鈴木誠也(広島)、6試合連続ホームラン!/王貞治、バースの偉業に王手

広島カープの鈴木誠也が、NPB史上3人目の大記録に王手を懸けた。

9月9日、本拠地マツダスタジアムでの中日戦、1回の第1打席に、中日先発の勝野と対戦、ライトスタンドへ27号2ランホームランを放った。

これで、鈴木誠也は9月3日の巨人戦(東京ドーム)の第4打席で今季20号ホームランを放ってから、6試合連続でのアーチとなった。

NPBで6試合以上で連続ホームランを放ったのは史上16人目だが、広島カープでは、1987年のランス(リック・ランセロッティ)、2005年の新井貴浩に次いで3人目である。

そして、鈴木誠也は、王貞治(読売ジャイアンツ)とランディ・バース(阪神タイガース)が持つ、7試合連続本塁打のNPB記録にあと1試合と迫った。

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鈴木誠也はここ6試合で、24打数15安打、8本塁打、3四球、打率.625。
しかも、5試合連続で第1打席にホームランを放っている。さらに、この13試合で、46打数22安打、12本塁打、打率.478と驚異的な打棒を見せている。

今日9月10日、地元マツダスタジアムでの阪神戦で偉業達成を目指す。
阪神の先発は西勇輝。西も自身のNPB通算100勝を懸けて先発マウンドに上がる。
鈴木誠也と西勇輝は今季、14打席の対戦で、12打数3安打、1本塁打、二塁打2本、打率.250であるが、昨季2020年は19打席の対戦で、14打数6安打、2本塁打、打率.429とよく打っている。

王貞治

王貞治は32歳で迎えた1972年のシーズン、9月11日の広島カープ戦(後楽園球場)、8回の第4打席に、広島の3番手、宮本洋二郎からダメ押しとなる34号ソロホームランを放った。ここから毎試合、ホームランを打ち続けた。

9月20日、甲子園での阪神戦、阪神の先発は36歳の村山実。タイガースを支えてきたエースであり、1970年から監督兼任だが、このシーズンは4月途中から金田正泰ヘッドコーチに指揮を任せ、実質、投手専任だった。
にもかかわらず、この試合まで、村山の成績は、先発とリリーフ兼務で4勝4敗。通算222勝を挙げてきたエースにも「引退」が囁かれるようになった。
この日は村山が先発することがあらかじめ発表されており、試合前、甲子園に「ピッチャー村山」というアナウンスがされると、場内からはタイガースファンから大きな歓声が沸き上がった。
王は「3番・ファースト」で先発出場したが、このシーズン、村山との対戦では7打数ノーヒットと苦手にしていた。
初回、2死走者なしの場面で、王と村山の最初の対決となった。
だが、勝負はあっけなかった。村山の投じたフォークボールを、王のバットは一閃、捕えた。この瞬間、王は前人未到の7試合連続ホームランを記録した。

通算222勝、そのうち巨人戦から39勝を挙げた村山は己の限界を悟った。
ウィニングショットのフォークボールが落ちない。
5回1死満塁のピンチを迎え、王の第3打席目が廻った。だが、村山は監督代行の金田に自ら交代を申し出ていた。

翌日、王は前人未到の8試合連続ホームランを懸けて、甲子園での阪神戦に臨んだ。
この日の先発は、右の平山英雄。プロ6年目、23歳で、この年、ここまで6勝と飛躍しつつあった。
1966年のドラフト同期はともに高卒の江夏豊。1位が江夏豊で、2位が平山英雄であったが、評価は平山のほうが上だったという。
実際、平山の一軍デビューは江夏よりも早かった。
初回、カウント2-1から平山英雄が投じたシュートを、王は捕えた。打球は右翼へ。高々と舞い上がったが、伸びずに阪神のライト、ウイリー・カークランドがキャッチした。3試合連続となる初回アーチは見られなかった。

平山は王の第2打席もファーストゴロに抑えた。第3打席目、王は平山を捕えたが、打球は上がらず、ライト前ヒットに。
平山は5回まで巨人打線を無失点に抑えた。
そして、0-2と巨人が2点ビハインドで迎えた8回一死、王の第4打席を迎えたところで、阪神ベンチは、3人目の投手として江夏豊をマウンドに送った。
結果は、ファーストへのファウルフライ。一塁を守る和田徹のミットに収まった。前日、王にタイムリーを浴びた江夏はリベンジを果たした。
阪神はその裏、2点を追加し、最終回の巨人の攻撃は、江夏が最後の打者、阿野鉱二を抑えると、王に再び打席が廻ることはなかった。

王の大記録を阻止した平山だったが、不思議なことにそれから勝利に恵まれなくなった。翌年は登板数が7試合に激減、その翌年は一軍での登板がゼロとなり、1975年にロッテに移籍。そのまま、一軍登板のないまま、26歳で現役引退した。つまり、平山英雄にとってこの巨人戦での勝利が現役最後の勝利だったのである。

一方、村山は10月7日、甲子園での巨人戦に先発し、対巨人戦、40勝目を懸けたマウンドに上った。
だが、村山が再起を秘めた思いは、初回で打ち砕かれた。王に先制の46号2ランホームランを浴びると、続く4番・長嶋茂雄にも26号ソロホームランを食らった。
村山は3回を投げ、被安打6、5失点でマウンドを降りた。
これが村山にとって、プロ509試合目、そして最後の登板となった。
巨人は、この試合、5-1で勝利すると、リーグ8連覇を決めたのである。



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