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トピックス DX

⚫️2022.1.1日本経済新聞📰

【サマリー】
DX浸透
対応人材不足
リスキリングに注目

【思ったこと】
D Xに限らず、リスキリングはビジネスマンとして必要

【記事全文】

新型コロナウイルス下で社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進み、担い手となる人材の育成が待ったなしだ。少子高齢化で中高年の力をいかに引き出すかも課題となり、働き手の「リスキリング(学び直し)」の重要性が高まる。

オンライン研修を受けるSOMPOワランティの原田大輔さん(東京都千代田区)
塩野義製薬は4月、希望者を対象に週休3日を導入する。ワークライフバランスを向上させるため、週休3日を取り入れる企業は少なくない。塩野義がユニークなのは、主な目的が社員の学び直しの時間の確保にある点だ。
同社はヘルスケアサービスなど新規事業の育成に力を入れており、創薬でも人工知能(AI)やデータ分析の知見が求められている。人事部の河本高歩氏は「社員一人ひとりの戦力を高めるため、新たな知識やスキルの習得が欠かせない」と話す。1人当たり年間で最大25万円を補助し、外部の専門教育機関の受講などを後押しする。
IT人材に偏り

2021年の情報通信白書によると国内企業の53%がDXを進める課題として「人材不足」を挙げた。雇用の流動性が低い日本では、デジタルの知見を持った人材はIT(情報技術)企業などに偏る。テレワークや業務プロセスの電子化が普及し、あらゆる業種でデジタル人材の育成が求められている。
「会社がDXを加速するなか、スキルの習得が必須だと肌身で感じている」。昨年12月、SOMPOホールディングス(HD)子会社で保証事業を担当する原田大輔さん(47)は社内の研修に参加し、決意を新たにした。業務にデジタル技術をどう生かすのかなどを学び始めた。
SOMPOHDは30年度までに国内全従業員にDXの基礎的な知識を習得させる。まず約1万7千人が23年度までに、AIなどの基本概念を学ぶカリキュラムを受講。デジタルに疎い中高年の意識改革を促し、管理職らにはさらに高度な研修の機会を与える。
学び直しの機運は高まる。ベネッセコーポレーションが国内企業に提供する米国発のオンライン教育サービス「Udemy(ユーデミー)ビジネス」。クラウドソフトの使い方など約6千の講座をそろえる。21年4月に約300社だった利用企業数は500社を超えた。「従来の顧客はIT系やコンサル大手が中心だったが、メーカーや金融、サービス業などに広がってきた」(同社の飯田智紀・大学・社会人事業開発部長)

それでも日本のリスキリングに対する意識は低い。PwCが21年に世界の約3万2千人を対象にした調査では、日本で「絶えず新しいスキルを学んでいる」と回答した人の割合は40%。世界平均(74%)を下回り、調査対象の約20カ国中で最低だ。職場内訓練(OJT)が一般的な日本では、働き手が主体的に学ぼうとする意識が乏しい。
21年春に発足した一般社団法人、ジャパン・リスキリング・イニシアチブ(JRI)。米マイクロソフトなど内外10社以上の企業・団体が参加し、22年春にも日本企業のリスキリング戦略の立案支援などのサービスを始める。数十社から問い合わせがあり、目立つのが中高年社員のリスキリングについての相談だ。
雇用維持にも重要
子供の頃からスマホやSNS(交流サイト)を使う20~30代に比べ、中高年のデジタルスキルは低い。パーソル総合研究所の20年の調査では、国内企業約800社の36%がシニア社員の能力・スキル不足が現在課題になっていると答えた。ただ企業の人材開発予算のシニア向けの比率は6%にとどまる。JRIの後藤宗明代表理事は「新規事業を担う人材を育てる『攻めのリスキリング』に加え、DXが進んでも中高年の雇用を維持する『守りのリスキリング』も重要になる」と話す。

パーソル総研などの予測では、日本は30年に労働需要が労働供給を644万人上回る。定年引き上げや再雇用の拡大に動く企業も多いが、単に雇用を延長するだけで生産性を高められなければ、人件費の負担だけが重くなる。東京海上日動火災保険は昨年、40歳代後半からの管理職を対象に「ライフシフト大学」を立ち上げた。今後のキャリア設計のプランの作成など、学び直しの意識改革を促す。
もっともリスキリングに取り組むのは投資余力のある大企業が多く、「DXとは何か」という初歩的な研修も少なくない。リクルートワークス研究所の石原直子人事研究センター長は「採用力が乏しく機動的に専門人材を取り入れるのが難しい中小企業ほど、既存人材のリスキリングの必要性が高い」と話す。
日本は対国内総生産(GDP)比で見た場合、職業訓練などの公的支出額が主要国で最低水準だ。政府は自治体などが運営する「公共職業訓練制度」の拡充を進めているが、学び直しに取り組む中小企業への助成や税制優遇なども検討課題になりそうだ。

⚫️2021.12.13NewsPicks

「IT人材不足」

 日本企業のDXが一向に進まない――そんな言葉をよく耳にする。ビッグデータやAIとともに、DXは数年前からキーワードになっている。実際、多くの企業がDXに取り組み、成功例も出てきているが、全体からするとまだ少ない。
 従来からあるアナログ業務のデジタル化や老朽化したシステムの刷新など、企業もやるべきことはやっている。それにもかかわらず、なぜ思うようにDXが進まないのか。最大の原因は「IT人材不足」だと、アステリアの東出武也氏は指摘する。
「DX推進が思うようにいかない一番の原因は、IT人材が不足しているからです。企業のIT化が謳われた数十年前からずっと言われてきた課題ではありますが、近年DXの波が来たことでさらに拍車がかかっています。しかも、全ての企業が同じ状況なので、これから新たに人材を確保することは難しいです」(東出氏)
DX推進における3つのフェーズ
 アステリアでは、次のようにDXを3つのフェーズに分けて捉えているという。
●第1フェーズ:IT利用による業務プロセスの強化
●第2フェーズ:ITによる業務の置き換え
●第3フェーズ:業務がITへ、ITが業務へとシームレスに変換される状態

DX推進における3つのフェーズと現状
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 最終的に目指すDXのゴールは第3フェーズだ。しかし、それは第1~2フェーズを経たうえで到達できる。ところが、多くの企業が第1~2フェーズで課題を抱えており、DXがうまく進められないというのだ。
 第1~2フェーズとはDXにおける基礎のようなもので、ここがしっかりと確立されていなければ第3フェーズは達成できない。しかし、一見第1~2フェーズをクリアしているようでも、実はできていないケースも多いという。
「第1フェーズでの課題は主に現場業務で、紙ベースで行っている作業、工場や倉庫での業務、客先などフィールドワーク現場でデジタル化と、それに伴う業務プロセスの改善です。これが進んでおらず、多くのアナログ的業務が残ったまま、一応デジタル化はしたものの業務プロセスは従来のままというケースがあります。
 第2フェーズでは、ERPやSFA、CRMといった業務システムの導入などで、ここは実践できている企業も多いです。しかし、それらシステム間の連携となると壁があります。SaaSなどによって導入の敷居が下がった反面、システムやデータが乱立してサイロ化してしまうケースが多くの企業で発生しています」(東出氏)
非IT人材をDX人材に変える
 DXで重要となるのがデータ活用だ。さまざまな製品やサービスでデジタル活用が進んだことで、企業内には多くのデータが様々なシステムに蓄積されている。それらを組織やシステムを越えて連携させることで、新たな製品やサービスの価値創出につなげる。これが理想的なDXの姿だ。しかし現実は、データやシステムが分断・孤立したまま「サイロ化」している。これを解決しなければ、そもそも本来のDXに取りかかることすらできない。
 このようなDXの課題を解決するためにアステリアが提供するのが、データ連携ツール「ASTERIA Warp(アステリアワープ)」だ。柔軟なシステム間データ連携を実現するためのツールで、100以上のクラウドサービスやシステムに対応している。最大の特長は、ノーコードで開発できること。つまり、プログラミングのスキルを持たない非エンジニアでも開発できる。
「IT人材不足の解決策として当社が出した答えは、非IT人材でもDXに携わることのできる環境を提供することです。新たな人材を確保できないなら、今いる人材を活かすしかありません。しかし、近年注目されているリスキリングやリカレント教育は、コストと時間がかかります。
 そもそもDXの本質は、システムの構築やデータ連携そのものではなく、それによって何を見出すか。これはエンジニアではなく現場の担当者が担うべき領域です。ASTERIA Warpを使うことで、IT人材ではなくても、DX人材にはなれるわけです」(東出氏)

ノーコードで100以上のシステムとのデータ連携を実現するASTERIA Warp
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プログラミングのスキルがなくても開発が可能
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ノーコードツールによる内製化でDX推進
 ASTERIA Warpによるノーコード開発は、非IT人材のDX人材化を実現し、結果として企業システムの「内製化」をもたらしてくれる。これはDX推進において大きな意味を持つという。
「ノーコードによる社内総DX人材化は、システムの内製化を促進します。一般的に日本企業はITシステムの開発を外部委託しがちです。それはメリットがあるからですが、DXにおいてはデメリットのほうが多いと考えています。自社で可能な限り開発できる体制を整えておくことで、市場やユーザーのニーズに迅速に対応できて、ノウハウも蓄積できます。いざDXという段階で何から始めればいいか分からないというのは、まさに人材もノウハウも社内にないことが原因です」(東出氏)
業種や職種を問わず幅広く対応
 ASTERIA Warpを導入することで実現できるデータ連携とは、具体的にどのようなものか。企業システムの典型的なデータ連携といえば、会計やERPなどの基幹システムやSFAなどの各種支援システム周りだ。また最近では、クラウド同士の連携、表計算ツールと社内申請システムやクラウドとの連携も多いという。
 例えば、旅館やホテルといった宿泊施設の運営を行う株式会社星野リゾートでは、ASTERIA Warpを介して会計システム、ホテルシステム、BIツールの連携を実現している。この事例の注目点は、エンジニア抜きでこのシステムを構築したという事実だ。
「星野リゾート様は、インフラシステムの構築には社内エンジニアを使わないというポリシーをお持ちです。IT専門の人材は、顧客体験価値創造のために高度な開発を担うべきだという考えです。したがって、プログラミング経験のない方が担当されましたが、わずか1か月間という短期間で開発できました」(東出氏) 

星野リゾートが短期間で構築したシステム
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 また、柳井電機工業株式会社では、営業活動の見える化をASTERIA Warpによって実現した。スマホアプリからの営業報告の提出や取引先企業の情報閲覧、SFAとの連携など、DXを大きく推進できた。なお、営業担当者が使うスマホアプリのシステムは、アステリアが提供するアプリ開発のノーコードツールPlatioを使ってわずか3日間で開発されたものだという。

柳井電機工業が構築したシステム
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 このように、ASTERIA Warpは業種や職種を問わず、さまざまなシステム・部署・業務でのデータ連携に利用できる。
最善の準備はDX人材化による環境づくり
 ASTERIA Warpは、中小から大企業までその規模に関わらず幅広く対応できる。開発生産性や運用形態の違いごとにラインナップが用意されており、月額3万円から利用できる。データ連携に関わる機能に大きな差はないので、チームレベルでの試験導入も気軽にできる。メリットを実感できたらアップグレードして、社内での利用規模を拡大するというシナリオも可能だ。
 あらためてDX推進のポイントを東出氏にたずねると、「目的を持つこと」と答えが返ってきた。しかし、この目的を設定すること自体が難しいのもDXである。さらに、仮に目的を設定できたとして、その実現にかなりの時間がかかってしまう。
「市場や顧客のニーズが変化しても柔軟に対応できる環境を用意しておくことが、最善の準備といえるでしょう。そして、IT人材不足の解消が難しい状況では、非IT人材を(IT人材ではなく)DX人材にするためのツールとして、ノーコードで開発できることは必須条件です。当社では、すぐにできる現場のデジタル化にはPlatio、システムや組織を越えたデータ活用にはASTERIA Warpというノーコードツールを用意しています。DXの推進において、システム開発は手段であり、目指すべき目的はその先にあります。いち早くそこに到達できるように、ツールを活用してほしいです」(東出氏)

⚫️2021.12.13日本経済新聞🗞

官民あげて取り組むデジタルトランスフォーメーション(DX)が経常黒字を縮小させている。米IT(情報技術)大手が強いクラウドサービスなどの海外への支払い超過が1~10月に1.1兆円を突破した。DX加速は待ったなしだが、中長期的には基幹システムを海外に頼らざるを得ない国内産業の弱さをどう克服するかも課題となる。

国際収支統計によると経常収支のうち、クラウドやソフトウエア投資を示す「コンピューターサービス」は海外への支払いから国内の受け取りを差し引いた赤字幅が年々増えているが1~10月は1兆1894億円となり、前年同期比で1.3倍と急増した。2兆5198億円だった同じ期間の貿易黒字の5割近くを帳消しにした計算になる。
MM総研(東京・港)の狩野翼アナリストは「クラウドサービスの利用料の支払いがそれなりの割合を占めているのではないか」と分析する。同社が国内企業2万8868社を対象に実施したアンケート調査によると、2020年度のクラウドサービス市場規模は前年度比22%増の2兆8750億円に伸びた。新型コロナウイルス禍でテレワークなどが急速に広がり、DXの機運が高まったことが追い風となった。
クラウドサービスで圧倒的なシェアを握るのが米IT企業だ。MM総研によると基盤システムをクラウド上で提供するPaaS(パース)型サービスの利用率は、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が37.4%、マイクロソフトが30.6%、グーグルも15.9%を占める。
DXを米ITに頼るのは政府も同じだ。総務省は20年2月、政府の基幹情報システムにAWSを採用すると発表した。高市早苗総務相(当時)は記者会見で「純国産クラウド」の活用を模索し、国内各社のクラウドサービスを比較検討したがAWSが「セキュリティー対策も含めて極めて優れている」と説明した。デジタル庁も21年10月、行政システムのクラウド化に使うサービスについてAWSとグーグルの2社を選んだと発表した。
MM総研の狩野氏は「各社の細かなニーズに対応するのが得意な日本では特定のベンダーに依存するベンダーロックインの慣行が浸透し、プラットフォームビジネスで先行する米企業に押されてしまった」と話す。足元で必要なのはDXの加速であり、グローバルに汎用性のある米ITのサービス活用は不可欠だ。だが中長期的には海外に拡販できるようなデジタルサービスを日本でどう生み出せるようにするかが課題になる。技術革新の停滞を打破する構造改革が求められる。

⚫️2021.11.11日本経済新聞🗞

当社はアプリケーションの会社からクラウドサービスに移行し、顧客に対しテクノロジー基盤などを提供する会社になっている。成功できた一つの理由は「デジタル体験で世界を変えていく」というミッションがあったからだ。

デジタル変革の波は、コロナ禍が終わったあともそのまま残っていく。もうコロナの前の世界に戻ることはない。「デジタルファースト」の世界に私たちは移行した。
すべての企業が、デジタルの世界で自社の存在感をいかに高めるかを考える必要がある。デジタル技術で顧客と直接につながり、製品は(ネット通販などで)電子的に届けられる。規模を問わず、すべての企業がデジタルを活用した変革を考えねばならなくなった。
経済の活力源は中小企業にある。中小企業が成長すれば結果として経済が発展する。飲食店でも、ヨガ教室でも、教育施設でも、素早くウェブサイトを立ち上げたりコンテンツを提供したりできるかが重要になっている。(中小企業のデジタル化に向けて)使いやすい製品を提供するのがアドビの使命だ。
アドビには(クラウドサービスで)3つの成長イニシアチブがある。1つめは「(クリエーター向けサービスの)クリエイティブクラウド」だ。(クリエーターの)インスピレーションから収益化までをワンストップで支援したい。2つめは「(PDFなど文書管理向けの)ドキュメントクラウド」だ。(文書など)情報共有手段のデジタルへの移行をお手伝いする。
3つめが「(企業のデジタルマーケティングを支援する)エクスペリエンスクラウド」だ。アドビが発明し、パイオニアと自負している。新規顧客の獲得や顧客との取引に活用できる技術を提供する。例えば、大手航空会社やホテルチェーンはアドビの技術を使って顧客を管理している。
(この分野での)日産自動車とのパートナーシップを誇りに思っている。カシオ計算機は計算機や腕時計、電子楽器などいろいろなタイプの製品を手がけており、当社のサービスを用いてデジタル上の顧客体験を管理している。
日本のデジタル庁の設立をお祝いしたい。デジタル社会の構築はどの政府も取り組むべき課題で、大きな進展が得られると期待している。当社は米国やオーストラリアの政府機関と仕事をしてきた。これらの経験から学んだのは「小さくスタートすること」の重要性だ。利用者である市民の立場に立って製品やサービスを試してみることが(デジタル化の)触媒になる。
政府機関では(窓口などが変わるごとに)繰り返しIDの入力を求められている。プライバシーを保護した上で、IDによるデータを(政府機関同士が)共有できれば素晴らしいサービスを市民に提供することにつながる。観劇チケットが電子予約できるなら、なぜ政府機関は同じようにできないのか。(デジタル化が進むなか)市民の「期待値」は変わっており、これに応えられない政府はしっぺ返しを食らうことになる。
これから、人工知能(AI)や機械学習にも注力していく。企業や政府機関が「私」が誰かを知って必要なものを提供してくれる「パーソナライゼーション」も進む。技術の未来にわくわくしている。

⚫️2021.10.13日本経済新聞🗞

【サマリー】
大学の授業について、企業も国もDX推進
オンラインと対面を組み合わせたブレンド型が主流になりそう

【思ったこと】
DX いまは主流になりつつあるので、資金的に無理のない範囲での投資は必須
でも、過剰投資だと、いずれなんでもかんでもオンラインではなくやはり人は対面だ!
って時代になった時に重荷になる

【記事全文】

企業や政府が大学の授業を対象に、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推し進める動きが出てきた。新型コロナウイルスの影響が少なくなれば、オンラインと対面を組み合わせる「ブレンド型」の授業が本格的に求められる可能性が高い。大学側には最新のデジタル技術をどう取り入れ、新しい講義形式をつくるのかが課題になる。
都内にあるイトーキの開発オフィス。仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を表示する装着型端末、ヘッドマウントディスプレー(HMD)をつけた社員が音響機器の試作品を手に取り「このボタンを押して起動します」と話し出した。画面ごしに遠隔から参加する社外の共同企業の開発員や大学の研究生も「そこを」「ここに」などと、同じ場にいるように会話する。
これは大学内の実験室を想定し、室内と室外にいる人同士が一緒に実験的研究に取り組める空間作りのために、イトーキが行っている試みの1つだ。
オンライン授業で利用されているビデオ会議のZoom(ズーム)やTeams(チームズ)は、アイデアを出し合ったり意見交換したりするのに使い勝手がいいとは言いがたい。ブレンド型授業でこうしたシステムを使った場合、教室にいる学生とリモート参加者との間に情報格差が生じ、遠隔学生は疎外感を抱きやすいといった難点がある。
イトーキは2020年から、テクノロジーを活用した次世代の大学キャンパスのあり方をテーマにした「スマートキャンパス構想」を掲げ、大学と実証実験を進めている。冒頭に紹介した5月の実験は、HMDを装着した学生が見る映像を遠隔先でも共有し臨場感を高めることで、ブレンド型での授業でも自由に意見を言い合うことを可能にするものだ。
このほか、プレゼンテーションやグループワークなど「学習のプロセスごとに最適化された場作りを設計していきたい」と、構想を主導する先端研究統括部の大橋一広統括部長は語る。

文部科学省は2月にデジタル技術による授業革新アイデアを披露するピッチイベントを開いた(文科省「スキームD」サイトから)
政府もデジタル技術を駆使した大学の授業改革に乗り出す。文部科学省は授業のDXに向けたアイデアを支援するプロジェクトチーム「スキームD(「デジタル技術を用いた学修者本位のより高度な教育エコシステム」の英語の頭文字から)」を立ち上げた。
応募案を有識者が評価した上で採択案件に補助金を与える一般的な事業手法とは異なる。アイデアを持つ教員や学生、スタートアップ企業と、事業家や投資家とのマッチングを図り社会実装につなげるコミュニティーづくりを目的とする。
授業改革のアイデアを競う初回のピッチイベントは2月にオンラインで開かれ、104件の応募者から選ばれた10件(大学教員6件、企業3件、学生1件)の発表者が、500人超を前にプレゼンした。
このうち、ブレーンストーミングなど議論の進展度合いをデジタル技術で可視化するアイデアを発表した京都先端科学大学の教員の案件を含め計5件が企業などとの連携を進めている。27日には教員や学生、22年2月には企業によるピッチイベントを予定している。
デジタルハリウッド大学の佐藤昌宏教授は「大学教育を含め、変革を試みるイノベーターは増えてきてはいるが、まだ孤独」と語り、4年前から教育とIT(情報技術)を組み合わせたエドテックの国際イベント「Edvation×Summit(エドベーションサミット)」を主宰。テクノロジー技術を使い日本の教育改革を志す人を後押ししている。
5回目は11月18日から「ビヨンドGIGA」をテーマに、政府が小中学生に1人1台の端末を配布する「GIGAスクール構想」を受け、教員が端末を使いこなし、教育のDXに導くためのプログラムなどを予定する。

⚫️2021.10.8日本経済新聞📰

KDDIなどが出資者となって中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を軸とするファンドを立ち上げた背景には、中小企業の改善余地が大きいことがある。DXを実行または検討中の中小企業は4割にとどまり、アナログ文化が根強く残る。それだけDXで生産性を高められる余地は大きい。(1面参照)
日本はDXが遅れている。スイスの国際経営開発研究所(IMD)がまとめた世界デジタル競争力ランキングでは、2020年時点で日本は27位で、前年から順位を4つ落とした。新型コロナウイルス禍は行政のデジタル化の遅れを浮き彫りにしたが、企業にもDXは浸透しきっていないのが実情だ。
経済財政白書によると、DXを実行または検討中の企業は中小で4割にとどまり、大手の7割超に見劣りする。DXに必要なデータは蓄積しているものの、分析・活用するノウハウがなかったり、担い手となる人材が少なかったりすることが遅れにつながっている。ファンドが提供する外部の人材やノウハウを活用できれば、収益力向上の伸びしろは大きい。
投資の際は、企業が蓄積したデータを人工知能(AI)で分析し、改善点を見いだす。例えば流通業であれば、店頭や電子商取引(EC)での購買データを分析し、それぞれの顧客の好みに合った商品を適切なタイミングで提案する。売り上げが伸びるほか販促費も削減でき、より効率よく稼ぐことができるようになる。
海外の投資ファンドでは、投資先企業の選定や経営改善にデータを活用する動きが広がる。米大手ブラックストーン・グループはデータサイエンティストの採用を拡大している。米KKRが20年、楽天グループと共同で西友の買収を発表した際には、楽天の会員基盤を生かしたデジタルマーケティングなどに取り組むとした。
Dキャピタル(東京・港)は2021年3月設立。創業メンバーには投資銀行やファンド出身者に加え、米航空宇宙局(NASA)や米ゴールドマン・サックスでAIを活用した業務の自動化などに取り組んできた松谷恵氏ら専門人材も参画する。メンバーのネットワークも生かし、中小企業の経営改善に関心のあるDX人材を募る。

⚫️2021.10.8日本経済新聞📰

KDDIや三井住友銀行などが投資会社と組み、中小企業を買収しデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるファンドを立ち上げる。買収した企業にデータ活用の専門人材を派遣して、自前でDXを進める組織づくりをめざす。遅れがちな中小企業のDXを後押しし、日本経済の底上げにつなげる。(関連記事金融経済面に)
独立系投資会社のDキャピタル(東京・港)が設立したファンドに、KDDIなどが資金を出す。他にもSCSKや東大発スタートアップのJDSC(東京・文京)、福岡銀行、あおぞら銀行、新生銀行などが出資を決めた。ファンドの規模は300億円をめざす。出資企業はDXを進めるための技術提供や、投資先となる企業の紹介で協力する。DXを軸に経営を改善するファンドは国内初となる。
ファンドの運用期間は10年間。最初の5年間で、企業価値が50億~100億円程度の中小企業6~10社に投資し、残りの期間で経営改善を進める。原則として企業の株式の過半を取得し、経営人材のほか、IT(情報技術)大手などで勤務経験のあるデータ専門人材を投資先に派遣する。製造業やサービス業などを主な買収対象に想定している

⚫️2021.9.15NewsPicks

【サマリー】
IT補助金 新規受付一時停止
不正受給事案のため

【思ったと】
不正防止のため、しょうがないけど、
デジタル化推進、係る補助金はすごく重要
特に中小企業さんにとって😢
残念😢

【記事全文】

中小企業のデジタル化を支援する事業をめぐり、ITの専門家などを装って不正に補助金を受け取っていた疑いがあるとして、梶山経済産業大臣は14日の閣議の後の記者会見で、再発防止策がまとまるまで、新規の受け付けを一時的に見合わせる考えを示しました。
経済産業省は、コロナ禍をきっかけに、テレワークを導入するなど中小企業のデジタル化を進めるために、ITの専門家から指導を受けた場合、最大で30万円を補助する事業を行っています。

しかし、実際には指導していないにもかかわらず、専門家や中小企業を装って補助金を不正に受け取っていた疑いがあると指摘されています。

これについて梶山経済産業大臣は、14日の閣議のあとの記者会見で「不正受給を防止するための制度の改善を行う予定だが、内容が決まるまでの間、新規案件への支援を今週中にも停止する予定だ」と述べ、再発防止策がまとまるまで、新規の受け付けを一時的に見合わせる考えを示しました。

そのうえで、梶山大臣は、補助金の自主的な返還や情報提供を呼びかけるため、電話での相談窓口を設置したことを明らかにし、「これまで支援を行ったおよそ1万4000件について徹底的に調査している。不正な案件については捜査当局とも相談していきたい」と述べました。

⚫️2021.9.3日本経済新聞🗞

東京都内の商店街がデジタル対応を加速させている。消費者と加盟店舗が交流できる会員制サイトの作成やセール情報の配信などで、若者や地域に引っ越してきた子育て世帯など新規顧客の獲得を狙う。客層の高齢化や大手電子商取引(EC)サイトの拡大などで先細り懸念が強まるなか、新たな商店街の形を模索している。

中延商店街はスタートアップと連携してデジタル化に取り組む
上野中通商店街(東京・台東)は2021年度内に消費者向けの会員制サイト「上野倶楽部(くらぶ)」を立ち上げる。SNS(交流サイト)機能を通じて加盟店舗とコミュニケーションがとれるようにするほか、加盟各店の商品のEC機能も設ける。加盟飲食店から近隣地区への料理の配達も受け付ける予定だ。

同商店街が加盟する上野中通商店街振興組合(同・同)と都内の大学生らでつくる学生団体「おりがみ」がサイトを運営する。組合が中心となってサイトを管理・運用し、学生は商店主らへのSNSの使い方指南や配達業務を担う。
同商店街はJR上野駅から徒歩2分という立地で観光客を主な客層の一つとしてきたが、新型コロナウイルス流行で大きな打撃を受けている。同組合の茅野雅弘副理事長は「これからは店が積極的にアピールしてファンをつくることが大事だ。学生や若者にも活動に加わってもらいつつ、将来的な顧客にもしていきたい」と話す。
中延商店街(東京・品川)は2月に対話アプリ「LINE」の公式アカウントを作成した。登録者に2週間に1回、セール情報やクーポンを配布しており、現在651人が登録している。4月にはホームページを刷新して青果店やクリーニング店など約130ある加盟店舗の積極的な情報発信に取り組む。
取り組みには区内五反田地区に本社を置くIT(情報技術)スタートアップでつくる一般社団法人、五反田バレー(同・同)が参画している。同法人の中村岳人代表理事は「商店街が身近にある人は少なくない。新たに地域に住み始めた若者や子育て世帯に商店街の利便性を実感してほしい」と話す。
東京都の19年度の調査によると、商店街の客層の3割を高齢者が占める一方、学生・若者は9%にとどまる。地域に長年住んでいる人には利用されているが、引っ越してきた人など新しい顧客の開拓に苦戦している様子がうかがえる。各商店街はデジタルツールを活用して新規顧客との接点をつくっていきたい考えで、都も支援している。
新規顧客の獲得に加え、デジタル技術を活用した商店街の運営効率化を進めるのが大隈通り商店会(東京・新宿)だ。年内に独自アプリをつくり、商店街の情報配信や商店街が展開するポイントサービスなどを一括で管理できるようにする。これまで紙ベースだった取り組みをアプリに切り替え、印刷や配布のコストを抑える。
イベント企画などを担う同商店会の安井浩和会長は「これまではイベント予算の30%ほどしかセールなどの原資に充てられなかったが、今後は半分ほどに高められる」と話す。同商店会の近隣には早稲田大学があり、キャンペーンの情報配信などと合わせて集客効果に期待を寄せている。


⚫️2021.9.2日本経済新聞🗞

経営共創基盤の冨山和彦グループ会長は日本経済新聞の取材に対し、「中小企業こそ日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)の中心になる」と話した。デジタル化が遅れていた分、「コロナの危機下だからこそ大きく変われる余地がある」とみる。
労働者の8割が働く中小企業は人手不足に直面する。「人口減が進み、生産性を高めないと会社が存続できなくなる」と指摘。DXは会社の構造を変えることだが、急に変わることは難しい。「まずは目の前の経営課題に対峙し、業務を見える化して整理すべきだ」
クラウドの普及で企業の規模を問わず誰でもデジタル化ができるようになった。「高度なIT知識は不要。身近なITツールを使いこなせるデジタルネーティブ世代の人材が必要で、非常勤や副業なら中小でも採用できる」と話す。

⚫️2021.9.1日本経済新聞📰

「サマリー」
デジタル庁発足
デジタル化推進へ!🖥

「思ったこと」
国の主導の成功
それから民間へのDX支援の強化
民間へのわかりやすいDX情報の伝達
民間の意識的な取り組み
これから変わらなきゃいけないし、変わる必要をせまられる個人も法人も
ITリテラシー低いなー自分😔

「記事全文」

行政のデジタル化を推進するデジタル庁が9月1日に発足する。紙の文書による面倒な手続きを減らし、簡便でわかりやすい行政サービスを目指す司令塔になる。民間人材を起用し、権限を集中させた組織だ。国と地方、民間の垣根をなくし、データを活用する経済・社会への第一歩になれるだろうか。(1面参照)
デジタル庁は首相の下にデジタル相を据える首相直轄の組織だ。予算と権限を集中させて、強力にデジタル化を進める体制をとった。
公共にかかわる分野を中心に民間を巻き込み、社会全体でデータが行き来するインフラを整える。そのために200人の民間人の協力を得る。

まず重要なのは国と地方自治体のデジタル化だ。各省庁や自治体のシステムはデータの形式や業務の手順が異なる。いまはデータの共有や連携が難しい。
デジタル庁には政府のIT(情報技術)関連予算を集約していく。今年末にまとめる2022年度予算案から、複数年かけて段階的に各省庁の予算を移す。
各省庁がばらばらにシステムを調達するよりも、まとめ買いによる値引きのメリットがある。仕様が統一されればデータのやりとりも進み、管理も容易になる。
政府のシステム整備に関する予算は年間8000億円ほどだ。調達費を圧縮できれば、クラウド化やセキュリティーの強化に財源を振り向けることができる。

官僚機構の縦割りを打破するために勧告権を付与した。デジタル庁の根拠となる設置法はデジタル相が「事務の遂行のため特に必要があると認める」場合に他省庁に勧告できる、と定めた。
行政手続きの窓口となる自治体との関係は大きな課題だ。各自治体が運用するシステムは5年以内を目標に基盤を統一し、全国規模のクラウドに移行させる。
現在は住民の氏名、住所、生年月日、性別の「基本4情報」すら各自治体でデータ形式が異なる。
独自のシステムの保守や管理は調達時の業者以外は扱いにくい。特定業者に契約が固定化する「ベンダーロックイン」と呼ばれる状況になる。問題を防ぐには国・地方を通じた標準化が必要だ。
デジタル庁の民間人材には自前でシステムを設計する「内製」を期待する。新型コロナウイルス禍ではワクチン接種記録システムや接触確認アプリなど、新たな行政関連のシステムを短期間で仕上げる能力が問われた。
サイバーセキュリティーの部隊も置く。システムの脆弱性をチェックする。内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)とも連携する。
省庁や自治体のシステムの仕様を共通にしてインフラを整えても、データ表記のルールが別では意味がない。5年以内の標準化を目指す。
デジタル庁が行政のデジタル化の中核に据えるのはマイナンバーだ。国民一人ひとりに割り当てられた12桁の番号と個人情報をつなぐ。
番号を記載したマイナンバーカードにはICチップが搭載され、オンラインで本人だと確認できる機能がある。これをスマートフォンでも使えるようにして、様々な手続きがスマホ1台で済む未来を目指している。
逆にカードが使えないままでは、文書で煩雑な手続きをする日本は変わらない。22年度末にほぼ全国民がカードを保有する目標を掲げる。
行政の基盤づくりと同時並行で民間を巻き込む。今年度中に教育や医療といった公共性の高い分野でデータ連携を進める具体策をまとめる。
教育なら学校や学習塾の学習履歴をマイナンバーに関連付けて管理する仕組みがありうる。ビッグデータとして使えば、指導の改善や教育政策の立案に生かせる。
企業間でやりとりするインボイス(税額票)のほか、電子決済やスマートシティーなども重点分野になる。とはいえ、いずれも行政の基盤が整っていることが不可欠といえる。デジタル庁が機能しなければ社会・経済の変革は夢物語になる。

⚫️2021.9.1日本経済新聞🗞

「記事全文」

デジタル庁が1日、発足する。縦割りで前例踏襲を重んじる行政の姿は停滞が続く日本経済のうつし絵でもある。アナログ国家のまま衰退の瀬戸際に立つ日本で、行政デジタル化の推進は経済・社会全体にデジタルトランスフォーメーション(DX)を波及させる最後のチャンスだ。
(デジタル庁発足特集面に)
デジタル技術を取り入れるほど政策はガラス張りになる。情報を紙で管理し、閉鎖的な行政の方が「居心地がいい」人には、データ開示などの変化は疎ましい。
2月、ある県の幹部は新型コロナウイルスのワクチン接種記録システム(VRS)に拒否感を示した。「比べないでほしい」。自治体の接種実績がデータで透明化されると、せかされた気になり自分たちのペースで接種できないからだという。

官報購読者に7月、8192ページの冊子が届いた。東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)条約を載せた。1日分で過去最多のページ数だが、ネットで公開済みだ。法令公布は官報掲載による、との1957年の最高裁判例に従ったという。フランスは2016年に紙の官報を廃止した。
総勢約600人のデジタル庁はうち200人が民間出身。役所の流儀を覆すことが期待される。行政の変化が社会全体を変える一歩となる。
例えば他の先進国と比べて低いキャッシュレス決済の利用。金融機関の支店で入金作業をする中小企業は多い。「税金や水道代など公金支払いでキャッシュレス化が進まず窓口に来る」(税務会計システム大手幹部)。公金支払いがデジタル化されればキャッシュレス利用率も上がる可能性がある。
霞が関では役所の縄張り争いがくすぶる。
デジタル庁の看板政策に自治体システムの仕様をそろえる作業がある。総務省と連携して担う。だが「『自治体を仕切るのはどちらか』という縄張り争いが起きているようにみえる」(情報技術大手の担当者)。ある総務省職員も「うちとデジタル庁は関係ない」と言い切る。
医療や教育など「準公共分野」のデジタル化やデータ基盤整備も任務だ。文部科学省や厚生労働省などが、教科書デジタル化や健康情報の利活用などを検討してきた。人工知能(AI)を使った画像診断など薬事承認は厚労省の所管で「デジタル庁ができても規制のボトルネックは変わらない」との懸念がある。
デジタル庁は縦割り打破を掲げる。他省庁への勧告権を持ち、首相に指揮を求めることができる。それでも「我々の担当は『横断的なテーマ』」(デジタル庁担当者)と他省庁への配慮もうかがえる。自動運転やスマートシティーなど警察や消防が絡むテーマで存在感を示せるかが試金石だ。
行政デジタル化は01年のe-Japan戦略でも掲げた。韓国や台湾はアジア通貨危機やIT(情報技術)バブル崩壊に対処するため官民デジタル化を推進した。20年の国連の電子政府ランキングで韓国は2位、日本は14位だ。
菅義偉首相は8月31日の閣僚懇談会で、デジタル庁を司令塔に「3つの柱でデジタル改革を進める」と指示した。例として「スマートフォン一つで手続きがオンラインでできる社会を目指す」と語った。
3本柱は(1)行政のデジタル化(2)医療や教育など幅広い分野のデジタル化(3)年齢・地域・経済的状況などによらず全ての国民が情報にアクセスできる社会――をあげた。
コロナ禍という未曽有の危機をバネに日本の経済構造を変えることが改革の本丸だ。

⚫️2021.8.30日本経済新聞🗞

「サマリー」
中小企業はD X遅れている
生産性向上にD Xは必要
政策として支援が必要

「思ったこと」
間違いなく、D Xは中小企業の課題📝
D X導入に際しては、何から始める?Webサイト?その運用?→情報溢れてて選択できない。
紹介とかでD X得意な企業さんをみつけるのが1番。
また、Webサイト見直しにも費用はかかる。
運用にもランニングかかる。
IT補助金は、拡充されてもいいかなーとおもう(*´꒳`*)

「記事全文」

日本企業はデジタル化を通じた業務改善が遅れており、新技術の導入による製品開発や事業効率化といったメリットがデジタル化の進む米国企業に比べ限定的だと指摘されてきた。一方で新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を契機に、テレワークをはじめ企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が喫緊の課題となっている。

コロナ後の成長の条件を整えるためにも、今後は日本企業のDXを加速していかなければならない。
総務省の通信利用動向調査によると、テレワーク導入企業の割合は2019年の20.2%から20年には47.5%に上昇した。ただし、現状のテレワークの導入目的は「非常時(感染症の流行など)の事業継続」とする企業の割合が68.3%と最も高く、「業務の効率性(生産性)の向上」という企業は29.7%と低い。
DXの推進には、基盤となるIT(情報技術)システムの整備が求められる。近年は自前でIT資産を蓄積するよりも、クラウドコンピューティングサービスをはじめとするITサービスを利用する傾向が強まっている。前述の総務省調査によると、クラウドコンピューティングサービスを導入する企業の割合は20年に68.7%にのぼる。

米ハーバード大学ビジネススクールのティモシー・デステファノ研究員らは英国の企業データを使い、クラウドコンピューティングサービスの導入が企業の組織形態や成長に与える影響を分析した。具体的には、企業の雇用者数、労働生産性、事業所数、事業所の配置、企業ごとの事業所の新設・廃止に与える影響について分析している。
その結果、企業年齢の低い企業は雇用者数や労働生産性を伸ばしていた。一方、企業年齢の高い企業は規模拡大や労働生産性の向上よりも、事業所の廃止や事業活動の移動など、事業再編によるコスト削減を進めていることを示唆する結果が得られたという。こうした結果は、企業のデジタル化が事業再編を促す要因となることを示唆する。
以下では、筆者と金榮愨・専修大教授が経済産業研究所のプロジェクトで実施した、技術進歩などを反映する全要素生産性(TFP)に関する分析結果を紹介する。日本の製造業企業の事業所レベルでのTFP上昇率を要因別に分析するとともに、デジタル化が製造業の国内外での生産体制に与える効果を分析した。
日本の製造業全体のTFP上昇率(年率平均)を内部効果、再配分効果、参入効果、退出効果、業種転換効果(スイッチインとスイッチアウト)の6種類に分解した(図参照)。各効果の定義は以下の通り。
内部効果は事業所内のTFP上昇、再配分効果はTFPのレベルが高い事業所やTFP上昇率の高い事業所での生産シェア拡大、参入効果はTFPの高い新規事業所の開設、退出効果はTFPの低い事業所の退出が、それぞれ全体のTFP上昇率に与える効果だ。業種転換効果とは、事業所の主要生産物の変更(スイッチインは増産による変更、スイッチアウトは減産による変更)が全体のTFP上昇率に与える効果だ。
日本の製造業全体のTFP上昇率(年率平均、以下同)は、1986~90年には2.6%だったが、2011~15年には0.2%まで低下している。主因は内部効果の低下で、同期間に1.9%からマイナス0.3%まで低下している。すなわち、各事業所での技術革新などを通じたTFP向上の効果はこの30年間で大きく鈍化している。
一方で、00年以降に重要度が増しているのが再配分効果だ。86~00年の再配分効果は0.37%で、全体のTFP上昇率(1.9%)への寄与度は2割程度だった。これに対し、00~15年の再配分効果は0.52%で、全体のTFP上昇率(0.5%)を上回っている。
再配分効果のうち、特にTFP上昇率に寄与しているのは共分散効果(TFP上昇率の高い事業所での生産シェア拡大による効果)だ。86~15年の各期間で、年率平均0.6~0.8%の範囲でTFP上昇率にプラスに貢献している。企業内でTFP上昇率の高い事業所の生産を増加させる一方、生産性の低下する事業所を縮小・退出させることが、企業全体のTFP上昇率の低下の一定の歯止めになっていることが推測される。
こうした結果から、日本の製造業のTFP上昇の源泉が各企業・事業所内のTFP向上から、事業所の生産活動の再編を通じたTFP向上に移行してきていることがわかる。コロナ禍後は、企業にとってデジタル化を進めて事業の再編を進める良いチャンスだ。
次にデジタル化が製造業の国内外での生産体制に与える効果について考える。
前述した通り、企業のデジタル化がコンピューター機器などのハードウエア投資から、クラウドコンピューティングなどのITサービス利用に移行している。
そこで今回の調査では、企業のデジタル化を図る指標として、経済産業省の企業活動基本調査の中の「情報処理・通信費」を用いた。これはコンピューターによる情報処理やデータ通信などの専門部署の情報処理費用と電話、郵便などの通信費の合計金額だ。94~16年の製造業の情報処理・通信費の売上高比率は0.3%前後で推移しており、広告宣伝費とほぼ同じで、研究開発費の半分程度だ。
デジタル化の進展と国内外での生産、調達の関係を分析したところ、企業のデジタル化の進展と、海外関係会社への輸出額および海外関係会社からの輸入額、海外事業所の設立、海外での研究開発で測った生産体制の国際化に、プラスの関係があることが示された。デジタル化を通じた生産管理体制の効率化が国際化を進展させたと推察される。
またデジタル化が進む企業では、生産性の高い事業所の生産が拡大し、逆に生産性の低い事業所の生産が縮小していることを示唆する結果が得られた。
以上の推計結果から、近年デジタル化が進展している企業は、国内外での事業所の生産体制を効率的に再編成することにより、企業全体の生産性を向上させていることが推察される。
企業のデジタル化は、国内外の効率的な生産体制の再編成にプラスに寄与し、経済全体のTFP向上につながる可能性がある。加えてデジタル化が費用の高いIT資産の蓄積からITサービスの利用にシフトしていることで、中小企業にとってデジタル化へのハードルが下がってきている。
しかしながら、依然として日本の中小企業は、デジタル化が大企業に比べ大きく遅れているうえ、国内外の生産体制を再編成するのが容易ではない。中小企業がデジタル化の推進によりイノベーション(技術革新)や生産性向上、分業体制の促進、事業の再編成や転換を活発に進めるため、これらをバックアップする政策が求められるだろう。デジタル化により大企業のみならず、中小企業の生産性が改善されれば、コロナ禍後の成長の条件が整う。
<ポイント>
○若い企業ほどクラウド活用で生産性向上
○生産性高い事業所のシェア拡大が重要に
○デジタル化は生産体制の国際化促す傾向
いぬい・ともひこ 62年生まれ。一橋大博士課程単位取得退学。専門は経済発展論、生産性分析

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