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読了メモ

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#山本文緒

「無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記」山本文緒

闘病(ご本人曰く”逃病”)日記。 タイトルからも予想されるように、あっという間に時間が進んでいく。 日常がリアルに、素直に切り取られていて、病院や軽井沢のカフェを近くに感じ、一緒に過ごしているような気分になる。 終わりに近づいていくのは、当然残りの枚数で予想がついてしまうのだが、最後のページをめくるのはためらう。最後の日記はあまりにもリアルすぎたし、作家人生を全うされたと感じた。 いつの頃からか、桜や銀杏の季節がくるたび、人生であと何回見られるのか、急な事故でこれが最後

「自転しながら公転する」山本文緒

山本文緒さんの最後の長編小説。 650ページがあっという間だった。 どこにでもあるような、どこにもないような話。生々しさがある。 登場人物それぞれの頭の中のものさしの違いがしっかり感じられて面白い。人それぞれでいいんだよ、と月並みなことを思う。 賛否あるそうだが、プロローグ・エピローグが効いていて、物語が締まる感じがした。 これ以上彼女の小説は増えることはない、というのがほんとうに寂しい。