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ハマスカ放送部 耳を澄ませば聞こえる面白さ

今日はドラマからは離れてテレビ朝日のバラエティ番組「ハマスカ放送部」について

この番組は、テレビ朝日の深夜帯「バラバラ大作戦」の1つとして木曜深夜2時16分から放送されている番組である。始まってからまだ放送が二回と若い番組だが、SNSでの反応をみると面白い派と面白くない派がどちらも割と一定数いる印象がある。その理由は何だろうか。

「ハマスカ放送部」は、「OKAMOTO'S」のベーシストであるハマ・オカモトと、アイドルグループ「乃木坂46」のメンバーでドラムができる齋藤飛鳥の二人による、音楽をテーマにしたトークバラエティである。日本トップレベルの実力と人気を誇るベーシストと、坂道人気を牽引しながらもどこか影のある異質なアイドル(ドラマー)の二人の組み合わせは、放送前からワクワクするものがあったが、なによりも「ドラマー」と「ベーシスト」の「リズム隊」の組み合わせにワクワクした方も少なくはないのではないだろうか。普段注目を浴びず、ミーハーな音楽ファンには「ベーシストって何してるかよくわかんなーい」なんて言われるような、いわゆるバンドの脇役にスポットが当たったことは、高校時代にすこしベースをかじった私としては嬉しい出来事だった。

しかし、それは同時に視聴者の「つまらない」という感覚を生むことにも繋がってしまったようにも思う。番組はいわば「メイン不在」。齋藤飛鳥はまだ様子見の8ビートで、ハマ・オカモト持ち前のベースに負けず劣らずのトークスキルでなんとかセッションになりそうな雰囲気はあるものの、まだ単調だ。また、それを引っ張る番組のコーナーも音楽好きと大衆の間の中途半端な位置づけで、同局の「○ステ」のようなワイドさも、「タ○リ倶楽部」のようなディープさも足りてない印象を受ける。

秘めたるポテンシャルを持ち、「バイプレイヤーズ」のような「脇役が主役」のような立ち回りができる二人だからこそ、過度に期待はしてしまう。個人的には、なんだか熱のない掛け合いがもどかしく感じてしまうシーンも何度かあった。

しかし、まだその期待を捨てるにはちょっと早すぎるのではないかとも思う。一流芸人なら、一流のジャズミュージシャンのように出会ってすぐに上質なトークセッションをお届けできるかも知れないが、バンドマンとアイドルではそんなに上手くはいかない。時間をかけて、プレースタイルやクセを掴んでいく必要がある。実は企画の内容がまだまだ浅いのも、そんな二人を見計らってかも知れない。企画に向けて意気投合したり、ぶつかり合ったり。そんな瞬間の数々は、グルーブのような気持ちよさを伴っていて、その回数が増えれば増えるほど面白くなる予感はする。

また、ベースもドラムもいわば「玄人好み」の楽器。曲のなかでのそれぞれの役割が理解できないと楽しめない楽器であるため、耳が慣れるまでには時間がかかる。2人のトークに対しても、音楽を聴くときのように、時間をかけて二人のセッションにもっと耳を傾ければ、番組ならではの楽しみ方も見えてくるはずである。(もしかしたらデカいスピーカーで聴いたりヘッドホンをつけて聴いたりすると印象も変わるかもしれない。)

普段注目を浴びるようなギターやボーカルではなく、ベースとドラムの脇役で芸能界の真ん中に駆け寄る2人のセッションで、木曜2時台を席巻してほしい。

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