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144:《景体》はヒトの認識に圧力をかける

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「景色」をひとつのサーフェイスだと考える.景色のサーフェイスは,モノの集合体のバルクにヒトの認識が「汚れ層」や「酸化層」のようにモノの集合体のなかに入り込んでできた薄い層だと言えるだろう.普段,景色を見るときには,景色のサーフェイスしかヒトは認識できないというか,ヒトの認識がモノの集合体に入り込める薄いサーフェイスが「景色」と呼ばれるのであって,その奥にあるモノの集合体のバルクに,ヒトがたどり着くことはありえない.

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目の《景体》は,ヒトと景色とモノとに圧力をかけて,ヒトの認識が景色のサーフェイスの奥のモノの集合体のバルクに到達するようしている.目によって与えられる適切な圧力のもと,ヒトの認識は景色のサーフェイスをかき混ぜつつ,奥に進んでいき,最終的にバルクへと到達する.《景体》はヒトの認識に圧力をかけるために,海の景色を構成する景色のサーフェイスと物体の集合体のバルクとのあいだを疑似的に接合した物体になっている.

摩擦攪拌接合 継手形式

《景体》を見る者は黒いうねりの海の物体を見ながら,摩擦攪拌接合で可能な「T継手」のように景色のサーフェイスの奥にある物体の集合体のバルクをプローブとしてかき混ぜて接合していく.《景体》という物体がヒトの認識に圧力をかけて,このような景色と物体との接合を可能にしている.

参考図版
図1.2:『表面と界面の不思議』,p. 12
図1.6:『摩擦攪拌接合───FSWのすべて』,p. 16


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