西武・高橋光成、「開幕から8連敗」の原因は

埼玉西武ライオンズの高橋光成が藻掻き苦しんでいる。
6月23日、京セラドーム大阪での対オリックス・バファローズ戦に今季10度目の先発登板をしたが、3回、64球を投げて被安打1、四死球5、2失点という内容でマウンドを降りた。
試合は1-4で西武が敗れ、高橋光成は今季、勝ち星なしの8敗となった。




高橋光成の今季10試合登板中の援護点は9点、7試合で援護点ゼロ

高橋光成は今季、10試合に登板、すべて先発で、クオリティスタート(6回以上、自責点3以下)は3回。
特に、4月12日の対楽天戦、4月29日の対ソフトバンク戦は7回を投げて、1失点、2失点(自責点1)であり、先発投手としての責務は果たしていたが、5月31日の対巨人戦以降の4試合では6回を投げ切れていなかった。

しかしながら、高橋光成の開幕から8連敗は、高橋光成自身の責任だけとは言い切れない。

いかんせん、今季の西武は得点力不足に悩んでおり、高橋光成が先発した10試合で、西武打線が先制点を挙げたのは5月24日の対オリックス戦の1度だけ。

それどころか、高橋光成が登板中、西武打線が援護点を挙げたのは4月29日の対ソフトバンク戦(援護点4点)、5月14日の対日本ハム戦(同1点)、5月24日の対オリックス戦(同4点)の3度だけで、合計9点のみであった。

4月29日、対ソフトバンク戦(みずほPayPayドーム)は高橋光成が7回まで2失点(自責点1)に抑え、9回表まで4-2とリードしていたが、9回裏にクローザーのアブレイユが柳田悠岐に逆転3ランを浴び、今季初勝利が消えた。

5月24日の対オリックス戦(ベルーナドーム)では、初回に1点、2回に2点と3点のリードをもらったが、その直後、3回表に3者連続四球と崩れ、一挙4点を失い、そのまま敗れた。

高橋光成、「開幕から8連敗」はチームワースト記録を更新

こうして波に乗れないうちに、高橋光成は今季開幕からの連敗を「8」にまで伸ばし、西武の投手としては前身も含め、1964年の安藤敏雄、1972年の高橋明の7連敗を超え、球団ワースト記録となった。

試合後、渡辺久信監督代行は、高橋光成の登録抹消を示唆した。


試合後、渡辺監督代行兼GMは今季10先発で未勝利のエースについて
「1勝もできていない焦りもあるし、ゾーンで勝負できない投手は厳しい」と出場選手登録の抹消を決断した。

前橋育英時代、2年生エースで、夏の甲子園全国制覇

高橋光成は群馬・前橋育英高校では2年生ながらエースとして、2013年夏の第95回甲子園大会への同校初の出場に導いた。
高橋光成は準決勝まで5試合すべてに先発登板し、4試合で完投、しかも41イニングを無失点で抑えた。
前橋育英の初出場での全国制覇と、甲子園史上3人目となる「防御率0.00での優勝投手」も懸けて、決勝戦でも先発した高橋光成は、延岡学園(宮崎)に3失点(自責点2)したものの、最後まで投げ切り、前橋育英は群馬勢では14年ぶりの全国制覇を成し遂げた。
3年生では甲子園出場を逃したものの、2014年のドラフト会議で埼玉西武ライオンズから1位指名を受け、入団した。

高卒2年目で先発ローテーション入り、9年で二桁勝利4度

高橋光成は高卒プロ2年目で早くも先発ローテーション入りすると、入団5年目の2019年には初の二桁勝利をマーク。
以降、大きな離脱もなく、5年連続で先発ローテーションを守っており、2021年から3年連続で二桁勝利、2023年は防御率2.21は山本由伸に次いでパ・リーグ2位という成績であった。
今季は5月24日の対オリックス戦で、NPB史上369人目となる通算1000投球回に到達した。

高橋光成、過去5シーズンの累積投球数はパ・リーグでトップ、今季不調は登板過多も遠因か


パ・リーグ過去5シーズンを振り返って、公式戦での累積投球数を見ると、
山本由伸と高橋光成が2度づつトップを占めている。
特に1シーズン2000球以上を5年、続けた先発投手は、高橋光成しかおらず、しかも、高橋光成はリーグトップとなる12366球を投げている。

高橋光成に次いで2位の山本由伸は、昨季オフ、ポスティングでMLBのロサンゼルス・ドジャースに移籍したが、今季14試合目の登板となった、6月16日の登板で早期に降板、後日、右肩の腱板損傷であることが判明しており、長期離脱は避けられない様相だ。

高橋光成の不調も、これまでの登板過多と無関係とは言い切れない。

「MLB移籍直訴」で逆風も、復活が待たれる


高橋光成が2022年オフに契約更改の場で、将来的なMLB移籍を直訴してきたが、球団からはGOサインが出ないまま、今季を迎えた。

今季は春季キャンプ中に右肩の張りを訴えて、スロー調整となったため、開幕から出遅れてしまい、今季初登板は開幕から2週間後の、4月14日、対ソフトバンク戦となった。
今季はチームの攻撃力もダウンしたことから、登板しても援護がなく、自身も投球で粘れないまま、勝ち星にも恵まれず、悪循環に陥っているようだ。

高橋光成は西武投手陣の中では最高年俸(2億6500万円)を誇る「エース」であり、ファンからも首脳陣からも結果を求められて、毎回、焦りとプレッシャーの懸かるマウンドであっただろう。

とはいえ、高橋光成も球団だけでなくパ・リーグを代表する「エース」であり、これを機にファームで再調整して、再びエースと呼ばれる投球を披露することを期待されている。

ファンも高橋光成の復活の日を待っている。


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