FPの復習(贈与税の配偶者控除)

今回はFPの勉強時に結構苦労して覚えた贈与税の復習。
その中でも居住用不動産の贈与の配偶者控除は相続対策に使われる制度なのでしっかり覚えておかないとですね。

要点まとめ

制度概要

・正式名称「夫婦間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

↓↓国税庁URL↓↓

  • 夫婦間で居住用不動産or居住用不動産取得費の贈与があった際、最高2,000万円まで控除を受けられる。

  • 贈与税の基礎控除110万円と併せて2,110万円まで控除可能。


特例を受ける要件

  • 贈与時点で婚姻期間20年以上

  • 居住用不動産or取得費用である事。

  • 贈与を受けた年の翌年3月15日迄に居住の用に供している事。

  • 同じ配偶者からの贈与は一生に一度まで。

  • 贈与税が0円でも確定申告をする事

適用に際しての注意

  • 居住用不動産については「敷地のみ」の贈与でもOK。

  • 同上、「借地権」の贈与でもOK。

  • 土地と建物については一括で贈与しなくてもOK。(部分贈与可能)

  • 店舗併用住宅の場合でも適用可能(詳細は下記)。

対象になる居住用不動産については結構幅広い定義付で許されているのでかなり使いやすい制度となっています。

↓↓対象となる居住用不動産について(国税庁)↓↓


店舗併用住宅の際のポイント

  • 居住用部分の割合が90%以上の不動産の場合は全て「居住用不動産」扱い。

  • 90%以下の場合、「居住用部分」から優先的に贈与を受けたものとしての扱いとなる。


本制度の有効活用の考え方・メリット

生前贈与との関係

一般的な贈与財産については相続開始前3年以内の財産については相続財産としてカウントされると言う考え方になりますが、居住用不動産の配偶者控除を利用した財産部分については3年以内であってもカウントされません。
その為、贈与後直ちに相続開始となってしまった場合でも特例を受ける事が出来るのがメリットです。

現物贈与か金銭での贈与か?

こちらについては「居住用不動産」として贈与した方が税制上有利に働きます。
贈与税の評価上、金銭は額面通り100%で評価される一方、不動産の場合は相続税評価額(土地=路線価(公示約8割)、建物=固定資産税評価額(公示~約7割))での評価となるため評価額を下げる事で少しでも多くの財産を贈与する事が可能となります。

共有にする事で更なる有効活用が可能

配偶者控除の特例を用いて贈与する場合、土地と建物の全部の贈与でなくても適用は可能になります。
土地と建物の一部ずつを配偶者に贈与しておく事で、将来売却する事になった際、夫婦それぞれが「居住用財産の売却益に対する3,000万円の特別控除」を受ける事が可能となり、その場合最大で6,000万円の売却益まで非課税となります。

控除額が単純に倍になるため必要に応じてこういった対策もしておく事が良いのかもしれません。

本制度の注意点

小規模宅地等の特例は使えない

相続税計算時にめちゃくちゃ有利に働くこの制度との併用は出来ない為、こちらの制度と比較するとメリットは少なくなります。

不動産取得税・登録免許税の負担

不動産を「取得」するのと「贈与・相続」する場合では移転コストがかかります。
特に贈与の際は登録免許税の軽減等は無い為、コスト負けする可能性があるので注意が必要です。

まとめ

今回は居住用不動産贈与に係る配偶者控除についてまとめました。
昔の参考書を見直しながら書いていきましたが、正直あまり有効的に活用できる例は少ないんじゃないかなって思います。
そもそも配偶者に相続する際は1億6,000万円の控除があるんですから相続税軽減のメリットは少ないものとなっております。
ただ、途中で書いた通り共有にしておくと売却時にメリットが出る、相続開始3年以内でも適用できる点は活用出来る場合があるので、その際は専門家に相談する事をオススメしてあげるのがFPとしての役割なんじゃないのかなって思いました。

なかなかマニアックな話になってしまいましたが、是非FPの受験生に少しでも役立ってくれるといいですね。

今回はここまで。

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