Precious Memoryについて

『Precious Memory』と『Precious Memory -kokoro』

は、本編と補助資料のような関係のものです。
昔、本編では分からない部分をドラマCDであったり、資料集の特典ページであったりで伝えられてたものがありますが、そんなイメージ。

2011年に書いた短編。
幼馴染の二人が、大切に想いあいながら、自分たちの運命が重ならないことを自覚している、切ないお話です。
この話は、大好きなglobeの「Precious Memories」を聴きながら、ふっと、「もう葉の落ちたイチョウなのか白樺なのかの並木を二人で歩くイメージ」が浮かび、そこから一気に広がって書き上げました。
特別なモデルの場所はないので、完全に想像のものです。きっと、どこかで似たような、ゆるく大きいカーブの通りを歩いたことがあるのでしょう。

「歩く速度を合わせる」

というのは、モテる男の要素の一つとよく言われます。「話を聞く」とか「ドアを開ける」とか「車道側を歩く」とか、そんなのと同じですね。
でも、実際は、男は合わせてるつもりでも、女性はヒールで速足をしていたり。相手との間合いというのは、難しいものです。

この二人も、きっと普段はそんななのでしょう。
主人公の男性は、良かれと思って、信号が変わる前に渡っちゃおうと速足になる。でも、女性はそれについていくのに必死で、そんな急がなくても次まで待てばいいじゃない、と思っている。
そんな、小さなすれ違い。
きっと、この二人じゃなくても、同じようなすれ違いでリズムが合わず上手くいかない人たちも多いでしょう。
男は、問題解決のために必死に考えてアドバイスをする。
女は、問題解決なんて興味が無くて、自分の気持ちに共感してほしい。
男女のことは、人類永遠の課題かもしれません。

主人公たち

は、もう一歩深いところで繋がっています。
そんな程度では別れない。強いつながりと想いがあります。
ただ、だからこそ、自分の求めているものと、相手が目指している場所の違いを、どうしようもなく理解してしまっている。
だから、自分の道を進むことが、相手にとっても一番いい。
こうゆうとき、女性は、結構スパッと自分の道を進めます。しかし、男というのは、どうしても「どうにかできないか」と考えてしまう。
でもね。
そんなときに、男っていうのは、初めて一番大切なもの、一番望んでいるものに気付くものです。
そして、往々にして、それはもう手遅れ。女性は、もうその男のことなんて過去の存在と割り切っています。ああ無常。

この話の女性はどうでしょうか。
最後の階段の裏から聞こえる声は、どんなトーンだったのでしょうか。
あなたの中に聞こえた声を教えてほしいです。

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