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世の中は基本「仕事が楽しい」と思ってる人間が動かしてんだから、「仕事は楽しいもの」という前提で動いてるに決まってんじゃん。

私は仕事がめちゃめちゃに嫌いだ。
いや、正確に言うと「別にことさらに興味を持ったわけでもなく人並みに就活した結果就職した会社で自分がやりたいと望んだわけでもないが私のことなんかたいして知らない誰かが決めた配属先で決められた日・決められた時間にデスクについて与えられた仕事をこなし意見を求められたから述べたのに形式的に端から審議する気もなくこれといって昇給昇格などのインセンティブがあるわけでもない仕事」が大嫌いなだけ。
単純に社会とのミスマッチ。こんな私を採用して一定期間お給料をくれてありがとう。でもごめん、さよなら。

なので私には「仕事=楽しくないもの」として強烈にインプットされている。会社員である期間はもれなくサザエさん症候群。ひどいときには月曜日がこわくて土曜の午後から自暴自棄に過ごしてしまうこともよくある。会社爆発しねえかな…とかしばらく体調不良で寝込みたいと思うのも日常茶飯事。それでも視界に入る範囲の大多数の大人はなんじゃかんじゃいいながらも仕事に行く。たぶんそういうものだと思っていた。

しかしたまにいる「お仕事たのしい!」と思っているタイプの人間。そういう人も少なからず愚痴をいったり大変な思いをすることがあるので、その人たちの話を聞いても「みんな大変なんだな~」と思うのだけど、よくよく聞くと私などとは仕事に対する思いのスタート地点が全く違う。話が嚙み合わない。宇宙猫の顔をしながら彼ら彼女らの話を聞く羽目になり、最終的に「自分はなんてダメな人間なんだ。社会不適合者だ。」と思いながら深夜のTwitterにポエムを吐き出すことになるのだ。


 先日、品川駅のディストピア広告が話題になっていた。幸い私はこの時すでに退職済みだったのでなにも感じなかったのだが、こんなものを会社に行きたくなさ過ぎて寝不足なのにそんな自分をなんとかなだめすかして鼓舞して心を無にした通勤中に見てしまったらその場で泣き出して、軽く3日は寝込む自信がある。いやたぶん実際は3日も休むなんて心理コストのかかることはせずにメンタルズタズタにしながら次の日も笑顔で通勤していたのだろうけど。

つまり、あの広告を作った人・掲載に関わった人の多くは少なからず「お仕事」を「楽しい」と感じている人たちで、そんな人たちはあの広告を見てメンタルにひどく影響を受ける人が、たった1日で掲載終了に至るほどの炎上騒動になるほど多いとは思わなかったのだろう。まあ、想定の範囲内の炎上商法なのかもしれないけど。

「今日の仕事は楽しみですか」と問われて、「楽しいです!」とか「まあ楽しいかな?きついこともあるけどね!」と答えられる人はとても環境に恵まれていて幸運なので、どうかそのまま幸せでいてください。「あんまり楽しくないなあ…転職でもしようかな/起業したいな……」と答えられる人も幸せです。自分の人生に責任もって生きていられる。本当に素晴らしい。
問題は「楽しいわけないじゃん。でもどうしろっていうんだよ。」と思っている人が、広告主が思っていたよりもはるかに多かったということかもしれない。

品川駅のあんなところにでかでかと広告を打てるほどの影響力と金を持っている人たちは大衆に「仕事は楽しいか?」と問いかける程度には「仕事を楽しいもの」と認識している。世の中を動かしている人たちの多くは「仕事は楽しいもの」ととらえている。つまり、マクロでみると「仕事は楽しいもの」なのだ。

だけど、この社会にはうんざりするほどたくさんの労働問題がゴロゴロしている。パワハラセクハラコンプラ違反派遣非正規…枚挙に暇がない。こんな問題の当事者からしたら「お仕事は楽しいもの」など言えるはずもない。
そうでなくても、「仕事は生活のためのもの。それ以上でも以下でもない。」と思っている人が大半なのではないかと思うのです。

「仕事は楽しいもの」という社会で「仕事は楽しくない」という人間は少数派で、仕事が(会社が)嫌いすぎてそれを辞めた人間は異端ですらある。そんな空気を感じる。少し前までは自分も凡人たる自分は会社員でないと生きてはいけないだろうと思っていた時期もあったのだけど。意外とそうでもない。今はなんかそれなりに楽しいし、無限の可能性を感じる。今なら「仕事は楽しい」と思える。

「仕事は楽しくない」人が欲しいものは選択肢とセーフティネット。その仕事楽しくないなら辞めちゃえば?という選択がもっともっと軽くできればいいと思うし、年齢や立場関係なく楽しいと思えること・やりたいことを探したり学んだりするという選択肢も大きくなってほしい。そもそもその仕事の何が楽しくないのか、業務内容なのか人間関係なのかシステムなのかルールなのか、どうすれば楽しく働けるのかを考えて自分たちでもっといい環境を目指せるのもいい。少々失敗しても大丈夫だと思える社会になればいいのにと本当に思う。

仕事は楽しくないと思う人間が多いよりも、仕事は楽しいですと言える人間が多い社会の方が生きる環境として生きやすいと思う。人間はどう頑張っても広い意味で働かずに生きていくのは不可能だから。

世の中を動かす影響力を持っている「仕事は楽しい」人たちは「仕事が楽しいか」と問いかけるだけでなく、だれもが「今日の仕事は楽しみです」と言えるような社会になるように世の中を動かしていって欲しい。仕事を楽しくしたい人は、現状の何が楽しくないのか・楽しくするために何をしたらいいのかを考えアクションをおこしてほしいし、仕事は楽しい人は何かを考えて行動している人を批判したり邪魔したりしないでほしいし、できることなら手助けしてほしい。
「仕事=きつくて当然。楽しさを求める必要はない」という価値観は早く滅びてほしい。仕事は楽しいしやりがいあるしお金ももらえて毎日ハッピー!な未来が来ることを願っています。

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