こんな人が書いています


 「バッハといえば●●先生」と職場では言われているとかいないとか。
 嬉しいですね。何か滲み出る何かがあるのでしょう。
 関東でピアノの講師をしており、バッハが好き過ぎて節目節目にバッハばかり弾いております。
 職業柄、ステージに立つことがあるのですが、「え?また平均律なの、あのおばさん」って言われてそう。
 門下の発表会、学生さんたちはみんな受験曲や試験曲の難しい大曲を披露する中、「平均律を3曲」ってのをやって、「マジですか笑」って言われたこともあります。
 ちなみに門下、最古参なのでもう遠慮が限りなくなくなってきている(せんせいごめんなさい)。
 平均律とは平均律クラヴィーア曲集ですが、まあ……あまり、発表会とか「ここぞ!」というときに演奏される曲ではないのかもしれない。
 平均律3曲弾くなら、組曲抜粋でも良くない?あとトッカータとフーガ的な長めの曲もあるし、半音階のやつとかありますし。
 いやしかし、そこまでの体力がなかった時期があり、「先生!平均律なら弾けそうです!」って震えながら進言して、1曲じゃ少ない、2曲でももう一声、なら3曲ギリだなってことでそうなったんですけれど。
 でも、弾いててこの曲集の奥深さに気づいて、それ以来、何かあるたびに「平均律3曲」をやっている私。
 3曲って書いてますが、もちろんプレリュードフーガの1曲なので、譜読み的には軽いソナタ一曲くらいのボリュームにはなっているのではと気づいたのは、発表会直前でしたね。

 さて、そんなバッハの曲が大好きな私。
 生徒のなかに、インヴェンションからシンフォニアに進む生徒がいて、その度に解説書やアナリーゼ、私が使っていた楽譜を読み直して指導しています。
 何度弾いてもベートーヴェンのような「こうである!」という感覚に陥らないのが不思議。
 ベートーヴェンだとかモーツァルトにはやはり(良いのか悪いかはここではスルーしますが)、こうすべき演奏法ってのがあって。そこにハマる方が綺麗に聞こえるっていうこともあるんですよね。
 …なのですが。バッハって、そういうのがあまりない気がしています。
 確かに、定石としたい演奏はあるのだけど、それはテーマのフレージングを考えると「それだよね」っていうのがあるので。
 それで、まあ、シンフォニアまでって弾いている人口も解説書や楽譜の版も多いので、それなりにいろんな解釈ありなのね、って感覚で弾けることも。

 そしてここから本題です。
 「平均律クラヴィーア曲集って、あまりそういうの、なくない…?」って思ったんです。
 平均律の楽譜、何使ってた?って聞いたら、たぶんヘンレか全音くらいで固まるんじゃないかな。解説書も、市田義一郎先生のものくらいでは。(私が探すのが浅いのでもっとあるとは思います)
 でもたぶんシンフォニア界隈に比べたら、ぐんと数が減ると思います。
 そのため、平均律をいざ指導しようとか自分で弾こうと思った時に、すごく悩みながら譜読みをするという現象が起きている気がするんですよね。
 平均律に進めるということは、そこまで頑張ったとても素晴らしいことですよね。まずはそこ。
 なのに、なんだか、「シンフォニアやってきたんでしょ?パルティータもかじった?大丈夫だねー」みたいに、はしご外された感しない?
 私はちょっとあった…んですよね。
 平均律って、ピアノは音大の入試には必ず弾かなければならないこともあって、そこでさらに悩んだ経験もありました。
 ベートーヴェンもショパンも「ここをこうして、こう!」とか、曲の題名もあって感覚を投影しやすかったんですけど、バッハについては「これで…合ってる?」みたいな感じで。
 私は高校でマタイ受難曲を試験勉強のお供にしていたくらいのバッハ大好き人間だったので、「粗末には弾けん」ってすごく悩んだ記憶があります。

 そして、音大時代にも悩みながら平均律と向かい、そこでバッハについていろんな講義も取って、ようやく、ようやく、なんとなく「こういうことかもなあ」って思えるようになったのが、最近。 音大卒業して、講師として12年目です。それでもまだ迷う。
 そんなこともあり、結婚出産育児もぼちぼち落ち着いてきて時間もできるようになったので、「ここら辺で平均律を見直してみるかあ」となった次第です。

 長くてすみません。

 私は作曲専攻でもバッハをものすごく研究したとか、そういう経歴は全くなくて、専門的な知識は少ないと思います…特に、アナリーゼ的なものは。対位法とか。
 それらはたぶんもっと専門書が出ていると思うので探してみてください。良さそうだったら教えて欲しい。

 ここではあくまで、一応音大のピアノ科は出ていて、バッハが人よりは好きで、まあまあ平均律は弾いて来た人が書いてる、って感覚で読んでいただければ幸いです。
 
 

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