哀れな人間-デスノート THE MUSICAL

大千秋楽を終えたら投稿しようと思っていたら、コロナの影響で大阪と博多の公演が中止となってしまいました。
キャスト、スタッフのみならずファンの皆様の悲しみを思うと言葉になりません。

記憶も朧気なのが正直なところですが、東京公演の感想をつらつらと書きました。
個人の感想なので御容赦を。

1/26(日)12:30 デスノート THE MUSICAL

1月、デスミュをを観てきました。
ミュージカルが好きと言いながらこれが初のデスミュ。評判は耳にしていたんだけど、スケジュールが合わず……今に至る。
見ておけば良かったなと新生デスミュ観劇後に心底思いました。新生デスミュが悪かったからとかではなく、日本版のオリジナルを観ておきたかったな。
あと歌でぶん殴られたかった。

元々感想などはTwitterで良いことだけを呟いて、不満は友人に聞いてもらうというスタンスだったんですが、忌憚のない感想……というと大袈裟なので、忘備録が欲しくてnoteを作りました。
とはいえ、初演再演を見ていない原作ファン及びキャストファンですので、前作までとの比較は出来ません。
そういった人間の感想と捉えて頂けましたら幸いです。

夜神月と死神リュークの物語

新生デスミュを見て先ず思ったのは、「これ、月とリュークの話だな……?」ということ。
いやまあ原作も勿論そうなんですけど、主軸はそこだったっけ?という……
そう感じてしまうのは、死神リュークを演じていらっしゃる横田さんの存在感があまりにも大きいからかもしれない。
不気味だけれどどこか愛らしく感じるリュークを見事に演じてくださった。リュークにふふっと笑ってしまうシーンも多いのでは。
いやだって、冒頭の登場シーンはもちろん、いちいちリュークの動きが気になって見てしまったんですよ。もちろんいい意味で。
そうだよなー、リュークってそうなんだよな!見た目怖いんだけど可愛いんだよ!怖いんだけど!怖いよ!(大事なことなので以下略)
横田さんのリューク大好きです。

リュークと過ごす夜神月はダブルキャストで、私が見に行ったのは村井さんの回。
誤解を恐れずに言うならば、原作の夜神月らしくない夜神月でしたね。
どこにでもいる現代の夜神月として新たに構築されたキャラクターと捉えました。
原作のようなカリスマ性はそこまで感じられず、天才と言うより秀才タイプに見えた。
浦井さん、柿澤さんの月を拝見したことがないので感想などを読んでの印象になってしまうけど、おふたりとは別のアプローチをしているみたいですね。
新しい解釈をオールキャス変した今打ち出すの、すごい勇気なんじゃないだろうか。だって、作品ファンにとってはキャス変って不安しかないわけで。そんな時に真新しい解釈で演じるってすごい勇気だなと。
原作ファンとして、村井さんの解釈も私は好きです。原作の月かと問われたら正直首を傾げてしまうけど、デスミュの月なんだ、と思っている。
欲を言うなら髪を明るくして欲しかったかも(笑)
村井さんの黒髪が好きなんだけど、月は明るい髪がいい……ミサも黒髪だし、そういうオーダーなのかな。
村井月と横田リュークのやり取りは空気感がマッチしているからか、見ていてとても楽しかったし、緊迫したシーンではヒリヒリした。相性がいいのかも。ストレートの舞台でふたりがガッツリ絡む作品見てみたい(デスミュの話をしろ)

ていうかですよ。
LINEスタンプになるくらい「目が死んでる」がネタにされている村井さんの目、ハイライトを操れるのか?というくらい澱んでいく様がわかった。
死んでいる訳ではなくて、生気がない訳でもなくて、ただただ深淵を覗いて澱んでいった。
どういう技術なの……?照明当たってますよね?
澱みつつも目力は健在なので、そういう技なのかもしれない。どんな技だよ。

レイ・ペンバーはデスミュにはいないけれど、一幕終盤の新宿駅でのシーンが該当しますよね。
一線を超えてしまった月の表情が、教室で正義とは何かと論じていた月ではなくなっていた。顔を半分隠すフードが良い効果になってました。好きなシーンです。

終盤はもう、月とリュークのためのシナリオだったなと思わせるほど、お二人の力を感じた。
のたうち回って涎を垂らし、惨めに死んでいく月と、つまらなそうに見下ろすリュークの構図に、「デスノートだ……」って思わされた。
死ぬ直前に「僕の勝ちだ!!!ヒャハハハ!」って笑っていた人と思えないほど惨めで悲しい死に様。
原作も映画も(アニメとドラマは未視聴です)因果応報の死だったし、デスミュもそうなんだけど、月がどこにでもいる普通の頭のいい青年(そんな男が東大入試満点なのも末恐ろしい)だったからこそ、悲しいな、と思ってしまった。

デスノートを拾わなければ、妹に慕われ、父の背中を見て、幸せな人生を送れただろうに。

死神の退屈しのぎに付き合わされた、哀れな人間。

私が見たデスミュはそんな物語でした。

Lという存在

月とは異なりシングルキャストのL。
浅学で申し訳ないんですが、高橋さんのことはキャスティング発表まで知らなかった。発表されて経歴を知ったくらい。
アーティスト活動をされているので、歌はミュージカルというよりポップス寄りかな。(村井さんも芝居よりの歌なので、聞かせるタイプの歌唱では無いけど……)
Lのもつ得体の知れなさを感じさせる高橋L。
ただ、

何故キラを許さないのか。
月に対する友情を何故感じるのか。


Lは元々感情や思考が分かりにくいキャラクターだけど、高橋Lが求めるものがあまり伝わってこなかった。
技量の差とかではなく、なんだろうな、熱量の差かな。Lと月が同じ立ち位置にいるように見えなかったのが少し残念。
「僕は君で君は僕」みたいな関係が月とLだと思ってるので、もう少しパワーバランスが良ければなあと思わずにいられなかった。
もうひとりの月、甲斐くんだとその辺ちょうど良くなるのかな?
公演後半になるにつれてどんどん良くなったと聞いたので、めちゃくちゃ見たかった!過去の私のバカ!と己を罵りました。スケジュール調整が下手。

ヒロインは誰なのか

デスノートにはミサミサというヒロイン(?)がいるわけだけど、デスミュでは粧裕がヒロインなのか?と錯覚した。
それが顕著だったのが「私のヒーロー」の時。
理想の人は兄(月)だと歌う粧裕と、姿の見えぬ憧れの「キラ」を思うミサ。
この時月は粧裕の隣にいて、彼女の理想と現実の自分との乖離からか表情がとても硬い。
何故だか物凄く悲しくなって、見ている私が泣けてしまった。月ってこんなに悲しい子だったっけ……。
ミサと粧裕の中の月(キラ)を対比しているんだと思うんだけど、粧裕といる時の月があまりにも痛ましくて。良い兄だったんだろうなあ……。
ミサから月への矢印は原作通りなんだけど、粧裕の兄への想いを強く感じてしまったので、ヒロインは粧裕だった……?みたいな気持ちに。
ラストの粧裕の涙もぐっときた。ひらりちゃんとても良かったです。

レムの愛

レムはミサのことを本当に愛してた。
原作ももちろんミサの為に動いているんだけど、ミュだとより顕著というか。
だからこそ「愚かな愛」がめちゃくちゃ響く。
パク・ヘナさんの歌はもちろん素晴らしかったんだけど、きっと韓国のステージで聞いた方が刺さるんだろうなと思った。ストレートに伝わってくるかも。
レムの強い愛がミサにあるからこそ、月と対峙するシーンがないことに驚いた。
月とレムとの心理戦は!?
命を賭けてミサを救う決意をするレムはどこに!?
元々ないのかと思ったら今回の新生デスミュになった際カットされたそうで……えーー!?!?
コンパクトにしたかったのかもしれないけどここはカットしなかくてもよくない??
私は原作読んでいるので「見えないところで月VSレムがあったんだろうな」とわかるけど、知らない方はわからなくない?
大河ドラマにおけるナレ死じゃん……と思ったのはここだけの話……(言ってる)
見たかったなーー!「愚かな愛」で許されない死神レムの愛が完成して、己の死とともに昇華するシーンでは無いですか……。
またデスミュが上演される日がきたならば、ぜひ復活させて欲しいです。

終わりに

もっと見ておけばよかったなあというのが素直な感想です。
序盤に見ているので、公演を重ねて深みを増していくデスミュを見たかった。
そう思わせてくれたのは他ならぬキャスト・スタッフの皆様なので、この場をお借りして御礼申し上げます。

先日更新された村井さんブログの言葉が沁みたので、ここに記させてください。

ウイルスにエンターテインメントを取られてたまるか。負けません。絶対に負けません。
出典:デスノート THE MUSICAL   大阪公演、博多公演に関しまして。 : 村井良大ブログ

負けないで欲しい。
私も自分でに出来ることをしながら、事態の終息を待ちたいと思います。

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