレストランや売店は比較的いい。人流規制が緩和されると最初に分かった現象だ。鉄道などの公共交通機関を使う移動よりも自動車のほうが人混みを避けることができて感染の恐れが少ないと見ているからだろう」
「コロナは時間と場所という制約から消費者を解放したと思う。午後のティータイムに遅い昼食をとる客を見かけるようになった。夕食が早めの人もいる。在宅勤務が常態化して時間の使い方の自由度が高まったからだ。テークアウト(持ち帰り)やデリバリー(配達)の利用もそうだ。外食、中食、内食が混然一体となった」
――ウィズコロナがニューノーマルとなる消費の風景はいつごろになると。
「ワクチン接種が進めば10~12月期にはよくなると思っていた。ただ日本より接種が先行し、経済(の正常化)に舵(かじ)を切った米国などで再び感染者数がぶり返しているのを見ると回復はそう簡単ではないことがわかった」
「来年4月ごろに転換点を迎えるのではないだろうか。コロナ禍が2年を過ぎ、これまでの経験や科学的な知見から消費者や社会がどのように感染しづらい環境をつくれるかが次第にわかってくるはずだ」
「感染拡大という不安心理を抱えながら慎重に消費・経済活動を戻そうとすると思う」
客単価160円上昇
――リベンジ消費につながりますか。
「一気に消費活動が活発化するとは思わない。ほふく前進と見ている。また、コロナ禍前に戻るものと、戻らないもの。コロナ禍前よりも市場が拡大するものなどに分かれる」
「ファミレスのロイヤルの客単価はテークアウトを含めコロナ禍前の2019年と比べて160円も上がっている。これは『外食するならいいものをちゃんと食べたい』という気持ちの表れだ。旅行は確実に戻るが、どのような旅行の形態になるか。空港のレストラン、機内食、ホテルの使い方は変わってくるだろう」
――政府による消費刺激策を期待しますか。
「Go To イートやトラベルは一定の効果があったのは間違いない。その施策を生かせるように企業側には自助努力が必要になってくる」

⚫️2021.9.17日本経済新聞📰

新型コロナウイルスの新規感染者数が減少に転じ、医療提供体制の逼迫も緩和している。自宅療養や療養先調整中の患者数は都内で半減し、病床使用率が50%以上で最も深刻な「ステージ4」は11都府県まで減った。政府は緊急事態宣言の解除基準について医療への負荷をより重視する方針で、30日の期限に向けてこうした指標が焦点になる。


厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」は16日の会合で「重症者数は減少に転じているが、過去最大の規模が継続している」とし、「多くの地域で公衆衛生・医療提供体制の厳しい局面が継続している」と分析した。対策の緩和を検討するために「段階的な対応が必要」との見解も示した。田村憲久厚生労働相は「状況をしっかり見ていかなければならない」と述べた。
全国の新規感染者数は人口10万人あたり42人まで減少し、重症者数は1743人と1カ月ぶりの水準まで減ってきた。これに合わせて医療提供体制の状況も和らいできた。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用地域となる27都道府県のうち、病床使用率が50%以上なのは14日時点で11都府県まで減った。この1週間でみると、茨城や群馬、岐阜、静岡、三重各県が新たに5割を下回った。
東京都は50.7%だが前週から9.4ポイント改善した。東京都によれば15日時点では46.7%となった。1カ月半ぶりに50%を下回り、「ステージ3(20%以上)」となった。都の16日の新規感染者は831人で、木曜日で1000人を下回るのは896人だった7月8日以来となった。
7月以降、感染力が強いデルタ型の拡大で新規感染者数が急増する半面、ワクチン接種が進み、重症者に比べて軽症や中等症の患者増加が目立つようになった。
春ごろの「第4波」までとは傾向が異なり、従来の新規感染者数などをもとにすると医療提供体制の状況が把握しにくくなった。
19都道府県で発令中の緊急事態宣言をめぐり、政府は9月に入って第5波の動向を踏まえた新たな解除基準を取り入れた。
新規感染者数の指標は人口10万人あたり25人を目安としていたのを「2週間ほど継続して安定的に下降傾向」と水準よりも傾向に比重を移した。病床使用率や重症者向け病床の使用率、入院率といった医療の逼迫具合をより重視する考えを示した。
第5波で40~50歳代を中心に目立った中等症者数についても「継続して減少傾向」との基準を設けた。中等症者は正確な統計があるわけではない。国立感染症研究所は15日時点の酸素療法が必要となる「中等症2」患者の推計値を示し「全ての宣言地域で中等症以上の患者数は減少傾向にある」と分析した。
宣言を解除する基準には軽症や中等症の患者を観察する保健所の逼迫具合をみる指標を設けた。大都市圏は自宅療養者や療養先を調整中の人が「人口10万人あたり60人程度に向かって確実に減少」という条件を解除の前提とした。
この新たな指標は14日時点で東京都で60.7人、神奈川県は54.6人だった。いずれも7日時点からほぼ半減し、解除基準まで下がってきている。大阪府は123.1人、愛知県は163.3人と、なお高い水準にあるがいずれも減少傾向にある。
緊急事態宣言は30日に期限を迎える。政府は来週以降に医療逼迫に関する指標を見極めて解除や延長の判断を下すことになる。

⚫️2021.9.14日本経済新聞📰

【サマリー】
ワクチン接種証明による経済活動の再開を早くするべき一方で
デルタ型への警戒も怠ってはいけない💉

【思ったこと】
経済活動再開
感染拡大防止
両立がほんとうに難しい
なんとか、バランスを🙏
企業活動からすると、接種証明による経済活動再開は、命綱

【記事全文】
新型コロナウイルスのワクチンを2回接種した人が国民の5割を超えた。今の接種ペースが続けば11月ごろまでにほとんどの希望者に行き渡る。ワクチンの効果を生かし、社会経済活動の範囲を広げていく方策も考えるときだ。
菅義偉政権は接種証明や検査による陰性証明を活用した行動制限の緩和の基本的な考え方をまとめた。周囲にコロナを感染させるリスクが低いことが接種証明や陰性証明で確認できる人を対象に、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域でも行動制限を緩めるものだ。
11月ごろから感染対策の第三者認証を受けた飲食店で営業時間などの制限を緩めたり、県境をまたぐ旅行を自粛要請の対象外としたりすることを想定している。
自民党総裁選や衆院選では従来の対策とのバランスなどの議論を深め、コロナとの共生を前提に社会経済活動を広げる工夫を着実に進めるべきだ。
いまコロナに感染しているのはワクチンを接種していない人が中心だ。接種を終えた人から活動範囲を広げていくのは、感染防止と経済活動を両立させる観点からも理にかなう。欧米でも接種率が5割を超えた段階で接種証明の活用を始めた国が目立つ。
行動制限の緩和は、ワクチンを打つインセンティブにもなるはずだ。営業制限に協力する外食店などの我慢も限界に近い。政府は接種・検査証明のデジタル化など、円滑に活用できるようにする準備を急いでほしい。
接種証明の活用が未接種者に対する差別的な取り扱いにつながることはあってはならない。就職や入学、選挙の投票で未接種者を排除するといった使い方は不当だ。政府は差別的な取り扱いを避けるために、業種ごとの具体的な指針をつくるべきではないか。
デルタ型の強い感染力への警戒も欠かせない。今年春に行動制限を緩めたイスラエルでは、12歳以上のワクチン接種率が8割弱に達しているのに感染者や死亡者が急増した。日本は海外事例や最新の知見を踏まえ、緩和対象や運用ルールを考える必要がある。
行動制限の緩和は医療の充実が前提になる。感染者が増えても医療へのアクセスが確保され、重症化を極力抑えることができる体制が要る。治療薬の開発・承認や、病床を機動的に増やすための臨時医療施設の整備を急ぐべきだ。

⚫️2021.9.9日本経済新聞🗞

【サマリー】
景気回復は冬以降☃️
民間エコノミスト予測

【思ったこと】
冬以降も厳しく、実態的には、来年夏以降なのではないか?😢

【記事全文】
景気の本格回復は冬以降にずれ込むとの見方が広がっている。民間エコノミストの経済予測では7~9月期の経済成長率はプラス1.2%にとどまった。変異ウイルスの広がりで緊急事態宣言が長引き、消費低迷が全体の足を引っ張っている。国内総生産(GDP)が年内にコロナ前水準に戻るとの政府見通しの達成は楽観を許さない。


8日に内閣府が発表した4~6月期のGDP改定値は、実質経済成長率が前期比年率でプラス1.9%だった。設備投資などを上向きに見直し、プラス1.3%だった速報値に比べ0.6ポイント上方修正になった。ただ、マイナス4.2%と落ち込んだ1~3月期からの戻りとしては弱い。
日本経済新聞社が民間エコノミスト10人に今後の経済見通しを聞いたところ、7~9月期の成長率は平均で前期比年率プラス1.2%となり、前の期から減速する。「消費は弱い動きで、景気の停滞感が強い状態が続くだろう」(第一生命経済研究所の新家義貴氏)との見方が大勢だ。
成長率が高まるのは10~12月期まで遅れる。予測平均はプラス4.8%で2020年10~12月期以来の高い成長率になるとみる。「ワクチン接種が進み、行動制限が緩和される中で、経済活動が回復していく」と新生銀行の伊藤篤氏は指摘する。
政府は7月時点の経済見通しで、21年のうちにGDPがコロナ流行前の水準まで回復すると掲げた。だが感染力の強いインド型(デルタ型)が流行し、回復シナリオに不透明さが出ている。エコノミスト10人に「GDPがコロナ前の19年10~12月期の水準に戻る可能性」を聞いたところ、平均は55.5%だった。10人中4人が可能性は5割未満と回答した。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「年内は行動制限が残る可能性が高くGo To キャンペーンなどの需要喚起策も実施は難しい。リベンジ消費は期待できない」としてコロナ前水準の年内回復は厳しいと見込む。
「消費増税前の水準に達する22年4~6月期以降を本格回復と位置付けるべきだろう」と指摘するのはSMBC日興証券の丸山義正氏。「GDPギャップがプラスに転化し、好況感が強まる時期は23年後半まで待つ必要がある」と話す。
冬以降の回復シナリオにもリスクは多い。「半導体の供給不足を受けた自動車の減産が引き続き下押し要因になるだろう」(みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介氏)と供給網の混乱を警戒する声は強い。野村証券の美和卓氏は「中国の経済に対する国家統制の強化の動きが、資産市場の調整を巻き込みながら経済の下振れを引き起こす展開は懸念材料だ」と分析する。
今後の政策をどう描くかは日本経済の先行きを左右する。
BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は「医療体制強化なしには経済活動の早期の正常化は困難かもしれない。有事に対応可能な医療体制、社会体制の構築を総裁選の争点とすべきだ」と強調する。大和証券の岩下真理氏は「コロナ後の日本のあるべき姿、特にグリーン化とデジタル社会の実現についての議論を期待したい」と述べる。
経済対策も含め、新政権がどのような政策パッケージを適切なタイミングで打ち出していけるかが焦点となる。

⚫️2021.9.8日本経済新聞📰

【サマリー】
個人消費落ち込み
コロナ長期化により、低迷が続く
ワクチン接種証明もこれから制度が整う

【思ったこと】
ワクチン接種証明をベースに経済活動の回復を図ることは必須
でないとtoCビジネスがさらに厳しい状況に😔

【記事全文】
入場制限を示す百貨店入り口の案内(8月)
個人消費が伸び悩んでいる。祝日増などで7月後半の消費は盛り上がったものの、8月に入り再び低迷した。東京都で連日、2千~5千人台の新型コロナウイルス感染者数が報告され、百貨店での感染も相次ぎ、消費マインドが冷え込んだ。コロナの収束が見えない中、個人消費の低迷は長期化が懸念される。
7日に総務省が発表した7月の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は26万7710円だった。前年同月比で実質0.7%増と2カ月ぶりのプラスになった。
データ分析を手掛けるナウキャスト(東京・千代田)とJCBがクレジットカードの決済額をもとにまとめた「JCB消費NOW」でも7月後半は個人消費は好調だった。消費額は新型コロナ感染拡大前で消費増税の影響がなかった2016~18年同期の平均と比べて0.2%減と、コロナ前の水準に近づいた。マイナス幅は今年で最も小さくなった。
コロナ前に比べて20~30%程度の落ち込みが続いていた外食は9.6%減まで悪化幅が縮小した。4連休なども影響し、喫茶店やカフェが好調で、ファミリーレストランにも回復の兆しがみられた。
東京五輪の開幕でテレビ観戦が広がり、宅配ピザなどのフードデリバリー需要も高まった。


ただ8月になると一転、上旬の消費額は6.8%減と大きく落ち込んだ。東京都の感染者数が7月31日に4000人を突破。全国的に感染者数が拡大し、緊急事態宣言の範囲も広がったためだ。
特に百貨店は、8月上旬は54.5%減と大幅なマイナスとなった。伊勢丹新宿本店(東京・新宿)や阪神百貨店梅田本店(大阪市)などで多数の感染者が出て、地下食品売り場(デパ地下)の入場者制限などにつながった。
三越伊勢丹によると、伊勢丹新宿本店の8月の食品の売り上げは、前年同月比9%減と7月(16%増)からマイナスに転じた。デパ地下での感染拡大に伴い一部の洋菓子店や総菜店が休業した影響が大きかった。
サービスも19.5%減と落ち込んだ。緊急事態宣言の影響でファミレスや居酒屋が大幅に悪化し全世代で落ち込んだ。旅行ではワクチン接種の進展でシニア層の消費拡大を期待する向きもあったが、低迷が続いている。
クラブツーリズムでは、7~8月の旅行取り扱い実績がコロナ前の19年同月の1割だった。緊急事態宣言が発令されている地域を発着するツアーを中止しており、宣言期間の延長が影響した。
例年行楽シーズンとなる10月の予約状況は19年同月の3割ほど。担当者は「感染状況を見極めるため直前まで予約をしない人も増えている」と話す。
8月後半の個人消費もあまり期待できない。インターネット調査のマクロミルが調べた週次の支出額はコロナ前の16~18年平均に比べ1割程度落ち込んでいる。
21都道府県に発令中の緊急事態宣言の期限が迫るが病床の逼迫は続き、延長の可否が協議される見通しだ。大和総研の鈴木雄大郎エコノミストは「9月いっぱいまで延長されれば、個人消費の本格的な回復は10~12月期になるだろう」と指摘する。
政府はワクチン接種・検査証明などを活用したウィズコロナ時代の経済活動のあり方について検討に着手した。ただ、制度設計はまだこれから。自民党総裁選や衆院選などで政策展開に空白が生じれば、それだけ個人消費に関わる事業者の苦境を長引かせることになる。

⚫️2021.8.30日本経済新聞📰

「サマリー」
9月12日の緊急事態宣言解除は、実質難しいという記事😢

「思ったこと」
経済活動が、死ぬ😢
企業活動が、より苦しくなる😔

「記事全文」
田村憲久厚生労働相は29日のNHK番組で、9月12日に期限を迎える新型コロナウイルスを巡る緊急事態宣言の解除について、東京都などは「現状を考えると多分かなり難しい」との見通しを示した。田村氏は「東京1つとっても(1日あたりの新規感染者が)500人未満にならないと解除できない」と指摘。東京都は29日、感染者が新たに3081人確認されたと発表しており新規感染者数でみた解除基準を大きく上回る状況が続いている。

⚫️210811日経

世界各国の政府や企業が働き手のリスキリング(学び直し)に動き出した。新型コロナウイルス収束後の経済再開をにらみ、デジタル関連など成長分野へ人材をシフトさせるためだ。労働移動による産業構造の変化が進めば、経済の押し上げ効果は世界で約700兆円に達するとの試算もある。スキルを高めて生産性を上げられるかどうかが各国の競争力を左右しそうだ。(「リスキリング先進国の事例」を経済・政策面に)

英国で4月、「ポストコロナ」の経済政策の目玉が始動した。その名も「ライフタイム・スキルズ・ギャランティー(生涯技能保障)」。成人がプログラマーやエンジニアなどの人気職種に就くための専門教育を提供する。受講は無料。関連事業に25億ポンド(約3800億円)を投じる。ジョンソン首相は「パンデミックからの復興のカギを握る」と強調する。
世界の主要国がいま、働き手のリスキリングを競う。ワクチン接種の拡大による経済回復への期待が高まるにつれ、「今ある雇用の維持」から成長分野への労働移動を促す職業教育に政策の軸足を移しつつある。
米国ではバイデン大統領が3月に発表した「米国雇用計画」に製造業や環境分野など成長産業の労働力開発へ1千億ドル(約11兆円)を投じる方針を盛り込んだ。韓国やデンマークなども、IT(情報技術)や環境分野の専門知識を習得する公的職業教育プログラムを拡充している。
迫る技術的失業
「技術的失業」の脅威が迫っている事情もある。人工知能(AI)の普及や自動化の進展で人間の仕事の多くが機械に代替されるとの見方が広がった。反対に、データ分析やサイバーセキュリティーなど新しい仕事は担い手が不足する。
世界経済フォーラム(WEF)は、2025年までにデジタル化の加速で事務職など8500万人分の雇用が失われるが、AI専門家など9700万人分の新たな雇用が生まれると予想する。
WEFの試算によると、リスキリングの実施は働き手の生産性の改善などを通じ、世界の国内総生産(GDP)を30年までに6.5兆ドル底上げする。WEFのシュワブ会長は「人々を貧困から守る安全網を整備する」と強調する。

各国のモデルとなるのがシンガポールだ。建国以来、外国人労働者の受け入れ拡大をテコに高成長を遂げたが、失業増などを懸念する国民の不満が高まった。10年代半ば、新たなスキルを学んでもらい1人当たりの生産性を高める政策に転換した。2万5千種類以上の訓練コースや、25歳以上の全国民に500シンガポールドル(約4万円)の訓練費を支給する制度を整備した。
関連政策を立案・実行する政府機関に国内主要企業や大学のトップが参加する。20年には40~60歳に支給する訓練費を増額した。総人口の1割に当たる約54万人が国の支援制度を利用した。
人材投資に遅れ
翻って日本は職業訓練への公的支出のGDP比が主要国でも最低水準だ。17年時点で0.01%と米国の3分の1、ドイツの18分の1にとどまる。コロナ禍では企業の休業手当を助成する雇用調整助成金に4兆円超が投じられるなど、雇用政策の力点はなお失業抑制に置かれている。
デジタル化の遅れや生産性の低迷など、コロナ禍が顕在化させた日本の課題は多くが人材投資の遅れに起因する。リスキリングを成長戦略の中核に位置づけることが求められている。

210727日経

厚生労働省は雇用保険の保険料率を引き上げる検討に入る。新型コロナウイルス感染拡大で雇用調整助成金(総合2面きょうのことば)の給付が増え、財源が逼迫しているためだ。国費投入のほか、企業や働く人の負担も増える。フリーランスの働き手の拡大など、働き方が多様化する中で財源の確保策とともに、雇用の安全網をどういう中身にしていくかも課題となっている。
雇用保険は仕事を失った人が生活に困らないようにする失業者など向けと、雇用安定・能力開発の2つの事業に大別される。企業などからの保険料収入を財源にし、好景気の際の積立金も使って給付する仕組みだ。
ただ、コロナを受けて雇用安定の事業の一部である雇調金の給付が急増した。企業が労働者に支払う休業手当を助成するもので、コロナを受けて支給要件緩和や助成拡充の特例を設けた。2020年3月以降の支給決定額は4兆円超になった。
財源が不足し国の一般会計から約1兆1千億円を繰り入れ、失業者向け事業の積立金からも約1兆7千億円を借りた。この積立金はコロナ前の19年度に約4兆5千億円あったが21年度に約1700億円に減る見通しだ。
積立金に余裕があったため16年度以降、保険料率を下げているが、健全化に向けて22年度にも引き上げる。企業が負担する雇用安定・能力開発の料率は現在は賃金総額の0.3%。本来の0.35%を目安に上げる。コロナが落ち着けば年間給付を賄える可能性がある。

失業者向け事業の料率は労使折半で本来1.2%だが、現在は0.6%にしている。保険料収入は0.1%の引き上げで年2千億円増え、1.2%の場合の労使の負担は1兆円規模で増す。月収30万円の人だと保険料は900円から1800円に増える計算になる。
上げ幅は給付の対象者数や経済状況を勘案して決める。負担増になるだけに雇用保険全体の役割の見直しも課題となる。
コロナ下で雇調金は雇用維持に一定の効果が出ているが、休業手当を補う内容のため、人手があまる業界に働き手がとどまりかねない。長引けば労働市場の調整機能がゆがむ面もある。人手が必要な成長分野への移動が起きるよう学び直しの機会を増やす必要がある。
雇用保険の対象にならないフリーランスの働き手の経済危機時の対応をどうするかなど、日本社会で働き方が変わる中、雇用のセーフティーネットを巡る課題は多い。
財源を巡っても、雇用安定・能力開発の財源は企業のみが負担しており、経団連などは国の一般会計の負担拡充を求めてきた。英国やドイツは失業給付を労使の保険料収入でまかなう。欧州では雇用支援の多くを国費で支える国もある。
日本政府も国費投入などで21年度は雇調金で約1兆2千億円分を確保するが、4月からの約4カ月で支給額は8千億円を超えた。この規模の支出が続くと21年度末までの財源が足りず、緊急措置として一般会計からの追加投入を視野に入れる。
料率見直しは労使代表者と有識者らでつくる労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で秋にも具体的な議論に着手する。22年の通常国会にも雇用保険法改正案を提出する。

191011日経
日本の人口減少は間違いなく経済に強烈な悪影響を及ぼす。消費者が減ると経済はどうなるかを知りたければ、発展途上国のように見える疲弊した日本の地方の町を見に行けばよい。この危機には働き方改革、外国人労働者の受け入れ、少子化対策、現代貨幣理論(MMT)、日銀の金融緩和といった程度の政策では対処できない。

国内総生産(GDP)は人口かける生産性なので、人口が減ると生産性を上げないといけない。しかし日本の産業構造はあまりにも非効率だ。従業員30人未満の企業で働く労働人口の比率が高すぎる。労働力が集約されていないので、大幅な生産性向上はほぼ不可能だ。
この問題を解決するには包括的な経済政策が必要だ。中小企業を合併させて数を減らし、労働者を中堅企業と大企業に集約させる。それには企業に合併するメリットを提供すると同時に、最低賃金を引き上げて生産性の低い企業を刺激する必要がある。
政府が徹底的な対策を断行しない場合、最悪のシナリオを想定しないといけない。国家破綻すら十分想定できる。
日本は巨大な自然災害がいつ起きてもおかしくない。南海トラフ地震と首都圏直下型地震が同時に起きた場合、2100兆円余りの直接的、間接的な影響があると東京大学生産技術研究所の目黒公郎教授が指摘している。かつてのように財政が健全なら対応できるが、産業構造の非効率性がもたらす世界最悪の財政の下では、致命的な打撃を受けることが予想される。
この問題の深さ、規模、恐ろしさを理解するには、日本経済の仕組みを理解し、データに基づいて計算し、シナリオ分析をする必要がある。この問題は国家としての運命を決めるものなので真剣に、高度な議論が求められる。きちんとした分析、高度な統計学に基づいた検証も不可欠だ。
データを押さえていない人は感覚的に考えて「イノベーションで対応できる」「人工知能(AI)、ロボット、日本の技術力で対応できる」という。また「最低賃金を毎年5%引き上げたら中小企業は大変だ」と反論するだろう。日本国内でも最低賃金の議論があるが、世界の論文を読んでいれば、専門知識に乏しい、根拠のない初歩的な反論が多いことがわかる。
私は最低賃金を議論するにあたって英国の例を使うことが多い。英国には低賃金委員会(Low Pay Commission)という政府の諮問機関がある。専門性が極めて高いメンバーで構成され、データを集めて統計の専門家が検証し、根拠に基づいた論理的な検討を徹底している。毎年、200ページ以上の報告書も発表している。
英国が最低賃金を上げながら雇用への影響が出ていないのは偶然ではない。低賃金委員会が多面的な科学的分析に基づいて最低賃金の引き上げ幅を提言しているからだ。
日本の生産性向上の議論は根拠に基づいていないし、大学などの検証もレベルが低い。英国より日本のほうが生産性向上が急務なので専門組織をつくって、科学的な検証を充実させるべきだ。

200218日経

内閣府が発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.6%減り、年率換算では6.3%減少した。昨年10月の消費税率引き上げに加え、天候不順が個人消費や住宅投資を冷やしたためだ。
落ち込みは大きいが、5四半期ぶりのマイナス成長は想定内だ。懸案はここから先である。
20年1~3月期に成長軌道に復帰するという当初のシナリオは、中国発の新型肺炎の感染拡大で揺らいでいる。日本経済は予断を許さない局面を迎えた。
10~12月期の実質GDPを需要項目別にみると、GDPの半分強を占める個人消費は前期比2.9%減った。消費増税や大型台風のあおりで自動車や家電といった高額の耐久財の販売が低迷し、暖冬基調で衣料品も伸び悩んだ。
堅調だった企業の設備投資が同3.7%減と失速したのは、世界経済の変調への警戒感を映す。唯一、災害復旧費用など公共投資が1.1%増と4四半期連続で伸びたが、民間部門の不振を下支えする力には乏しい。
成長率(1.6%)に対する国内需要の寄与度はマイナス2.1ポイント。外需はプラス0.5ポイントと成長を押し上げた格好だが、実際には輸入が大幅に減ったにすぎない。
安倍政権発足以来、四半期GDPがこれだけ落ち込むのは、消費税率を8%に引き上げた14年4~6月期(前期比1.9%減)以来のことだ。この時は翌四半期からすぐにプラス成長に回復し、景気後退局面入りを回避した。今回は足腰の強さが問われる。
当面、新型肺炎がインバウンド需要の激減にとどまらず、国内消費の手控えにもつながるのは必至だ。中国経済や国際物流の混乱に対応した、懐の深い代替戦略の成否も企業業績を左右する。
世界経済が一気に腰折れすると過度に悲観するのは時期尚早だ。
米国は消費や雇用が力強い。劇的に進む経済デジタル化への期待感は揺らいでおらず、株式相場はなお高値圏を維持し、金融緩和の余地を残している。中国当局も景気のてこ入れへ政策総動員で臨むだろう。
7月に東京五輪を控え、喫緊の課題は新型肺炎の周到な封じ込めに尽きる。官民はあらゆる対策と知恵を結集して異例の逆風を乗り切る。企業経営者と政策当局者の実力は、有事でこそ問われる。

200220日経
2020年に4千万人の訪日外国人客を受け入れるとしてきた政府目標の達成が早くも厳しさを増している。日本政府観光局(JNTO)が19日に発表した1月の訪日客数は前年同月比1.1%減の266万1千人だった。2月以降は新型コロナウイルスの感染拡大によって中国客の激減が避けられない見通しで、厳しいスタートとなった。(1面参照)

1月の訪日客数が減少した主な要因は19年から続く韓国客の激減だ。前年同月比59.4%減の31万6800人で、19年8月以降は6カ月連続で前年実績の3割強から約5割にとどまる状態が続いている。日本政府の輸出管理強化をきっかけとした日韓関係の悪化の影響が長引いているためだ。
ただ韓国客については最悪の時期は脱したという指摘も出始めていた。一息つくかに見えたところで急速に影響が広がってきたのが新型コロナウイルスだ。19年の訪日客3188万人のうち、中国は959万人、韓国は558万人で、合計すると全体の5割を占める。韓国客が激減する中で19年の全体の訪日客数が前年比2.2%の伸びを確保できたのは、中国客の増加に支えられたところが大きかった。
中国人客は1月全体でみると22.6%増の92万4800人と、1月として過去最多を記録した。しかし観光庁によると、1月下旬以降は感染拡大で航空便やクルーズ船の往来が急速に細り、春節(旧正月)休暇中(1月24日~2月2日)の中国人客は前年から約2割減った。2月以降は激減が避けられず、20年は4千万人どころか「19年比で増加を維持することすら難しいかもしれない」(観光庁幹部)との不安の声が早くも出始めた。

中国客は19年の実績で訪日消費全体の4割弱を占めており、地域の観光業や小売業への影響は大きい。政府は当面の緊急対応として資金繰りのサポートを決めているが、支援策の拡充を求められる可能性もある。
新型コロナウイルスの影響は中国だけにとどまらない。19年の訪日客数で中韓や台湾、香港、米国に次ぐ規模だったタイは日本への渡航自粛を自国民に呼びかけ始めた。日本での感染拡大がその他の東南アジア各国や欧米からの訪日控えにつながれば、訪日客数の一層の下押しにつながる。
4千万人の目標達成には19年の3188万人から25%の上積みが必要で、当初から実現は難しいとみられていた。訪日客が中韓をはじめとした東アジアに偏っていることのリスクはかねて指摘されており、今回の感染拡大によって顕在化した。欧米や東南アジアからの受け入れ拡大による分散が急務といえそうだ。

200220日経

内閣府は19日に公表した報告書「世界経済の潮流」で、米中貿易戦争による世界景気の減速について2010年代の過去2回の減速局面と比べ回復が鈍いとの分析を示した。貿易量の減少や製造業の景況感の落ち込みが目立ち、生産の伸び悩みも特徴的だという。さらに新型肺炎の流行を踏まえ「世界経済全体の下押し圧力となる可能性に留意が必要」と指摘した。
10年代には11~13年の欧州債務危機、15~16年の上海株急落の2回の世界景気の減速期があった。ただ、いずれも貿易量は横ばいか増勢だった。今回は18年から続く米中摩擦の下で減少傾向が続く。輸出が減っている国・地域の数も多い。全体として「減少幅が大きく、回復も遅い」という。
足元では製造業の低迷もくっきり浮かぶ。過去2回の減速局面は世界の鉱工業生産は増勢を保っていたが、18年以降は伸びが低下傾向をたどり、19年10月には減少に転じた。景況感をみても今は製造業で低下が顕著だ。
現在の景気減速に追い打ちをかけるように新型コロナウイルスの感染も拡大している。終息まで時間がかかれば「実体経済や金融資本市場に与える影響は大きなものとなる」として注視する姿勢を示した。

200302日経

新型コロナウイルスの感染拡大が、地方景気を悪化させる恐れが強まってきた。中国からの航空便欠航やイベント中止による観光客急減に続き、部品の供給が滞っている製造業にも影響が及びつつある。地域によっては経済損失額が数カ月で1千億円に達するとの試算もあり、政府や日銀による各地の景気指標には先行き不安が目立つ。

さっぽろ雪まつりは新型コロナウイルスの影響で来場者が振るわなかった(2月、札幌市)
「部品が入ってこないのでは仕方がない。(生産調整が)長期化するのではないかと不安になる」。中国製部品の調達が困難になり、2月に完成車の生産ラインを一時停止した日産自動車九州(福岡県苅田町)の男性従業員はこう話した。金沢市に本社があるパソコン周辺機器メーカーのアイ・オー・データ機器は、中国の企業と新商品の電子黒板を開発しているが、中国に社員を送り込めず、現地での開発に支障が出ている。

地方空港と中国を結ぶ航空便は運行停止が相次ぎ、中国人観光客は急減している。新潟空港では中国東方航空の上海路線と中国南方航空のハルビン路線が4月末まで欠航となった。佐賀空港では格安航空会社(LCC)の春秋航空が上海路線の運航を段階的に停止した。
業績を下方修正

地方企業の中には業績見通しを下方修正する動きが出ている。ロイヤルホテルは2020年3月期の営業利益を従来予想より14億円下方修正。新型コロナの拡大に伴う中国からの団体客の減少が影響するという。西日本鉄道も新型コロナの感染拡大で国際物流部門などに影響が出るとみて、20年3月期の連結純利益の予想を引き下げた。

自治体やシンクタンクは新型コロナによる地域経済への影響額を試算。北海道は「中国人観光客の減少が3月まで続くと観光消費が少なくとも200億円以上減る」との予測を公表した。中国政府による海外への団体旅行禁止が3月末まで続いた場合、北海道を訪れる中国人観光客は約9万人減少するという。
静岡経済研究所(静岡市)は新型コロナによる宿泊客の減少が6月まで続いた場合、静岡県内で累計1071億円の経済的損失が生じると試算した。県内の宿泊関連事業者への聞き取りなどを基に、2~6月の宿泊や飲食などの損失額を推計した。前年同期の3分の1が失われる計算だ。
地域の景気見通しにも悪化の動きが出ている。内閣府がまとめた景気ウオッチャー調査(街角景気、1月下旬実施)では、全国11地域のうち10地域で19年12月より先行き判断指数(DI)が低下した。愛知、岐阜、三重、静岡の東海4県では「新型コロナの影響で訪日客のキャンセルが相次いでいる」(ホテル)、「中国に工場を持つので、操業の停止期間や部品供給の動向によっては業績に大きな影響が出る」(電気機械器具製造業)などの声があがった。
日銀大阪支店は2月の関西金融経済動向で、景気判断を「基調としては緩やかな拡大を続けているものの、足元では新型コロナウイルス感染症の影響がみられている」と従来より引き下げた。引き下げは4年3カ月ぶりだ。山田泰弘支店長は「中国との強い結びつきを踏まえると、関西での影響は大きい」と語った。
中小支援策急ぐ

地域金融機関は相談窓口の開設や、緊急融資を開始している。岩手銀行は訪日客が減って高級肉の需要が落ちた畜産業者に運転資金を融資。中国からの輸入が止まった製造業者や、輸出入貨物の減少に悩む運送業者などからも相談が寄せられている。
自治体も制度融資などで企業を支えている。静岡県は中小企業向けの制度融資に専用枠を設けた。直近1カ月間の売上高が前年同月比で1割以上減り、今後2カ月間を含む3カ月間の売上高が前年より1割以上減少することが見込まれる中小企業に最大5000万円を融資する。専用枠を設けるのは東日本大震災以来9年ぶりだ。
自治体予算に新型コロナ対策費を計上する動きも目立つ。富山県は19年度当初予算の予備費から2230万円を計上し、検査設備を1台増やすほか、防護服700セットなどを購入する。京都府は2月補正予算案に新型コロナ対策費として約20億円を計上。感染拡大の影響で売上高が減少した中小企業への緊急融資などに充てる。新型コロナの影響を迅速かつ徹底的に押さえ込めるかが、今後の地域経済の行方を左右しそうだ。

200610日経
新型コロナウイルス感染拡大を受けた外出自粛や休業要請が、企業活動に影響を及ぼしています。宿泊・飲食サービスの業績悪化だけでなく、サプライチェーン混乱の影響が製造業にも出始めています。
こうした影響は中小企業で特に深刻だとされます。販売先や仕入れ先が分散しておらず、手元資金や借り入れにも限界があるためです。政府・自治体も金融面での支援策などを通じて、企業活動へのショックを抑えようと努めています。
大きなショックの最中では棚上げされがちですが、日本の中小企業についてはこれまで、様々な立場から議論が展開されてきました。経済を下支えする役割を重視する立場からは、継続的な政策的支援を求める意見が見られました。また特に非製造業に属する中小企業の低生産性が広く認識されたことで、何らかの対策がなければ日本経済全体の成長も望めないという声も上がっていました。
中小企業を巡る議論は利害関係者も多く、様々な見方が交錯するため、政策的にも慎重な対応が進められてきたといえます。
再度冒頭で示した未曽有のショックに目を向けましょう。今後、日本経済はどのような方向へ進むのでしょうか。この問題を考えるには、社数ベースで日本企業の99%超を占める中小企業の現在を、客観的データに基づいて把握することが重要です。そのうえでコロナショックの影響も踏まえながらその未来を見通すことが役に立ちそうです。
本連載ではまず、中小企業の現状を2020年版中小企業白書などのデータをもとに描写します。複数の指標を用いた整理から、「社数が多いのだから支援すべきだ」といった単純な話ではないことが明らかになります。次に、現状を踏まえた中小企業政策の方向性を議論します。最後にはコロナショックが中小企業の未来をどう変えるのか、その結果として日本経済がどんな方向へ向かう可能性があるのかも検討します。
みやかわ・だいすけ カリフォルニア大学ロサンゼルス校博士(経済学)。専門は企業ダイナミクス、金融論。

200618日経

税収 コロナ禍が直撃
19年度60兆円割れ、納税猶予響く 20年度も下振れ必至
2020年6月18日 2:00 [有料会員限定記事]






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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国の2019年度の税収が2年ぶりに60兆円を割り込む見通しだ。企業活動の停滞に加え、収入が急減した場合に納税を1年猶予する措置を導入したことも響く。20年度も不透明感が強く、民間では50兆円台前半まで落ち込むとの試算もある。
政府は19年度の税収を当初、62兆4950億円と見積もった。昨年12月に補正予算を編成した際、米中貿易摩擦などの影響を勘案して60兆1800億円に下方修正した。年度末にかけて新型コロナの影響が加わり、最終的に50兆円台後半になる見込みだ。3年ぶりの減少となる。

政府は資金繰り支援のために納税を猶予する措置を導入した。2月以降の任意の期間(1カ月以上)で収入が前年同期比2割以上減った企業の支払いを1年間、猶予する。21年1月31日までに期限が来る消費税や所得税、法人税などほぼすべてを対象とする。
3月期決算企業の場合、5月末までに納税した分は19年度の税収に加わる。猶予を利用すると19年度の税収が減る。緊急事態宣言を受けた外出自粛や生産活動の制限などが広がったことで、猶予を利用した企業が増えたとみられる。
日本の税制面での新型コロナ対応は納税猶予が26兆円規模と主要国の中でも突出しているのが特徴だ。財務省によると、米国、英国、フランスの納税猶予策に比べて、日本は猶予する税目が他国よりも広く、猶予期間も長い。
例えば英国は付加価値税の6月末までの納付分は期限を最長21年3月末まで延長するほか、申告所得税は7月末までの納付分を21年1月末まで猶予する。
フランスは法人税や給与税について、20年の3、4月分は3カ月間猶予する方針だ。
日本の猶予措置では足元の資金繰りは大幅に改善する一方、猶予対象期間が長いため、将来の納税額は増える面もある。与党内には新型コロナの影響が長期化した場合、猶予分の税金の一部を減免すべきだという意見もある。
政府は20年度に影響がより大きくなると警戒する。新型コロナ感染の状況によるが、納税猶予に加え、法人税や消費税の落ち込みが深刻になる恐れがある。現時点で国が約63兆5130億円を見込む20年度の税収について、民間では50兆円台前半へと10兆円近く下振れするとの見方もある。
第一生命経済研究所の星野卓也氏は、納税猶予を考慮せず景気の落ち込みなどを反映したベースで52.5兆円程度まで落ち込むと試算する。
税収の落ち込みが深刻になれば、赤字国債の追加発行を迫られる可能性もある。経済の底割れを回避する対策を優先しつつ、中長期的には財政の持続性をどう確保するかが課題となる

200703日経

新型コロナウイルスがもたらす雇用危機の「第2波」が近づいてきた。日米欧で1億人が利用する各国の雇用支援制度(総合2面きょうのことば)で今夏から期限切れが相次ぐ。航空や観光などの雇用環境は依然厳しく、打ち切れば多くの失業者を生み出しかねない。一方、現行制度では政府支出が100兆円に達し、延長すれば財政負担は膨れ上がる。各国は難しい判断を迫られる。

欧州各国は3月から経済活動に厳しい制限をかけたにもかかわらず、失業率はコロナの感染拡大前の1月とほぼ同じだ。5月のユーロ圏の失業率は7.4%で、債務危機の影響を受けた13年の12%台を大幅に下回る。
雇用を維持する企業に対し、政府が給与の全額や一部を支払う政策が機能したためだ。企業は従業員に時短勤務をさせたり、一時的に休ませたりして解雇を避ける。
こうして支える雇用は主要5カ国(ドイツ、英国、フランス、イタリア、スペイン)で4500万人に達する。労働者全体の3分の1に及び、各国は数兆円規模の財政負担を強いられている。
英国の政策は10月末に期限が来る。6月28日までに930万人が申請。申請額は255億ポンド(約3.4兆円)に達した。20年度の財政赤字は3千億ポンドに膨らむとの試算もあり、現行制度の継続は難しいとの判断に傾く。
野党・労働党からは宿泊や飲食向けに延長を求める声が上がる。海外との往来制限が続いたり、人と人の間隔を空けるために座席を減らしたりしている影響で、雇用の維持が特に厳しいためだ。
フランスは給与を肩代わりする制度の政府負担を減らしつつ、厳しい業種は今後も手厚く補助する。マクロン大統領は観光や航空を念頭に、10月から最長2年間は支援を続ける考えを示した。
往来制限などの制約は今後も続く。雇用維持支援が失業を先送りするだけになる恐れもある。
21年の支援策縮小も考えられ、独保険大手アリアンツは欧州5カ国で約900万人の失業の恐れが高まるとの見方を示した。チーフ・エコノミストのルドビック・スブラン氏は支援策について「IT(情報技術)や医療などの成長産業に労働力が動かずに、成長余力の小さい産業に雇用者が留め置かれる問題がある」とも指摘する。
米国では航空会社向けの雇用維持支援策が9月末で期限切れとなる。中小企業の給与支払いを肩代わりする「給与保護プログラム」(PPP、6600億ドル)は6月末だった期限を12月末に延長した。米議会上下両院は1日までに申請期限を6月末から8月8日に延ばす法案を可決した。
ムニューシン財務長官は「5千万人の雇用を支えた」と強調。5月と6月に失業率が改善するという結果も出し、打ち切りの判断は難しい。
日本の場合、休業手当の支払いを支える雇用調整助成金で、コロナに対応した特例が9月末に期限を迎える。政府は雇用情勢を見極めて延長するかどうかを判断する。2月中旬からの利用は延べ300万人程度とみられる。雇調金の制度は続くため、英米などに比べ期限切れの影響は小さい。
第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストの試算では、予定通り特例をやめれば失業者数を15万9千人、失業率を0.23ポイント押し上げる。4月の失業者数に比べ1割弱増えることになる。
国内の宿泊業や飲食業をはじめとした休業者数は5月に423万人に達した。政府は20年度の第1次と第2次の補正予算で雇調金に合計1.6兆円を計上した。日本の場合、支給のスピードを上げ、防げる失業を防ぐことが課題となっている。

200703日経

▽…経済が大きく落ち込み、企業が従業員の解雇を迫られるようなときに、政府が給与や休業手当の支払いを支援して生活を支える制度のこと。解雇を防ぎ、失業者を増やさないようにする。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、先進国では新たな制度を導入したり、既存の制度を拡充したりする動きが広がった。


▽…日本にはもともと雇用調整助成金と呼ぶ支援金制度があり、より多くの従業員を支援するための特例措置を設けた。通常は直近3カ月の生産量や売上高が前年同期比で10%以上減っていることが要件だが、1カ月に短縮し、減少幅は5%以上に緩和した。1日時点の累計の支給決定数は21万1738件になる。コロナ危機後、企業から手続きが煩雑との批判を浴びたため、厚生労働省は簡素化を進めている。
▽…ドイツにも時短勤務制度(クルツアルバイト)と呼ぶ制度があり、新型コロナを受けて支援する条件を緩和した。解雇せず、時短勤務や一時帰休で対応した企業の従業員に対し、賃金減少分の60%を助成する。ドイツはオンライン申請が可能で、申請書類も日本に比べて少ない。日本もオンライン申請を開始したが、情報漏洩が発覚して停止している。

200729日経

南米とアジア・オセアニアを結ぶ初の光海底ケーブル(総合2面きょうのことば)について、計画を進めるチリ政府が日本の提案したルートを採用した。NECなど日本企業が受注する可能性が高まった。中国もチリと上海を結ぶルートを提案していた。米国が中国へのけん制を強めるなか、情報インフラ整備で脱・中国依存が進む可能性がある。

インターネットなど国際通信の95%は海底ケーブルを経由する。あらゆるモノがネットにつながるIoTや次世代通信規格5Gの普及で通信量の急拡大が見込まれる。海底ケーブルは大容量通信を支える基幹線で、拡充が課題になっている。
海底ケーブルを巡っては中継器やケーブルの陸揚げ拠点で通信データが監視される恐れを指摘する声もある。米司法省は6月、米国と香港を結ぶ海底ケーブルについて、米グーグルやフェイスブック、中国通信サービス大手が手掛ける計画に反対を表明した。
米司法省はデータを中国当局に収集されスパイ活動に使われる恐れがあると警戒している。華為技術(ファーウェイ)製品を排除する米トランプ政権はチリ政府の海底ケーブル計画でも中国企業の受注を避けるよう働きかけていた。
日本が提案したのはチリからニュージーランドを経由しオーストラリアのシドニーに達するルートで長さは約1万3千キロメートル。チリ政府はコストや実用性から「最も薦められるルート」とした。
日本と豪州を結ぶ別の海底ケーブルが7月に完成しており新ルートは日本とも接続しやすい。日本は豪州政府がファーウェイ製品を排除し中国に強硬姿勢をとっていることも考慮した。豪州とニュージーランドは環太平洋経済連携協定(TPP)でチリとも関係が深い。
中国は上海とチリを結ぶルートを提案していた。チリのピニェラ大統領が2019年4月に訪中した際には、ファーウェイがチリでのデータセンターの投資を約束するなど官民で受注に力を入れていた。
チリにとって中国は最大の輸出相手国で、海底ケーブルでも当初、ファーウェイは有力候補だった。一方、外交や貿易で米国の意向も無視できない。ポンペオ米国務長官はピニェラ氏の訪中直前にチリを訪問し「ファーウェイは中国政府にコントロールされており、国民をリスクにさらす」とくぎを刺していた。
チリのフット運輸・通信相は「太平洋で南米側のデジタルハブになる」とし、チリ政府は今秋にも技術調査の最終報告を公表する見通し。年末以降に実施主体となる特別目的事業体(SPV)を設立する。入札の実施は来年以降で、事業規模は初期投資で約600億円の見込み。
通信ケーブルや関連製品の受注は提案が採用された日本が有利になる。日本政府は日本勢の受注が決まった場合、国際協力銀行(JBIC)や総務省管轄の海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)によるSPVへの投融資などを検討する。
海底ケーブルは米サブコム、仏アルカテル・サブマリン・ネットワークス、NECが3強。NECはアフリカと南米を結ぶルートなどアジア以外の事業も広げている。
ファーウェイはもともと短距離中心で、近年は南米とアフリカを結ぶ長距離を手がけるなど存在感を高めていた。19年6月に海底ケーブル事業を売却すると発表したが、売却しても別の中国通信大手が事業を継続するとみられる。(広瀬洋平、サンパウロ=外山尚之)

200730日経


企業間でやりとりする請求書の完全なデジタル化に向け、データ仕様を統一する取り組みが始まる。政府とソフトウエア企業など約50社が近く協議を開始し、2023年までに導入をめざす。会計や税に関する作業を効率化し生産性を高める。


日本のデジタル化は海外に比べて遅れている。電子商取引の利用率は経済協力開発機構(OECD)に加盟する38カ国中で20位にとどまる。インド大手調査会社のザ・インサイトパートナーズによると、世界の電子請求書関連の市場は19年で48億4千万ドル(約5千億円)で日本は約1億6千万ドル。非効率な作業が多いと競争力に響く。
欧州連合(EU)は08年に請求書や受発注などの電子取引文書の仕様を決めた。スウェーデンやデンマークなどは政府と企業間の請求書のデジタル化を義務付け、イタリアは19年に企業も含めてすべて義務化した。米国は業界で仕様が異なるものの、政府の電子調達ではデジタル請求書の発行を推奨している。
日本も対策に乗り出す。企業が製品やサービスの代金を求める際に出す請求書は通常、紙の書類の郵送やメールで請求先に届ける。受け取った企業は自社のシステムの仕様に合わせてデータを入力し直す必要がある。
仕様が同じメーカーのソフトを導入していないと請求書データは自動的に会計システムと連携せず手間がかかる。大企業では業界内で同じ仕様の活用が進むものの、電子で完結する取引先は2割程度とみられる。
23年10月からはインボイス(総合2面きょうのことば)制度が始まり、特に中小企業の負担が高まる見通し。消費税率10%と軽減税率8%の商品を区別し、請求書に税額や売上高を記さないと控除が受けられなくなる。
政府と民間のシステム・ソフト会社が協議会を立ち上げた。クラウド会計ソフトでシェア1位の弥生(東京・千代田)や、「勘定奉行」などの会計システムを販売するオービックビジネスコンサルタント(OBC)など約10社が参加する。クラウドで書類をやりとりするサービスの米トレードシフトも加わり最終的に約50社の参加を見込む。
請求書データの入力・参照を各企業がクラウド上で進められるシステムを開発し、取引先への入金や領収書作成を自動的に進める機能も加える。紙の保存を不要にする規制緩和はすでに実施されており仕様の統一でデジタル化が進む。企業は1枚の請求書に人件費やシステム費用で650円以上をかけている。デジタル化で100円程度に抑えられそうだ。
中小向けに月数百円程度で使えるクラウドサービスも開発し、政府は導入費用の補助を検討する。オンラインで可能な税務申告や、雇用保険、年金保険など行政向けの書類作成とも連動する。協議会が年内にも共通仕様を固め、22年秋から順次サービスを始める。
新型コロナウイルスの拡大を受け企業で在宅勤務の取り組みが広がっている。コロナ対策を進める上でもデジタル化の推進が急務となっている。

200907日経
危機の先の未来をどう描くか。経済の再生へ成長と分配のどちらに重きを置くか。サントリーホールディングスの新浪剛史社長と東大大学院経済学研究科の柳川範之教授に意見をぶつけてもらった。(1面参照)

サントリーホールディングスの新浪剛史社長(左)と東大大学院経済学研究科の柳川範之教授

新浪氏「今こそ生産性向上を」

柳川氏「幸福感も経済の価値」

――経済の再生へ成長と分配のどちらに重きをおきますか。
新浪 各国は財政支出を増やして家計や事業、雇用を支えている。ウィズコロナの時代は「大失業」や「大デフレ」が起きる可能性がある。飲食業や航空業が以前の状態に100%戻るとは言いがたい。政府は新たな雇用を生み出し、労働移動を促す必要がある。
ニーズはある。医療や介護、教育はこれまで公的部門が中心に担ってきたため生産性が低い。ここに民間の力を入れて生産性を上げるべきだ。デジタル化の余地も大きい。民の力で産業化し、雇用を生み出すべきだ。
柳川 民間の中でもスタートアップの力を生かしたい。デジタル化によって、大企業のように巨大な設備を持たない若者でも低コストでアイデアを実現できるようになった。大きな発展を生み出す大事なポイントだ。
分配政策の発想も転換してはどうか。これまで現状の生活や事業を守るためにお金を使ってきた。今後は生活や働く場の変化を後押しすることも必要だ。お金を配って終わりではなく、新しいスキルを身につける若者が増える配り方が望ましい。成長につながる分配に知恵を使うべきだ。
――コロナ以前から長引く低成長など経済の構造が変化しています。
柳川 これまでは国内総生産(GDP)が伸び、お金が回ることを成長と捉えてきた。新型コロナを経験し、家族や地球環境、ワークライフバランスなど多様な価値観の軸ができた。満足感や幸福感の拡大も含めて成長とみる社会がいい。デジタル化で多様な価値の指標化も可能になった。
新浪 会社も変わらないといけない。会社が何のためにあるかを見つめ直す時代だ。会社の使命や価値観を社会が認めてくれなければ、良い社員がいなくなる。私たちの会社なら、プラスチックのリサイクルに対して何もしなければ、地球環境に関心の強い優秀な若者が来てくれなくなる。
柳川 ひと言付け加えれば、地球環境やワークライフバランスの重視を収益が上がらない言い訳に使ってはいけない。経済がしぼめば多様な価値観の実現も難しくなる。日本も『こういう方向に進めば人々が幸せになり、経済もうまく回る』というアジェンダを示すことが求められる。
柳川氏「学ぶ機会、政策の柱に」

新浪氏「既得権の打破欠かせず」

――新たな時代の政策の優先課題は何ですか。
新浪 教育の立て直しだ。特に日本の強みだった義務教育や高校教育に目を向けたい。子どもの面倒をみる余裕のない親が増え、このままでは貧困が世代を超えて連鎖してしまう。オンライン教育など新しいツールを使い、現場に合わせた教育に変えていくべきだ。分配政策の中で教育の占める位置は大きい。
柳川 親の世代の所得がないために十分な教育が受けられない問題は残念ながら現実にあり、機会の均等を確保するよう努めなければならない。それだけでなく、人生100年時代では社会人の学びや能力開発にお金を使うことも必要だ。
働きながら職業訓練を受け、独立や転職する動きがもっとあっていい。外に出て行くかもしれない人材の教育に企業が積極投資するのはなかなか難しい。だからこそ国が支援をして、スキルを高める機会を提供していくことが重要になる。
――社会保障の再構築も長年の課題です。
新浪 本来、解決しておくべきだった課題が新型コロナで一気に表面化した。たとえば医療はデジタル化をもっと進めなくてはいけない。日本ではデータはあるのに紙の形のままだから、人工知能(AI)による解析もできない。宝の持ち腐れだが、可能性は大きい。受益者のプラスになる形で個人情報を集め、データを活用すれば病気の予防にも役立つ。
社会保障の再構築は既得権益を壊すことが条件になる。オンライン診療ですら様々な抵抗を受けた。若者の中にはNPOなどを通じ「自分たちが公的部門に代わって社会保障をやる」との機運もある。こうした動きを経済界も応援したい。
柳川 日本は大きな危機にあうと変われる国民性を持っていると思う。第2次世界大戦後もそうだったし、明治維新もそうだ。世界が驚くスピードで大きな変革をした。ただし、本当に危機的な状況に陥らないと変化に踏み切れない面もある。変化しなければいけないという同調圧力が生じるまでは変われない。
ならば大きな危機を起こしましょうというのも残念な話だ。危機が起きる前に変わることが必要で、『変わることが素晴らしいよね』という方向に持っていくことが重要になる。
新浪氏「二等国への分岐点迫る」

柳川氏「手本なき多様性の時代」

――どうしたら日本は変われますか。
柳川 明治維新や戦後と異なるのはお手本がないこと。明治維新は欧州、戦後は米国という目標へ突き進めばよかった。お手本がない世界で必要なのはトライすることだ。スタートアップは100の挑戦をして1つか2つしか生き残らないかもしれないが、挑戦すればどこかに宝がある。いろいろな方向に弾を撃ち、穴を掘るしかない。
新浪 日本が変わるためのハードルはものすごく高い。お金の使い方にしても無駄なものがたくさんある。本当にいいものにお金を使い、悪いものはやめましょう、という選別を証拠にもとづいてしないといけない。
国のガバナンスのあり方も変える必要がある。参院は任期が6年もあるのだから、既得権益に対してあるべき姿を示せる本当の意味での良識の府になってほしい。日本はティッピングポイント(分岐点)、つまり二等国、三等国になるかならないかの瀬戸際にある。
柳川 日本人の多くは新型コロナで世界経済は大きく停滞すると考えているかもしれないが、そうではないと考える人も世界中で増えている。デジタル化や価値観の変化は新たなチャンスとなり、成長の芽が出る。中長期に世界が大きなチャンスに直面する可能性があり、日本もその流れを取り込む必要がある。
――新しい時代認識を象徴するキーワードを挙げてください。
新浪 新しい「人本主義」だ。人生100年時代なのだから早い段階から自分の人生を考え、リカレント教育を受けたり、新たな方向へ努力したりする態度のことだ。50歳を1つの定年と考えれば次の人生を30歳、40歳のときから考え、勉強する意欲が出てくる。
柳川 多様性が圧倒的に重要だ。多様な価値観の人と会うことが新しいアイデアを生む。日本は同質的な人とばかり話をしすぎる社会だ。同じような経験をたどってきた同じような年齢の人たちとだけ会話し、広がりがない。国籍も性別も価値観も異なる人と会うことでしか得られない知識や情報がある。

200909日経

日本の主要企業で事業セグメント別の営業利益を10年前と比較したところ、2割の企業で「稼ぎ頭」が交代した。総合スーパー事業の基盤をいかして金融事業を拡大させたイオンなど、既存事業の強みも活用して新たな稼ぎ頭を育て上げた例が相次いだ。稼ぎ頭が交代した企業全体の純利益の成長率は、非交代企業よりも大幅に高い結果となった。

イオンは電子マネーで消費者の囲い込みを進めてきた
日経500種平均株価の採用企業のうち事業セグメント別の営業利益を継続比較できるなどの一定条件を満たす約300社を対象に、日本経済新聞が2019年度と10年前の09年度を比較した。稼ぎ頭が交代したのは70社だった。
事業利益規模が大きい自動車メーカーでは、トヨタ自動車などで本業が19年度の稼ぎ頭となった。ただ09年度は金融関連だった。リーマン・ショックによる需要急減で本業の利益が大きく圧迫され、販売ローンの残高が収益を生み出す金融関連が不本意なかたちで稼ぎ頭となっていた。
半面、日産自動車は19年度の稼ぎ頭が「販売金融」だった。値引きに頼った拡大路線でブランド力が陰り自動車販売の収益力が大きく落ちて、金融関連が稼ぎ頭となった。コロナ禍で自動車メーカーの販売は厳しいが、日産の苦境が際立つ。
一方で新たな稼ぎ頭を育て上げた企業では、イオンでクレジットカードなどを扱う「総合金融」に代わった。顧客情報の活用や運営の一元化のため、グループの金融事業を13年に立ち上げたイオンフィナンシャルサービスに統合。電子マネー「WAON」でのポイント加算を集客力につなげる好循環も生み出し、連結営業利益(20年2月期)の3割超を稼ぐまでに成長した。

もっとも総合スーパー事業は苦戦。ドラッグストアやネット通販サイトなどとの価格競争もあり営業利益率は1%を割り込む。集客力が落ちれば金融事業の足を引っ張りかねず、吉田昭夫社長は「収益が厳しい会社の成長性をきっちり見ないと」と対策を練る姿勢だ。
個食が追い風

小所帯家族の増加による「個食」の浸透などを追い風に、冷凍食品などを強化してきたニチレイでは「加工食品」が稼ぎ頭になった。同事業の営業利益は10年前に比べ6.4倍に拡大。10年前の稼ぎ頭は旧社名の「日本冷蔵」が示す通り冷蔵倉庫での保管・配送を手掛ける「低温物流事業」だったが、好調な加工食品が16年度から上回った。
おかずが中心だった冷食は、時代とともにチャーハンなど主食でも競争が激化。ニチレイは商品改良と販促で加工食品事業を強化してきた。新型コロナウイルス下でも冷食需要は根強く、21年3月期の連結営業利益は過去最高の315億円を見込む。大櫛顕也社長は「中長期な視点で新市場への展開を迅速に進めていく」と意気込む。
ゲームがけん引

TDKは稼ぎ頭が「エナジー応用製品」になった。スマートフォンなどに使うリチウムイオン電池を伸ばしてきた。サッポロホールディングスはビール以外の柱として東京・恵比寿を軸とする不動産事業を育てた。ネット広告が軸だったサイバーエージェントはスマホ向けが強い「ゲーム」が最も稼ぐ姿となった。
今回調査で稼ぎ頭が交代した企業の純利益の合計は10年前と比べ5.6倍に拡大、交代していない企業全体(2.4倍)を大きく上回った。JPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは「もうかる事業をしっかり見定めて事業ポートフォリオの比重をシフトした企業への市場の評価は特に高い」と話す。
コロナ禍の長期化も懸念されるなか、次の10年を勝ち残る経営者の選別眼が一段と求められている。

201211日経
⚫️政府ぜいせいたいこう
減税で成長促進
自民、公明両党は10日、2021年度税制改正大綱を決めた。新型コロナウイルスの影響を受ける企業や家計を下支えし脱炭素やデジタルトランスフォーメーション(DX)の投資を促す減税措置を盛り込んだ。影響が行き渡る平年度ベースで国地方合わせて600億円規模の減税となる。そのうち地方税の減税が40億円と見込む。(関連記事総合1面、関連特集税制改正大綱解説特集面、税制改正大綱要旨特集面に)
同日開いた与党政策責任者会議で決定した。政府は月内に税制改正大綱を閣議決定し、21年1月召集の通常国会に関連法案を提出する。自民党の甘利明税制調査会長は記者会見で「菅義偉内閣が掲げる(政策の)柱を裏打ちし、課題の解決に向かって誘導する税制改正ができた」と語った。
コロナ後の成長を見据え、燃料電池やパワー半導体など脱炭素に寄与する製品の生産設備の導入や、クラウド技術を活用した他社や部門間のデータ連携に投資した企業の法人税を軽減する。

210226日経

東京都が25日発表した2月1日時点の推計人口は、前年同月比662人減の1395万人だった。1996年6月以来、24年8カ月ぶりに前年を下回った。新型コロナウイルス感染拡大で、他県への転出が増えているほか、出生数が減ったことなども影響した。
都の人口を前月比でみると7321人減り、7カ月連続で減少した。転出が転入を上回る「転出超過」の状態で、特に大田区や江戸川区など23区内で転出超過数が大きかった。出生数から死亡数を引いた自然増減のマイナス幅が広がったことも響き、人口の減少幅は前月の2489人から拡大した。
都の人口は2020年5月に初めて1400万人を超えたが、その後は減少傾向が続いている。新型コロナ対策としてテレワークが浸透してきたことにより、職住近接の必要性が薄れ、近隣県に移り住む動きが出ている。

210511日経

政府は2022年をめどに、デジタルやヘルスケア、エネルギーなど成長分野の競争環境を集中調査する専門チームを公正取引委員会に新設する検討に入った。一握りの企業の寡占につながるような取引慣行などがないかを調べる。問題があれば監督官庁や事業者に迅速な対応を促す。

公取委の体制や機能の強化を6月にもまとめる政府の成長戦略に明記する。調査や提言を通じて公正な競争を守る「アドボカシー」と呼ぶ取り組みも盛り込む。
新設する専門チームは、市場規模や特定企業のシェアが急拡大している分野を調査する。近年、公取委が目を光らせるデジタル分野のほか、海外では医薬品・ヘルスケア、農業、金融・クレジットなどの分野でシェアの偏りが指摘されている。
新型コロナウイルスの感染拡大による経営環境の悪化で、下位企業が市場から退場したり、巨大企業によるM&A(合併・買収)が進んだりすれば寡占が強まる恐れがある。米バイデン政権もかねて懸念を示してきた。
コロナ対策に密接に絡むヘルスケア産業も寡占の傾向が強まっている。競争政策や消費者保護の提言をする非営利団体の米アンチトラスト・インスティチュートは、製薬分野でジョンソン・エンド・ジョンソン、ロシュ(スイス)、ファイザーが世界市場の4割を押さえていると指摘する。米連邦取引委員会(FTC)は3月、欧州各国と共同で製薬分野のM&A審査の見直しに着手した。
デジタル分野でも、巨大IT(情報技術)企業のM&Aが止まる気配はない。特に音声技術や医療のデジタル化の分野では米マイクロソフトが音声認識技術大手の米ニュアンス・コミュニケーションズを買収するなど、将来の寡占につながりそうな動きも出ている。
経済協力開発機構(OECD)は18年の報告書で企業間格差の拡大に懸念を示した。欧州委員会も寡占傾向がある市場をあぶり出し、業界との対話を通じて予防する方向にかじを切ろうとしている。
日本の公取委は過去には定期的に、品目やサービスごとに一部の企業がどれだけシェアを握っているかを示す「集中度」を調べていたが、15年度以降は途絶えている。公取委の内部でも「把握を続けるべきだ」という声が出ていた。
専門チームの設置には寡占の兆しを洗い出す役割を復活させる意味合いもある。談合のような事件の調査だけではなく、競争環境の維持に向けた提言機能の向上を図る。
人員体制なども強化する。公取委の職員数(定員)は20年度で842人。関係省庁と調整し、22年度以降の定員を増やす。米国は連邦政府の競争当局だけで約1000人の職員がおり、州政府にも専門性の高い人材がいる。日本も数年かけて遜色のない規模をめざす。
今はほとんどいない外部人材の登用も進める。調査対象とする事業分野に精通した実務経験者や弁護士、エコノミストなどを厚待遇で集める案がある。これまでは複数の部局の内部人材が、デジタル市場や銀行間の接続手数料といったテーマに応じて対処していた。
海外当局と円滑にコミュニケーションできる人材も獲得する。各国との共同調査も視野に入れる。
英国の競争・市場庁は4月、巨大デジタル企業を監視・規制する専門の新組織を立ち上げた。米国やドイツ、オーストラリアなどの当局も調査機能を拡充し、成長分野の競争環境に技術革新の芽を摘む動きがないか目を光らせている。

210511日経

スタートアップ企業が新規株式公開(IPO)よりも、M&A(合併・買収)による自社売却を選ぶことが増えてきた。日本では「上場ゴール」という言葉もあるほど、上場が社会的ステータスを伴うとされてきた。ただ売却の方が創業から短い時間で資金を手に入れられる。その資金を元手に、再び別のスタートアップを設立しやすいことなどが理由とみられる。
アーンスト・アンド・ヤング(EY)が、2020年のスタートアップM&A動向調査をまとめた。近年の傾向として鮮明なのは、スタートアップのセカンドステージとして、自社の売却がIPOと並ぶ選択肢に浮上していることだ。
過去5年をみると、IPOをした企業の数が90社前後と横ばいで推移しているのに対し、M&Aを選択する企業は増加傾向にある。
19年はM&Aの件数が95件となり、IPO(86件)を上回った。20年も新型コロナウイルスの影響で交渉や資産査定(デューデリジェンス)が進めにくかったが、M&Aは90件と高水準で、IPOとM&Aの割合はほぼ同じになってきている。
20年にM&Aを選択した企業のうち77%が創業から10年未満だった。また、半分の45件が00年以降に上場した新興上場企業による買収だった。オンライン決済のOrigamiがメルカリの子会社のメルペイに買収された案件などがある。勢いのある新興上場企業が積極的にスタートアップを買収することで、一段の業容拡大を狙っていることがわかる。
逆に00年より前に上場した伝統的上場企業による買収は全体の12%にすぎない。残りの38%は非上場企業による買収だ。
「株を売却した創業社長は、売却後数年で会社を離れることが多い」(EYジャパンの青木義則パートナー)。売却した資金を元にエンジェル投資家になったり、再び別のスタートアップを設立するシリアルアントレプレナー(連続起業家)になったりするケースが多いようだ。
エグジット(出口戦略)を迎えた創業者が新たなスタートアップの設立や育成に回るという循環が進めば、企業の新陳代謝やイノベーションの活性化も期待できる。
米国では「出口戦略としてIPOとM&Aの比率は1対9」(EYジャパンの青木氏)だという。日本でもM&Aがスタートアップ業界の成長戦略のカギを握っていくことになりそうだ。

210511NewsPicks

売れば直ぐカネになる天然資源が乏しい我が国で、政府と民間が分けて使える所得は、国内で国民が働いて生み出したモノとサービスの価値しかありません。民間が納める税金が政府の取り分で、税金を払った残りが民間の取り分です。
日本の政府は自分の取り分(≒税収)以上にモノとサービスを使って1千兆円を超える借金を作りましたが、日本の民間はそれ以上に節約し、日本全体では生み出した価値が余り、余ったものを外国に売るから経常収支が黒字になっているのです。この構図がある限り、国全体として生み出した価値と費消した価値が見合っていますから、政府の借金が多少膨らんでも国と政府が破綻の危機に瀕する可能性は低いわけ。
今回のコロナ禍で政府は更に借金を積み上げて民間に配ったわけですが、生み出す価値がコロナ禍で減っているにも関わらず、家計と企業が倹約するお陰で経常収支は黒字を保っています。だから「国の借金、最大の101兆円増」というのもこれまでの延長で、それほど驚くに当たりません。
ただ、いかに政府が国民から借金をして家計に配っても、日本全体として生み出す価値が減っている以上、国民がその分だけ貧しくなっていることは承知しておく必要があるように思います。コロナ禍が去って家計の消費と企業の投資が極端に盛り上がり、政府と民間を合わせた国全体が赤字になって、文字通り「国」が外国に借金を始めたら、経済が混乱を来す可能性は否定できません。目先に問題はないですが、そうしたリスクがコロナ禍で高まったことは確かです。
210514NewsPicks
東証1部の14業種が赤字、減益 二極化鮮明、21年3月期 | 共同通信
210517日経

東京など三たびの緊急事態宣言下で不自由な生活が続く。ワクチン接種の目詰まりも消費活動に影を落としている。化粧品やトイレタリーなどのBtoC(企業と消費者の取引)からケミカル製品のBtoB(企業間取引)まで手掛ける花王社長で研究畑が長い長谷部佳宏氏に新型コロナウイルス禍と消費の行方などを聞いた。

化学製品が好調
――コロナ禍で消費者の買い物行動は変わってきましたか。
「1年以上続くコロナ禍で、密を避けるために買い物の頻度を減らし、大容量の商品を購入している。小売店は週末に行う特売のチラシを抑え、結果的に価格競争がなくなった。衣料用洗剤、シャンプー、洗顔料などのトイレタリー市場の商品単価はコロナ前に比べて2桁上昇となっている」
「巣ごもりで家を快適に過ごすファブリック・ホームケア(衣料用・住居用洗剤など)は相変わらず強く、スキンケア関連や化粧品などは外出を控えているから弱い」
――コロナ禍で気づいたことは。
「株価の上昇による資産効果が自動車などの高額支出に向かいそれが花王のBtoBのビジネスに好影響をもたらしている。車のシートや各種プラスチック製品に用いる添加剤、低燃費タイヤに使われる分散剤などのケミカル製品の引き合いが強い」
「公衆衛生の関心の高さから殺菌・洗浄用途に欠かせない油脂誘導体も好調だ。1~3月期のケミカル事業の売上高は731億円で前年同期比4.7%増、営業利益は12.7%増えた」
「コロナはESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを加速させている。花王のケミカル製品は天然由来なので、循環型社会の素材としてのニーズが高い」
――コロナ後はいつごろと。
「昨年夏ごろ、コロナが今も猛威を振るい続けていると誰が予想しただろうか。楽天的にはなれず、覚悟しないといけない。あと1、2年はかかるだろう。グローバル化が進みこれほど地球規模で感染症が一気に広がったことはなく、国、地域、人種でいろいろな変異ウイルスが同時に生まれている」
「今、接種が進むワクチンはコロナ禍のごく初期に開発されたものだから変異ウイルスへの効果は変わってくるだろう。大切なのは治療薬の開発だ。感染者を早く治すことで経済活動が上向く」
海外は回復傾向
――海外では主要国を中心にワクチン接種が進んでいます。
「やはり安心感が大きい。外出機会が増え、夏を迎える北半球では紫外線(UV)ケアなどの化粧品の動きが良くなっている。米国が顕著だ。フランスでは営業規制が徐々に緩和されていて春ごろから美容室やサロン向けの商材の動きがいい。中国はコロナ前以上になっている」
――日本の消費マインドをよくするには。
「早く、ワクチンや治療薬を国産化することにつきる。しがらみにとらわれず政治判断でリードしてもらいたい」

210517NewsPicks
業種によって二極化鮮明 “K字型”に 昨年度企業決算 | NHKニュース

210521日経

新型コロナウイルスまん延後、年度ベースで初となる上場企業の3月期決算がほぼ出そろった。2021年3月期の純利益は経済活動が縮小する中、終わってみれば前の期比26%増と3年ぶりの増益だった。上期は大幅な減益だったが、下期に製造業を中心に利益が急回復した。自動車やスマートフォン向けの復調や巣ごもり関連の好調に加え、ソフトバンクグループ(SBG)の利益拡大が後押しした。
日本経済新聞社が18日までに発表を終えた1683社(親子上場の子会社、新興などを除く)を集計した。

全産業の純利益は26%増の28兆円とコロナ前の19年3月期(33兆円)の約8割の水準まで回復した。昨年5月末時点では3月期企業の6割弱が通期予想を出せない異例の事態に陥っていたが、製造業を中心に次第に見通せるようになり、最終的には全体の約82%の企業が従来予想(3月末時点)を上回って着地した。上振れ率は金融危機以降で最大だ。
前期は増益社数の比率が48%、減益社数の比率が35%となり、大幅増益でも過去のように増益社数は多くなかった。例えば、約3割増益の18年3月期は増益比率が64%(減益は30%)、約8割増益の14年3月期は増益比率が71%(減益は22%)だ。電機や自動車などが回復した一方、鉄道や航空、レジャー、外食など人の移動を伴う業種は苦戦しており、決算も「K字型」が鮮明だった。
赤字に転落した企業も多い。赤字企業の社数比率は全体の17%(約290社)と、金融危機後に赤字企業が膨らんだ10年3月期(21%)以来11年ぶりの多さとなった。

特に交通系の不振は深刻だ。鉄道・バスは1兆4893億円、空運は7013億円の最終赤字だ。ANAホールディングス、日本航空(再上場後)は過去最大の赤字で、JR東日本、JR東海は民営化後初の赤字に転落した。三越伊勢丹ホールディングスは2期連続の赤字だった。
特徴的だったのが17年3月期以来、4年ぶりとなる「減収増益」だ。前期の売上高は576兆円と7%減。全36業種中、通信や陸運、保険などを除く32業種が減収だったが、出張費や人件費、交際費など様々なコストを抑制し増益を確保した。売上高純利益率は4.9%と前の期比1.3ポイント上昇した。製造業は8%減収にもかかわらず35%の最終増益だ。合理化で収益体質を強固にしたところで需要が戻り利益が出やすくなった。
下期は3.1倍
これは前期を上期と下期に分けると鮮明だ。上場企業全体の下期(20年10月~21年3月期)の純利益は前年同期の3.1倍の17兆9200億円。半期ベースの伸び率としては、金融危機後に急回復した10年4~9月期(3.2倍)以来の高水準だ。過去にも上期・下期で増減益の方向が異なることはあったが、上期(20年4~9月期)の39%減益を取り戻すほど下期にV字回復するのは珍しい。

けん引役は製造業で下期純利益は3.6倍だ。半期ベースの伸び率では金融危機後で最大だ。中でも自動車は上期の94%減から下期に7.2倍と急増。トヨタ自動車は米中の需要増を取り込み世界販売台数が20年9月に9カ月ぶりにプラスに転じた。電機は半導体需要が伸びた東京エレクトロンや、デジタルトランスフォーメーション(DX)需要が追い風となったNECなどが好調だった。
非製造業の下期純利益も2.7倍(上期は28%減)だ。巣ごもり需要が追い風となり任天堂や宅配大手のSGホールディングス、家電量販のヤマダホールディングスなどが大幅増益となった。アジアから北米向けのコンテナ船市況が高騰した海運も好調だ。
今期も増益
22年3月期も回復が続く見通しだ。業績予想を公表した1476社では純利益(予想未公表のSBG除く)は前期比3割増の見込みだ。「損益分岐点は着実に引き下げられている」(マツダの藤本哲也常務執行役員)との声があり、製造業中心に合理化が進む。大和総研の神田慶司シニアエコノミストは「米国など世界経済の回復が続き、外需企業にとって価格転嫁しやすい経営環境が期待できる」と指摘する。
一方、非製造業では不透明感が残る。足元では緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用対象が拡大。ANAHDやJR3社などは黒字転換を見込むものの、ワクチン普及の度合いなど外部環境に左右される可能性がある。

210526日経

コロナ禍からの回復を見込む各社だが、経営者の声を見渡すと慎重な声が目立つ。再度の緊急事態宣言の影響をもろに受ける業種だけでなく、製造業でも生産や販売面でのリスクが散見される。各社は足元の需要回復に一喜一憂せずに対策も同時に進める考えだ。
慎重な声が多いのが交通や外食だ。ワタミの渡辺美樹会長は「営業損益ゼロを目指すがコロナの感染状況が現状のままなら難しい」、JR東日本の深沢祐二社長は「鉄道利用はコロナ前には戻らない」と想定する。
今期の黒字転換を見込むANAホールディングスの片野坂真哉社長は「カギを握るのはワクチンの迅速な接種」と指摘する。
製造業も「半導体不足や原材料高などのビジネスリスクに直面している」(日産自動車の内田誠社長)。自動車各社では半導体不足による台数影響について、日産が25万台、マツダが10万台、三菱自動車が4万台と見込んでいる。日本電産も今期に最高益を見込みつつも「コロナの感染拡大の状況や顧客の半導体不足の影響を考慮し、(業績予想を)少し保守的に設定した」(永守重信会長)という。
こうした中、各社は収益体質を強固にする手を緩めない。住友商事は「収益の下振れ耐性が弱い事業には徹底的にメスを入れる」(兵頭誠之社長)と構造改革を続ける。JR東は「ワーケーション関連など新しい働き方に合わせたサービスを進める」(深沢社長)。ANAも旅客需要が下振れした場合は貨物便の増便も検討する考えだ。

210604 日経


世界各国・地域が少子化対策・育児支援策の拡充を急いでいる。日本では3日、衆院本会議で男性が育児休業をとりやすくする改正育児・介護休業法(総合2面きょうのことば)が可決、成立した。米国でもバイデン政権が10年間で1.8兆ドル規模(約198兆円)を投じる対策を打ち出した。背景には新型コロナウイルス危機が加速させた世界的な出生数の減少がある。子育て環境の整備に加えて、出産への経済的な不安を和らげる対策が肝となる。(関連記事経済・政策面に)
3日に成立した改正育児・介護休業法は従来の育児休業制度に加えて、男性は子の誕生後8週間まで、最大4週間の育児休業を取れるようにする。業務を理由に育休取得に二の足を踏む男性も多いため、改正法では労使の合意があれば育休中もスポットで就労できる仕組みも盛り込んだ。
休業の申し出も従来は1カ月前までに必要だったが、2週間前までに短縮した。機動的に取得できる仕組みに目を配った。
厚生労働省がまとめている妊娠届などを基に推計すると、21年の出生数は80万人を割り込む可能性が高い。16年に100万人を割り込んでから約5年で年間20万人程度も新生児が減る。
出生率の低下は将来の労働力の減少などを通じて中長期の経済成長力を押し下げる。第一生命経済研究所の星野卓也氏が人口の推移などを基に試算したところ、30年代後半に日本は潜在成長率が0.2%程度のマイナスになる。「出生数の急減が続いて少子高齢化が加速すれば、40年代以降も成長率が低迷を続ける可能性がある」と指摘する。
今回成立した改正法はあくまで男性の育児参加を促す環境づくりがメーンで、財政支援なども繰り出して国を挙げて支援する海外の各国・地域との差は大きい。

バイデン政権が打ち出した少子化対策「米国家族計画」に盛り込まれた対策は幅広い。子育て世帯の生活を支援するため、最長で12週間取れる有給の家族・医療休暇などを提供。低中所得層の家庭へのチャイルドケアの公的支援も増やす。
子育て世帯への税額控除を使った実質手当の給付も拡大する。21年に限って導入した同制度では子ども1人につき年最大3000ドル(6~17歳の場合)を給付するとしていたが、これを5年間延長する。
教育ではすべての3.4歳児への無償の幼児教育の提供や2年間のコミュニティーカレッジの無償化、中低所得者向けの児童保育の補助やマイノリティー向け奨学金の拡大などをメニューに並べた。
米疾病対策センター(CDC)によると20年の米国の出生数は前年比4%減の約360万5000人だった。早めの対策で少子化が少子化を招く負の連鎖を防ぐ。
フランスも少子化対策を強化する。7月から男性の育児休暇を従来の14日から28日に延ばす。会社側は最低でも7日分の取得を認める必要がある。男性の育休は子どもの生後4カ月以内に1度で取る必要があったが、生誕後6カ月で2回に分けて取得できるようにもする。
日本以上に少子化が深刻な韓国も22年度からは出産時に200万ウォン(約20万円)のバウチャー(サービス利用券)を支給する計画など、財政出動もからめた支援強化を急ぐ。産児制限を40年以上続けてきた中国も少子化から目を背けられなくなっている。5月末には1組の夫婦に3人目の出産を認める方針を示した。出産にからむ休暇や保険も整える。
ニッセイ基礎研究所の調査で、コロナ禍で将来的に持ちたい子どもの数が減った40歳以下の回答者が挙げた理由で最も多かったのは「子育てへの経済的な不安」だった。少子化に対抗するには、育児休暇をとりやすくするなど今回の改正法のような子育て環境の支援に加えて、出産や結婚をちゅうちょさせるような経済不安を和らげる必要もある。
政府の子育て関連支出を国内総生産(GDP)比でみると日本は1%台で、欧州諸国の3%台を下回る。省庁横断で取り組む「子ども庁」創設論議が本格化するが、財政支援も含めた少子化対策に各国・地域が本腰を入れるなか、後手に回ればコロナ後の世界経済で存在感を失うリスクをはらむ

210616日経


210621日経

日本経済新聞社がまとめた2021年度の設備投資動向調査で、全産業の計画額は前年度実績比10.8%増える見通しだ。2年ぶりに増加に転じ、新型コロナウイルス感染拡大前の水準に並ぶ。需給が逼迫する電子部品への対応やデジタル投資(総合・経済面きょうのことば)を増やし、成長に備える動きが目立つ。コロナ後を見据えて運輸などでも投資を増やす動きが出てきた。ただ半導体不足や世界の感染状況次第の面もあり先行きには不透明感も残る。(関連記事ビジネス面、詳細を21日付日経産業新聞に)
調査は国内の上場企業と資本金1億円以上の有力企業928社を対象に集計した。21年度の設備投資計画の総額は26兆3008億円と、コロナ感染拡大前の19年度(26兆2871億円)並みとなる見通しだ。増加率も12年度(10.8%)以来9年ぶりの高水準となる。

各国政府は景気対策に力を入れてきた。さらに一部の国ではワクチン接種が進み、景気回復への期待が高まっていることも企業の投資姿勢の改善を後押ししている。
製造業の投資額は、いち早く経済が再開した中国に加えて日本など世界各地での需要回復をうけ、15兆9284億円と16.3%増える見通し。増加率は05年度(16.8%)以来の高水準で、金額も19年度(15兆6353億円)を上回る。
非製造業は緊急事態宣言などの影響を受けやすく、製造業と比べ慎重姿勢が強い。投資額は3.2%増の10兆3724億円とコロナ前の水準を下回る。ただ足元では国内でもワクチン接種が進み、コロナ後をにらみ投資を増やす動きが出ている。

業種別では自動車が世界的な販売回復も背景に12.4%増える。トヨタ自動車は電動化対応も含め、4.4%増の1兆3500億円とする。電動車の世界販売を30年に年800万台に増やす計画に向け「電池生産量を30倍に増やす必要がある」(長田准執行役員)。電気自動車(EV)などに使うリチウムイオン電池への投資は約1600億円と2倍に増やす。
四輪車や二輪車の電動化で需給が逼迫するのが半導体などの電子部品やモーターだ。富士電機はEVなどの電流を制御するパワー半導体の需要拡大を見込み、半導体投資を410億円と倍増する。
TDKも総額を3000億円と約4割増やし「そのうち約1800億円をリチウムイオン電池にあてる」(石黒成直社長)。日本電産は46.2%増の1300億円とし、EV用駆動モーターとギアなどを組み合わせた「イーアクスル」を中国などで増産する。
コロナ禍で日常生活や業務の進め方が変わるなか、デジタル分野での投資を増やして対応する動きも目立つ。デジタル投資の計画額(703社)は7.2%増で3年連続のプラスだ。
ヤマトホールディングス(HD)は550億円と3倍以上に増やす。巣ごもり消費で従来以上に定着した宅配需要にあわせ、輸送や仕分けを効率化するためのシステム改善などにあてる。
テレワークに対応するためにパソコンなどを充実させる企業も多い。こうした動きはさらなる投資を呼び込んでいる。日本電気硝子は中国で液晶パネル用ガラスの生産能力を高める。パソコン用の需要が増えており、全体の投資額を600億円と約2.6倍に増やす。
コロナ禍が大きく響いた運輸などサービス関連でも動きが出てきた。
JR九州は9割増の1240億円を計画し、そのうち799億円を成長投資に使う。22年秋に部分開業する西九州新幹線向けの新型車両の調達や、長崎駅周辺などでの再開発が控える。森亨弘取締役は「ポストコロナに向けた成長投資には力を入れる」と強調する。
東宝も139億円と37.7%増やし、大阪府松原市でのシネマコンプレックス(複合映画館)の開業などに使う。
全体では晴れ間がみえてきたが、懸念材料もある。ひとつが半導体不足だ。半導体は産業用ロボットや建設機械などの設備にも使う。コマツの小川啓之社長は「21年度前半は半導体不足などの影響を注視する必要がある」と警戒する。
コロナの世界的な感染状況にも注意は欠かせない。王子ホールディングスはマレーシアでの段ボール原紙工場の稼働が遅れている。4月を予定していたが現地でのコロナ感染の再拡大で工事が終わっていないという。

210622日経

世界的なインフレ懸念が浮上する中、日本は消費者物価(総合2面きょうのことば)がほとんど上がらない。モノもサービスも、賃金も安くなったニッポンは物価上昇の波に向き合えるのか。価格の現場が示す様々なヒントから考える。

「少し高いなあ」。都内の20代の女性会社員が漏らした。米動画配信大手ネットフリックスが月会費の引き上げを決めた2月のことだ。
お国事情無関係
同社は各国で約2年おきに料金を見直す。独自コンテンツが増えたこともあり、日本の主力プランは13%(170円)上がり1490円に。一方、改定後に13.99ドル(約1500円)となった米国の上げ幅は月1ドル、約8%。改定後の価格は世界各国でほぼ横並びだ。
これまでグローバル企業は「安いニッポン」を考慮した値付けが多かった。動画や配送料が無料になる米アマゾン・ドット・コムのプライム会員。年会費は米国が119ドル(約1万3千円)、英国が79ポンド(約1万2千円)に対し日本は4900円と4割程度だ。ネットフリックスの値上げは、グローバル標準の価格が各国の経済事情とはお構いなしに入り込んできたことを示す。
賃金が上がらない国の負担は重くなる。その代表が日本だ。経済協力開発機構(OECD)などのデータでみると、日本で最高だった1997年の実質賃金を100とすると、20年秋時点で日本は90.3と減少が続いている。米国は122.2、英国は129.7、韓国は157.9だ。
米アップルの「iPhone」を購入する際の負担感を比べると、日本の消費者のつらさが浮かび上がる。最新の「iPhone 12 Pro Max」(データ容量は512ギガバイト、ギガは10億)は日本人の平均月収の約45%。一方、米国は25%にすぎない。iPhoneの性能向上に伴う単価の上昇が、賃金が伸びない日本に重い。
国内向け後回し
この先に何が起きるのだろう。
ヒントは産業資材価格の奇妙な動きにある。主要な産業資材10品目の足元の価格を調べると、鉄を延ばした熱延鋼板で、海外の方が1~2割高い逆転現象が起きている。10年前には見られなかった風景だ。
「入荷は通常よりも3~4割少ない。鉄鋼メーカーが輸出向けを優先し、欲しい量を十分に買えない」。関東地方のある加工業者はこぼす。熱延鋼板の東アジアでの取引価格は、6月下旬時点で1トン1015ドル前後(約11万円)。安値を求めがちな国内の顧客に対し、割高でも即決で買う海外需要家を優先するのは自然な流れだ。
国際相場との乖離(かいり)の根底には、デフレマインドが強い日本の消費者を相手に、企業が最終価格を上げられない実情がある。
5月の企業物価指数は前年同月比4.9%高い103.9で、約13年ぶりの伸び率となった。一方で5月の消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く)の上昇率はわずか0.1%。原油高を背景に1年2カ月ぶりに前年同月比でプラスに転じたものの、ゼロ近傍にとどまる。
グローバル需要で決まる企業物価と、内需で決まる消費者物価のねじれが大きいにもかかわらず、企業は製品に価格転嫁できない。調達コストの吸収へ人件費の切り詰めに動き、非正規など労働者にしわ寄せが及ぶ。
その結果、消費も伸び悩み企業収益も低迷する悪循環が続いている。連合の神津里季生会長は「今の構造のままだと、社会全体での賃上げは難しい」ともらす。
製品の付加価値を高めて値上げし、賃上げにつなげるグローバル企業。この常識が通用しない日本にインフレの波が押し寄せてきた。「ガラパゴス経済」に転機が静かに忍び寄る。
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