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新卒入社後2ヶ月で辞めた話

便利な世の中になったものです。

通常、就業規則により、上司に退職を告げてから2週間以上経たなければ退職は出来ない。
しかし退職代行を使えば、即日で、嫌な上司たちの顔を見ずに退職する事ができる。

そう。退職代行を使ってまで新卒カードを捨てたかった。
そんな私の2ヶ月をせっかくなので書き記そうと思う。

アパレルの販売

私はアパレル企業のデザイナーとして採用された。しかし店舗を知らぬことには、お客様と接しないことには、”売れるもの”は分からない。ので、1年間は店舗で販売員を経験する。

「1年頑張ればデザイナーになれるのに」

これはめちゃくちゃ言われた言葉だし、これを読んでいるあなたも、きっともったいないと思うだろう。
でも私は決して販売職が嫌だったわけじゃない。

人間関係──主に上司と会うのがしんどくなった。
だから退職代行を使った。


上司ガチャ

ガチャガチャに例えて、子供にとって親はランダムで自分で選べないという概念から「親ガチャ」という言葉が流行し、2021年には流行語大賞にノミネートされたり、「大辞泉が選ぶ新語大賞」にも選ばれたりした。
上司もそうだ。上司からしたら部下も選べないけれど、上司ガチャが外れると結構詰む。

就活軸のひとつに「人柄の良さ」を挙げていたくらいには、私の中で重視している。
例え業務内容が大変でも、一緒に働く人さえ良ければ頑張れることは、今までのアルバイト経験から実感していた。

でも残念ながら見抜けなかった。

入社してから最初の1週間は本社研修がある。そこでトレーナーとして関わった人達はみんな優しかったし、面白かった。
私はソシオニクスという性格類型論に興味があり、絶えず出会った人の発言を聞いてはタイプを予想している(怖)。
本社研修を担当してくれた人達は、似た価値観の人が多かったように感じる。

しかし私の直属の上司である店長。店長との相性が最悪だった。
でも仕事であるからには、相手と価値観が合わなくとも、尊重して互いに譲歩しながらやるしかない。

そんな店長とは入店初日からギスギスしていた。

私は入店初日の出勤に限って電車が混みあっていたため座ることが出来なかった。そのため乗り物酔いが酷いせいで体調を崩してしまい、途中下車をした。
そこで速攻店長に電話をしたあとも店舗に向おうと頑張ったが、人生で初めて駅の救護室で休憩する羽目になり、いきなり欠勤した。

これに関しては私が悪いし、休ませてくれた店長には感謝している。しかしその翌日に店長に会うとめちゃくちゃ冷たかった。

アパレルの販売はまず着用を決めなければならないが、お客様がいてどこで着替えたら良いのか分からずアタフタしていたら「ゆっくり屋さんなんだね」と言う言葉と共に、早速怒られる。
そして着用が決まって色々教えて貰えるかと思いきや、いきなり店頭で接客することになった。

本社研修をしているのでお客様へのお声がけの仕方は分かる。
でも店舗ごとにあるルールなんて全く知らないし、ご試着室やお会計のご案内の仕方など業務の詳しい内容は全く教わっていない。そしてアパレルの販売経験はゼロ。そんな状態で店頭に立たされたので、またもアタフタしてしまう。
でも聞いてもイライラされるわ、出来なくても怒られるわで、この時点で上司ガチャのハズレが確定した。

しかしその翌日に初めましてをした副店長は超優しかった。ニコニコ笑顔で挨拶してくれるし、仕事も丁寧に教えてくれる。
しかも私のメンター担当がこの副店長。
今年で3年目の方なので、新卒の気持ちもわかってくれる。だからちゃんと教えてくれるのか!と有難い気持ちになった。ちなみに店長はアラフォー。
上司ガチャ、完全にハズレじゃない!と、この時は希望で満ち溢れていた。


ご機嫌取り

本社研修ではご試着室に連れていく前までの販売ロープレが行われた。いくつかのグループになってお客様役と店員役を演じ、ブランドマネージャーに講評してもらうというものだった。
中には学生アルバイトをしていた人もいたとはいえ、やはりみんな販売職としてずっと働く覚悟を持って入社しているだけあって、すごく上手かった。
そんな中、私は緊張のあまり作業に没頭して上手く話すことが出来ず、グループの中で唯一褒め言葉を貰うことが出来なかった。

この悔しさと劣等感から、販売職として早く成長できるように色んな努力をした。

具体的には、毎朝SNSやオンラインストアを閲覧して、商品情報を頭に詰め込んだ。店頭でお客様を待っている間は誰よりも笑顔で声出しをしながら、お客様に商品のオススメポイントを伝える練習を心の中でやった。毎日営業後にその日の接客の反省点をあげ、翌日の目標を設定し、毎日意味のある仕事をしようとした。休みの日には素材や服の勉強もした。

それを活かしながら積極的に話しかけ、接客を頑張っていた。
また、接客してお買い上げして貰えると、個人売と言って、売上金額と点数と人数を記録する。
私はその個人売の目標を最初は10万、次第に25万とあげていき、達成できるように心がけた。気づけば調子のいい日は1人で45万も売り上げられるようになり、店舗売上の半分を売り上げる人になっていた。

こうして日々売上を作っていくと、あの冷たかった店長が優しくなっていくのが分かった。
出勤したら元気に「おはよー!」と言ってくれるし、朝礼で積極的なお声がけや商品知識について褒めてくれるようになった。1番嬉しかったのは、イライラをこちらにぶつけてこなくなったこと

ここで、本社研修でのトレーナーの言葉を聞いて欲しい。
自分の機嫌は自分で取りましょう。それが大人です。
も~~本当に本当に、これ。
しかし、もう店長はこういう人なのだから仕方がない。解決策ができただけでも良しとしよう。


大きな期待

初日欠勤の件もあり、朝の満員電車を避けるため、店長は遅番を多めにしてくれていた。(ありがたい)
そのため、出勤3日目にして入金作業を教えるついでにレジ締めを教えてもらうことになった。

さすがの副店長もすぐ実践してもらうつもりはなかったらしく、あくまで入金作業が理解できるように、ということで簡単な流れだけ教えてくれた。

しかし翌日出勤すると店長にこう言われた。
「副店長にレジ締め教わったんだってね!今日やってみてね!」

はい、詰んだ~~

私は店頭で教えてもらったことを即メモするための小さな殴り書き用メモと、それを見て清書する業務まとめメモを2つ併用している。
しかし私は睡眠時間確保のため、清書は休みの日にまとめて行なっていたので、まだ清書をしていなかった。しかも副店長も翌日すぐに実践することを想定して教えてくれたわけではない。

しかし、初日何も教えずいきなり店頭に立たせる店長である。
何を言おうがやらされることは明白だった。

昼休憩中に必死にレジ締めの仕方を清書にまとめ、振り返りをした上で挑んだが、案の定分からないところが出てきた。
その日の締め作業は店長と2人だったため、店長に聞くしかない。そしてなぜかここから1時間、何もミスしていないのに問い詰めモードが始まる。

「次の作業で何をしなければならないのか、考えてみたら分かるでしょ!」と店長はいう。
いや、分からないから聞いとんねん。

それで答えられないと怒られが発生する。
ミスをして注意指導があるのは分かるし、何でもかんでも聞くのではなく、自分で考えて答えを導くことも大切だ。しかし、ここまで圧をかけて問い詰められる意味がわからず、めちゃくちゃ帰りたかった。

とはいえ、店長のおかげで清書メモを正確に書き直すことができ、出勤5日目には1人でレジ締めが出来るようになった。

このようにして店長のご機嫌取りのための接客とスパルタ指導による業務覚えの早さから、4月終わりには店長からの期待値がとてつもなく高くなっていた。

5月になり、4月の売上成績が発表された。
そこで個人売成績も出るのだが、私は同ブランド内の新卒の中で1位、新卒全体で8位を獲得していた。この業界では、商業ビルや百貨店のことを総称して「館(やかた)」と呼ぶ。日本で1番売り上げが高い館は伊勢丹新宿なこともあり、どのブランドも新宿が1番売上を作る。
そんな新宿勤務の人よりも上回ったということで店長は大喜び。
新宿以外の館勤務でトップ10入りを果たしたのも私だけだったので、店長は他店との業務連絡の際、「うちの新卒が個人売で...」と自慢していた。

私はそんな店長を見て安堵の気持ちだった。

地獄の始まり

実は勤務先の店舗には、私の他にもう1人同期がいるのだが、彼女は一言でいうならGAL👱🏻‍♀️。私はその明るいギャルマインドに救われていたが、彼女に相談などはできなかった。

なぜなら私は院卒のため、2年制卒のギャルより4歳年上で、店長からは「同期だけど手本を見せる気持ちで引っ張っていってね!」と言われていた。

それから店長の過去の経験によれば、新卒同士が親しくなった結果、喧嘩をし、仕事でギクシャクしてしまうという事案があったらしい。そのためか同期と必要以上に仲良くすることを禁止されており、ギャルと遅番で被らない限りは私語で話すことがほぼなかった。

5月には館のイベントがある。
それに向けて様々な業務を教わった。それだけでなく、4月好成績だった私は、そのイベント中にレジ業務ができるようにとレジ業務も教えてもらった。

この無駄に大きな店長の期待が、私を苦しめることになる。

館イベントに向けた業務量の多さに加え、ミスが許されないレジ業務を教わったことで私はパンクしかけていた。

私は高校でフードコート、大学大学院で居酒屋のアルバイトを経験しているため、忙しい時間帯のレジ業務の大変さは分かるし、レジミスもしたことがなかった。

しかし、いきなり金曜日の夕方に初レジを経験することになり、その忙しさにパニックになる。
なぜならアパレルには商品をお包みして渡す動作があるため、お会計にかかる時間が長い。また、接客の最後の段階であることや、単価が高いこともあり、満足度をいかに落とさないかが勝負となる。

私は相手の表情の変化に敏感だ。
嬉しいか、悲しいか、怒っているかがすぐに分かるし、それをかなりダイレクトに感じてしまう。結構気にしすぎてしまうタイプだ。
だから店長がイライラしていると分かれば売上を作らなきゃ!と焦るし、お客様がイライラしていると早くしなきゃ!と焦ってしまう。

私は不注意優勢ADHD(グレーゾーン)と心療内科で診断されている。とはいえ、誰だってはじめてのことなら目の前のことで精一杯になって周りが見れなくなるものだ。

しかし店長にそれを叱責され、「周りが見れない自己中」と言われた。

しかも、その後私はレジミスをしてしまった。
お客様はもちろん、そのミスを上司がカバーしてくださり、色んな人に多大な迷惑をかけてしまった。こればかりは私が100%悪いし、反省した。

そこで店長に言われた言葉たちがこちら。

「あなたは勝手に決めつけるクセがある」
「あなたのその性格を治した方がいい」
「あなたは自分に自信があるからこの私が間違えるわけがないと思ってミスをした」
「あなたはお客様への思いやりがないからミスをした」


私はレジミスをした原因として、「忙しさからパニックになり、確認を怠ったこと」を理由に挙げ、改善策として、「声出しをしながらレジ業務を行うことで、お客様も一緒に確認が出来るようにする」と伝えた。
本来であれば、店長はこういった問題が起きた原因と改善策に触れるべきである。
それにも関わらず私自身を否定し続けたので、泣きたくなんてなかったが、気づいたら涙が出てきていた。すると店長に「こんなことも出来ない自分が悔しいよね」と言われた。
自分に劣等感を抱いているからこそ努力してきたし、私のことを勝手に決めつけているのは店長の方である。

それからというもの、今までの明るい店長はまたも消え去ってしまい、日々なにかにつけて叱責してくるようになった。
レジミス時の発言もあり、この時には結構本気で仕事を辞めたかったが、ミスをしなければ良いだけだと思い、耐える道を選んだ。
毎朝顔色を伺って出勤する日々が始まった。


体調の変化

友人との会話で、叱責中の発言がパワハラであるということに気づいた頃、私の身体に異変が起きていた。

頭痛持ちでなかったのに、毎日締め付けるような頭痛が襲う。常備している鎮痛剤も効かなかった。

それから咳。仕事中はアドレナリンが出ているおかげか回数は少なかったものの、特に出勤前の咳が酷かった。一度喉がイガイガすると咳が発作的に何度も出る。咳で吐きそうになることもあった。
出勤中の電車内でこの状態になると人目が気になるので、龍角散は欠かせなかった。
これも咳止めは特に効果がなかった。

更に疲労感も取れなくなり、休みの日はいくら寝ても眠いので、一日中寝てしまうことで友人と会う時間も作れなかった。
出勤退勤時の電車内も常に寝るようになり、毎日の振り返りや反省も出来なくなっていった。

また、久々に会えた友人からは頬が痩けてると痩せすぎを心配され、実際に体重を測った際も今までで1番痩せていた。

仕事中の店長は相変わらず素っ気なく、私が笑顔で接したり声掛けをしたりしても、お客様には見せないような顔で呆れたような返事をする。なんならあの優しかった副店長でさえそうなってしまった。

レジミスは確かに大きなミスだが、そのミス1つで相手への接し方を変えてしまうことがあっていいのだろうか。
また、以降はメモを見ながら手順を追って確認を怠らず行うことを厳守し、自分が決めた改善策も実行し、ミスせずレジ業務を行えていた。

副店長に関しては、店長から「厳しく指導するように」と言われてるのを聞いてしまったので、それが理由だと思う。しかし、厳しく指導するのと素っ気なくするのは違うはずである。

通常、1人のお客様についたらレジ業務からお見送りまで行う流れだが、忙しいと役割分担をするため、レジ業務をやってくれた人には感謝の気持ちを伝えるように指導されている。しかしながら店長も副店長も私がレジ業務をして感謝してくれたことは一度もなかった。

また、右肩上がりの売上に対し、店長は目標を大きく定めるようになった。以前は予算達成が目標。次は前年比を超えること。そして今では前年比を超え、予算を大幅に超えた額を目標として設定した。
そのため、その目標を超えられない日が多くなることで、店長のイライラも酷くなっていた。

そうして2人からの冷たく素っ気ない態度に、自分の存在価値や頑張る意味を見い出せなくなっていった。絶対ミスしないと誓いながら働いていたが、今思えば私の思考は停止してしまっていたように思う。

ミスをしないと誓っていたのに、この頃には、前まで出来ていた当たり前のことすらも出来なくなり、思うように動けない自分にも苛立ちを感じていた。

そしてそれに伴い、当然店長からの呼び出しと叱責の回数も増えていった。
自分でもなんで出来なかったのか、もはや思い出せないほどだった。しかし思い出せないなんて店長や副店長からしたら仕事をなめているとしか捉えられないのは仕方がないことである。

また、副店長はとても器用な人で、何でも卒なく仕事を行える。私はそこを尊敬していたのだが、副店長は私のように得手不得手の差が激しい人間を理解することが難しいのだろう。

「普通ならそんなことしない」
「普通ならそんな発想にならない」
「なんで出来ないのか理解できない」


と、店長だけでなく副店長にも言われてしまった。
私はエニアグラムという類型ではタイプ4に該当するが、この「普通なら」という言葉がかなり引っかかってしまい、「私って普通の人ができることすら出来ない落ちこぼれなんだ」と思ってしまった。

また、私は中学の頃、美術部だったが、
「美術部だったから運動部の団結して頑張ろうとする体育会系の気持ちが分からないんだよね」
「今こそ美術部から運動部に変わる時だよ!」

などと店長に言われることもあった。は?

館イベント期間中ではじめての業務も多く、そこでもミスをしてしまった。
私はレジ業務の時の反省を活かし、「ミスしてしまったのは、はじめてやることだったのにメモを見なかったから」と答えた。
しかし「メモなんか見なくても思いやりがあればわかるでしょ!」と言われた。

そう、店長は感情論の人である。

注意指導とパワハラ

ここの章では堅苦しい話が続くので飛ばしても良いが、ここで言いたいことは、店長は注意指導とは何かを、履き違えているということだ。

注意指導とは、業務上の行為が適正なものとなるよう命令したり指導したりする行為のこと。
雇用契約の観点からしても、信義則上当然に発生する業務命令権の一部なので、もちろん必要で適法なものだ。

この適法な注意指導に対し、パワハラとは、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」(パワハラ防止法より)のことを言う。
具体的には、身体的な攻撃や精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害の、いわゆる「パワハラの6類型」があるが、これに限ったものだけではない。

第一に、業務上の目的に沿ったものであるかどうかが重要で、間違った業務や問題社員を正しく導くなど、業務上の目的に沿っている必要がある。
しかしながら、その人個人への嫌がらせなど、業務上の目的がないものについては違法なパワハラとなりやすい。

第二に、その目的に沿った相当な行為であるかどうかが重要で、目的が業務上のものであっても、行為が過剰なものであれば、それも立派なパワハラとなる。

さて、パワハラにならないための指導方法とは何なのか?

まず、注意指導の目的がどのような問題行為の改善にあるのかを特定する必要がある。業務上の行為について、問題を是正することが目的であれば、正当な権利行使となるためだ。

店長や副店長も、問題の原因を追求し、改善策を見つけようとは言う。

しかし、どのような点が問題であるかは、抽象的な言葉で伝えるのではなく、具体的な言葉で、かつ、可能な限り客観的な数字などに置き換えて特定するようにするべきで、「やる気がない」「態度が悪い」といった抽象的な問題の指摘は、人の感じ方次第で変化してしまうため好ましくない。

問題行為を特定した後、それを是正する注意指導を行うときに、改善方法を指摘する必要がある。
問題のみ指摘をし、改善方法を伝えないことは、適切な注意指導とは言えない。その方法が過剰な場合にはパワハラになりやすくなってしまうからだ。

最後に、注意指導の際には、適切な方法で伝えることを心がける必要がある。
暴力的な手段に訴えかけることはもちろん不適切だが、言葉で伝えるにしても、どのような発言が適切で注意指導に向いているかどうかを検討しなければならない。

特に、不必要な人格否定、人格攻撃は、パワハラである。

注意指導の目的を果たすためであれば、部下が理解できるように伝える必要があるし、店長のように感情的な発言は控えるべきだ。

相手の人格を否定する注意指導は、「注意指導」に名を借りた違法なパワハラ行為となる。パワハラにも類型があるが、「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「個の侵害」などに該当する。

問題社員の問題を特定して改善を促したい場合、人格を否定する必要はない。その「行為」の問題点を指摘すればよいはずだ。

部下への注意指導が感情的になって、その人に対する嫌悪感があらわになってしまったり、相手の人格、性格、くせ、容貌などへの欠点の指摘にまで至ってしまったりすると、立派なパワハラになる。

また、完璧を求める厳しすぎる注意指導もまたパワハラ行為に該当する。業務において求める目標が高いことは褒めるべきことだが、他人には他人の事情がある。

雇用契約において求められている以上の努力を強要し、完璧を求めると、業務指導が目的であったとしてもパワハラになりかねない。とくに、勘違いした体育会系にありがちな根性論精神論が行き過ぎると、適切な注意指導の範疇を超えることになる。

上司と部下との間には能力や経験の差があり、すべて思う通りにはいかないもの。
相手の状況を理解し、「ミスは人間だれしもが起こすものである」という原則のもと、完璧を追い求めすぎることのないよう、柔軟な姿勢で注意指導をすることが大切である。

以上のことから分かるように、店長の発言は立派なパワハラと言える。

辞めるという選択

私はイベント最終日も相変わらず叱責を受けていた。

分からないことがあったり助けて欲しいことがあったりした時は、店長や副店長を呼ぶ必要がある。
しかし何度呼んでも返事も貰えず、困惑していたところ、怒られる。2人がイライラしている状況で話しかけづらく、遠慮してしまうことで怒られる。
もう、2人の顔色を伺って仕事することにも、人格否定されながら叱責されることにも疲れてしまった。

本当は本社の人に掛け合うなどして他店舗に異動を要請すべきだったのかもしれない。

しかしながら、何かを察した店長に言われた「他店舗に行っても状況は何も変わらないよ」「むしろうちなら私がいるから働きやすいよ」「私は全てあなたのためを思って言ってるの」という、もはや洗脳に近い言葉で、半ば諦めていた。

他店舗で働いている人の話や、他店舗からのヘルプで来た若手の方の発言を聞いても、うちの店長は特別厳しいと感じる。
昨年9月から学生アルバイトをしている子が、今年4月から異動してきた店長のことが怖くて辞めたいと私に打ち明けてくれたこともあった。

しかし、本社に行けば大丈夫と思うのも間違いだったのかもしれないと、イベント中ヘルプに来てくれた本社の人を見て感じた。

先輩社員に後輩から挨拶するのはどこもそうだと思うが、私が本社からヘルプに来た人に対して元気よく挨拶と自己紹介をしたところ、向こうからは挨拶と自己紹介をされなかったことがある。
もちろん全員ではない。
それでも、本社研修で優しいと思っていたブランドマネージャーが、店長と新卒の悪口を電話で言っているところを聞いてしまった時には、もう期待した自分が悪いとはいえ、何もかも嘘だったのかも、と思ってしまった。

確かに店長の言う通りどこに行っても変わらないのだろう。

イベントが終わり、やっと休みが貰えたという日に心療内科を受診した。
なぜなら、当時の私は、自分のADHDが理由で店長をイライラさせていたのかもと思っていたからだ。
診断書を発行してもらって私の特性を理解してもらえれば、人格否定されずに向き合ってくれるかもしれないなんて期待していたのだ。

今思えば、ミスした時の原因として「忙しくてパニックになってしまった」とADHD的なことを遠回しに言った際に、「そんなこと言われたら忙しい時に仕事を任せられないよ」と言われたので、診断書があっても無駄だったように思う。

更に心療内科で言われたことは想像と大幅に違っていた。

「確かにADHDで苦手なこともあるだろうけど、新人はミスをするものだから、そこまで強く言う上司に問題があります」

確かに私は今まで学生生活と並行してかなり活発にアルバイトをやってきたが、ADHDのせいで仕事が出来ないと困ったことはない。強いて言うならグラスや食器を割りがちなことくらいだ。

むしろ、「視野が広いから気遣いができる」とか、「一緒に働いてると仕事がすぐ終わるし働きやすい」なんて先輩や後輩から言ってもらえるくらい、周りがADHDなことで困っている様子もなかった。(多分。もしかしてADHD?と言われたことがない)

それから先生は続いて、こう発言した。

「体調が悪いのも、仕事の調子が良くないのも、適応障害になってしまったことが原因です」

まさか自分が適応障害になっているなんて微塵も思わなかった。なんならそう言われたあとも、適応障害の傾向があるだけで適応障害ではないだろうなんて思っていたので、診断書の発行を断っていた。

適応障害はうつ病の一歩手前の病態と言われている。
適応障害もうつ病と同じように、ブレインフォグと呼ばれる頭の中にモヤがかかったような症状がみられる。
恐らく私が今まで当たり前に出来ていたことが出来なくなり、仕事中のことを思い出せないことが増えていったのも、このブレインフォグが原因だと思われる。
もちろんADHDの作動記憶も要因のひとつだと思う。

そして休みの日を終え、明日からまた出勤ということを考えた時に、本当に本当に店長に会いたくなかった。
しかし冒頭にも書いたように、就業規則によって上司に退職を告げてから2週間以上経たなければ退職は出来ない。
本社の人に連絡して休職するという手段もあった。しかし以前一度辞めることを考えた際に、店舗の会社携帯から人事の連絡先を探したものの、見つけることが出来なかった。
ので、即日で辞められる退職代行を使うことを決意した。

退職代行すごい!

今までアルバイトを飛んだことがない。
学校も中退したことがない。
本当に円満に卒業した経験しかないし、人間関係リセット症候群になったこともない。
そのため、小学校の時からLINEなどのアカウントを変えたことがなく、繋がりが保たれたまま生きてきた。

そんな中、初めて自分の存在をその人の目の前から抹消したいと思う人物、組織に出会い、どうしたらいいか分からなかった。

職場の人間のアカウントをブロックすればいいのなら簡単である。しかし、職場のLINEグループは抜けたらバレる。いつ抜ければ良いのか難しかった。

退職代行はLINEで24時間受け付けしているところにお願いした。
朝イチで振り込んで申し込み、その日の昼頃には連絡がつき、LINEグループを抜け、無事に退職できた。

さらに会社からの連絡も一切なかった。
快適だが、店長達に自分勝手だなんだと自分のことを噂されてるかもという被害妄想がしばらく抜けず、それもそれでストレスだった。店長とブランドマネージャーに怒られる悪夢まで見た。
今はクソどうでもいいと思ってるけど✌︎

そして保険証など貸与物を返却するのだが、よりによって保険証返却後に人生で経験したことの無い腹痛に襲われて自宅で倒れた。
救急車を呼ぶか迷ったけど、呼べないほどの痛み。
もしも仕事を辞めていなかったら、仕事場で倒れていたと思う。

辞めてから1週間ほど経つけれど、咳は変わらず出るし、お腹も頭も痛いので、ほぼ毎日のように寝込んでいる。

適応障害を知らない親や友人の一部からは早く仕事しろと言われているものの、適応障害は、「休養期」「回復期」「調整期」の流れで治療を行うのが一般的。
休養期では、心身の休息を第一に考えることが大切。でも私は外向すぎるゆえに、コロナ禍に家で引きこもっていたら軽度のうつ病になってしまったことがあった。
それを懸念して普通に旅行に行き、飲みにも行った。なんなら飲みで二徹した。(は?)
本来なら休養期を経て体調安定がみられた際に回復期に移行して活動量を徐々に増やしていく必要がある。私は医師の許可なくいきなり活動量を増やしすぎたので、余計長引いてるように思う。(アホ?)
調整期では、負担のない健康的なライフスタイルを目指し、生活習慣指導を行っていく。

今保険証を発行してもらってる最中なので、発行して貰えたら治療していく予定!

保険証返す際の送付状に、怨念混じりの京言葉かのように、遠回しにパワハラの事実を書いておいた。
なぜなら私より真面目でしっかりしている同い年のパートさんに対しても、あの店長は「あなたは自己中で思いやりがないからその性格を治しなさい!」とか言ってたので。
私はパワハラとして訴えて戦う気力はなかったけど、被害者を増やさないためにも、本社はあのモンスターをどうにかしてください。

私だって店長を最初から悪だと思いたくなかった。

スパルタ指導じゃないと私は成長できない自覚があるので、あの店長だったからこそ個人売1位になったとも思う。
それから、店長という責任の重さも、実績を作らなければならないというプレッシャーがあることも、そのために早く新人を育てたいことも、分かる。
立場が違うので同じように分かる訳ではないものの、だからこそ私は売上を取ることで店に貢献してきたつもりだった。
しかし「運動部のようなチームワークを身につけて一丸となって頑張ろう!」という言葉を実現したい割には、部下を怯えさせ、存在を否定するのは本末転倒ではないだろうか。

私のことを「うつ病に絶対ならないよ!」と言っていたくらいなので、店長は、私が感謝を伝えることなく迷惑かかるのを自覚した上で即日で辞めたいと思わせるほど追い詰めた自覚はないだろう。
怨念の手紙をきっかけに本社が動き、何かしら変わることを願いたい。

そして私は早く元気になって職を得たい!

ここまで長い文章でしたが、読んでくださってありがとうございました
皆様もどうかお気をつけ下さい


おまけ:使用した退職代行サービス

※案件PRではございません笑

一度辞めたいと思った5月上旬ごろ、なんとなく退職代行サービスの相場を調べていた。

大体3万円前後する。
正直高いな~と、その時はブラウザを閉じた。
ちなみに弁護士だともっとかかる。

いざ退職代行する!となったときに色々サイトを見ていたが、「業界最安値!!」と書いているところの多いこと多いこと。
いや、お宅最安値じゃないですよ~って所が多々あった。

でも下手に安いところに頼んで辞められない方が嫌だったので、しっかりサイトを見た上で私は「退職代行CLEAR」にお願いした。


コーギーのアイコンが可愛い。

とはいえここはガチの最安値で、なんと2万切る。
実際利用したが、これ以上かかることはない。

サイトを見てもらえばわかる通りこんなに安いのに弁護士事務所と日本労働基準組合と提携しているので安心感凄い。返金保証もあるしいつでも連絡できるので、オススメ。
しかもLINEで問い合わせできる!

流れとしては、

①LINE追加
②ヒアリングシートの記入
・名前、生年月日、電話番号
・退職希望日
・会社名、電話番号
・雇用形態
・入社日
・所属部署
・退職理由
・貸与物
・有給の有無
・職場への要望
・支払い方法(クレジットカード/銀行振込)
③貸与物、返却物の確認
④支払い
⑤退職代行電話
⑥退職申請や貸与物の返却(郵送)

⑥のみ自身で行う。
その際送付状の形式もLINEで送ってくれるのでそれに従って入力して郵送して終わり。
結構呆気なかった。

私は確実に辞められたので、マジ逃げたい!今すぐ辞めたい!って人は利用してみてください。

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