過去に戻れるとしたらどうする?
映画 「コーヒーが冷めないうちに」
過去に戻ることができる。しかし、コーヒーが冷めないうちに戻ってこなければならない。そして過去を変えることもできない。
本の記録を目的にして書いているnoteだが、たまには映画のことについて書いても良いかな、なんて。今回は番外編だ。
過去に戻るにはルールがある
題名にもなっているが、コーヒーを入れた瞬間から過去に戻ることができ、冷める前には戻ってこなければならない。
とあるカフェの中でしか過去に戻れないので、動物に会うとか、どこかに行きたいとか、そういったことは出来ない。
そして、過去を変えることはできない。
ここまでルールが限定されてくると、できることは限られてくる。
伝えられなかった思いを伝える。
これを果たすために映画では様々な人が過去への渡航をする。
伝えられなかった感謝
この世に誕生して20年。やり直したい過去や伝えられなくて後悔したことは、これといって特に思い浮かばない。
きっとこれから、そういうことが出てくるのだろう。これからは重大な選択を自分の責任ですることが増えるから、その分後悔することも増えるはずだ。
しかし今、一つだけ頭に思い浮かんだことがある。祖父と祖母だ。2人ともすでに他界している。
ここで書いた通り、私の母は私が3歳の時に離婚している。しかし、決して不仲な訳ではなく、私は月に1回、父の所へ遊びに行っていた。
父の所と言っても、ほとんど父方の祖父母の家に言っていた。母と別れてもなお、変わらずに愛情を注いでくれた祖父母の事が大好きだった。
中学生になると部活動が始まった。毎日練習がある運動部に入ってしまったため、月1で会うことは難しくなった。
年に1度会えればいい。
引越したこともあり、距離は色んな意味で遠くなってしまった。
そうなってすぐに、祖母の体調が悪いと連絡が来た。風邪をひいたとかそういうことではない。ほとんど危篤に近い状態だった。
病院に会いに行った。ガンだった。
頬は痩け、色も青白く、なんと言っても骨と皮しかないんじゃないかと言うくらいに痩せていた。
1年ぶりに会う祖母は、もう私が知るかつての祖母ではなかった。それでも祖母は、笑顔を絶やさなかった。呂律も大して回らない口で、マスク越しに嬉しそうに何かを話している。
もっとたくさん、もっと早くに会いに来ていればよかったと後悔した。それから少しして、祖母はなくなった。
お葬式であんなに元気の無い祖父を見るのも初めてだった。
それからしばらくすると、やはりまた部活が忙しいことを言い訳に会う機会は減っていた。
高校受験が終わり、また引っ越すことになった。さらに距離は遠く、部活は忙しくなった。こうなると、父と連絡をする機会もほとんどないに等しくなった。
そんな時に突然連絡がきた。
「祖父の他界」。急だった。
今度は、生前に会うことすらできなかった。
お葬式は出たものの、綺麗な木の箱の中にいたのは私の知らない全くの別人のように見えた。
私は知らない。これはじいじじゃない。
急な死は実感を湧かせない。
私の中で、祖父はまだ元気に生きている気がする。あの家に行ったら、「いらっしゃい」と言ってまだ迎え入れてくれる気がする。
もう今となっては何年も前のことだ。
私は過去に戻れるとしたらきちんと祖父母にお別れを言いたい。感謝を伝えたい。
今までありがとう、って。
沢山甘やかしてくれてありがとう、って。
本当に大好きな祖父母だった。
コロナで外出自粛になってしまったが、本当はこの春休みに逗子にある二人のお墓参りに行きたかった。
時期が落ち着いたらになっててもいい。
きちんとお墓参りをして、今までの感謝を全部お墓に浴びせてこよう。
こうなる前に、後悔しないために、日頃から感謝を伝えることは大事だよね。
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