平均律クラヴィーア曲集第一巻 第1番ハ長調 BWV 846

 プレリュードは平均律クラヴィーア曲集(以下、平均律)の中でも特に有名ですね。
グノーによる“アヴェ・マリア”は、このプレリュードを伴奏として用いた作品です。

曲について

プレリュード、フーガともに四分の四拍子。
ハ長調で始まるのは平均律の2巻も、インヴェンションもシンフォニアも同じです。
どの曲も各曲集の幕開けに相応しい、朗らかで明るい曲になっています。

1巻の1番といえばこのプレリュード。ギターで爪弾くような、シンプルにハーモニーを響かせる曲です。
逆に、1番のフーガはあまり知名度が高くない気がします。この曲を弾いたことがある人は別として、単曲で有名なのはやはりプレリュード…な気がします。

曲の難易度

プレリュード…★
フーガ…★★★

プレリュードは単体で初級者向けの本にもありますね。
フーガは少し複雑です。★3〜3.5くらいな感じで。

演奏について


プレリュードは一番下の音の響きの中にその先の上4声が含まれている、というイメージで…。
2対3にならないように気をつけます。
美しいハーモニーに身を委ねて、シリアスな部分や明るく解決したところを印象付けます。

フーガは4声で、難易度が少し上がります。
テーマは分かりやすいのですが、中盤、複雑に絡み合うところが難しいところ。
テーマのアーティキュレーションも私は悩むポイントで、全てレガートにしてしまうか、8部音符のみノンレガートで弾くか…等で表情が変わりますね。

他の記事でも書きましたが、ハ長調は「日常」。
おはよう、と人が挨拶をして1日を過ごすそんなイメージで弾いています。幕開けの1番ですが、ページ数的にもすごく壮大な曲というわけでは無いので、シンプルに考えてOKかなーと。
a:で一旦終止してすぐに次のテーマも主調のC:で始まるので、なんとなくここから第二部のような感じ。
そこからまあ、畳み掛けるようにテーマがあちこちに出現するんですが、ここが一番弾きたいのに弾きにくいところです(バッハあるある)。
しかも一拍空けずに入ってきたりする。匂わせたりしながら、思ってたところと違うところからひょっこり顔を出すテーマ…。
混沌とするフーガの中盤は、人同士の喧嘩だとかいさかい、自分の脳内の混乱…という感じで弾いています笑

雑談


私がこの曲と出会ったのは小学生くらいの頃かなと記憶しています。
当時はまだ電子ピアノで練習していたのですが、自動演奏機能というのがあり、その何番目かに入っていたのがこのフーガでした。
どこかのドを押すと、ドレミファーソファミ〜…って流れ出すので、何か面白くてテーマを覚えてしまったわけです。
テーマをテーマだと知らない歳で、でも何回も音を変えて出てくるメロディーが不思議で面白くて。
自動演奏に合わせて、テーマだけを弾くということをやっていたんですよね…。ゲームのように。
当時ほんとに何も知らなくて。知らずにやっていたことが、まさかこんな形で…ねぇ笑
しかし、楽譜を読まずに遊んでいたため、このフーガが休符から始まるのにびっくりしたりしなかったり…。

思い出の曲です。
ぜひ、恐れずにフーガに挑戦してほしい。
プレリュードが穏やかに終わって、このフーガが始まる輝かしさと素晴らしさといったらないんですよ〜。
テーマだけ追いかけるのも楽しいです、きっと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?