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MCS(Management Control System) とは

これは何?

本記事では Management Control System (以下、MCS) についてまとめます。
というのも、最近『経営管理システムをデザインする(飛田努)』という書籍を読んでいるのですが、そこで書かれている MCS の捉え方が非常にしっくりきたので、これについて紹介したいと思います。
(注:書籍内では中小企業の MCS のみ言及されているので、本記事でも中小企業を想定して書きます。)

簡単に MCS の説明

MCS の定義は書籍によって様々ですが、ざっくり言えば「企業経営をより良くするために、組織に取り入れられる管理手法をまとめた全体としてのシステム」を指しています。
具体的には、予算管理や人事制度、目標管理制度、中長期計画など、主に管理会計の文脈で語られることの多い仕組みを、これらを実施している企業に適合する形でシステム化したものだと言えます。

『経営管理システムをデザインする』 での MCS

『経営管理システムをデザインする』では中小企業における MCS を、以下の2つを調整するものとして捉えています。

1. 思考と現実のズレ
2. 組織階層間にある認識ギャップ

経営者は日頃から、事業について考えています。事業の将来性やそれを取り巻く企業外部の要因とについて思考します。そうした思考の結果が、現実という結果として出てきます。この思考と現実とのギャップを調整する役割が、1つ目です。
また経営者は、企業内部のことについても対処しなければなりません。企業内部における。経営者と組織成員との認識のズレに対応する役割が、2つ目です。

MCS はデザインの対象

この書籍では、一貫して「デザイン」をテーマに中小企業の MCS について論じられています。そのため MCS は「デザインする対象」として書かれている箇所が多くあります。

この点が個人的にはとても面白かったです。書籍内では「デザイン」について、かなりの紙面を割いて検討されています。経営者が MCS をデザインすることについて広く論じられているので、特定のツールに限ったことではないのですが、いちエンジニアとしてはソフトウェアを意識してしまいますね。

経営者が MCS をデザインする場合は、組織成員がそれをどう見るかを考えることが大きな割合を占めます。
この MCS がソフトウェアになると、その開発者は、経営者が組織成員に情報をどう見せたいのかを間接的に考える必要があります。
業務システムのソフトウェアを開発するときは、この間接的な視点が入ることが多いので、ユーザ視点で考えるということが難しくなりがちです。
会計ソフトのエンジニアとして、この書籍の視点は非常に含蓄があるものでした。

おわり

今回は『経営管理システムをデザインする(飛田努)』という書籍と、MCS について紹介しました。
今後も企業会計に関して調べたことや、面白いと思ったことを記事にしていきたいと思います。

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