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151:「ページをめくる」といえば…

「ページをめくる」といえば,伊東友子・時里充《めくる映像_実験01》2017をすぐに思い出す.この映像を見ていると,ページという平面の集積が本という立体をつくっていることを嫌というほど思い知らされる.俯瞰の固定カメラで撮影された映像は,ページをめくるという行為を普通に行っているだけでは,本という立体を意識させないが,ページに書かれた指示によって,本を回転させたり,ことさらゆっくりページをめくったりするときに,本が立体であることが明確に示される.

めくるという行為自体は,平面を次々に変えていく行為なのかもしれないが,めくるという行為の「途中」があって,そのときのページは本という立体の一部を形成していることを示す.淡々とめくる行為が示される《めくる映像_実験01》は,めくる行為の途中も意識せざる得ないから,本という立体が強く意識されるのかもしれない.

そして,俯瞰で撮られた映像は,背景がピンク一色ということもあって,とても平面的である.平面の上にページという平面が置かれて,めくるという行為の集積が本という立体を立ち上げる.背景がピンクの面とページの面という二つの平面の重なりでありつつ,めくる行為が立ち上げる本とめくる行為を行う手とが二つの平面の重なりとカメラとのあいだの空間の存在を際立たせて,映像そのものの「最前面」とでも言えるような架空の平面をつくっているような気がする.


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