「初恋と不倫」の気付き

あまりドラマは見ないのだけど、視聴した数少ないドラマの中でも良かったなぁと思い出すのは「大豆田とわこと〜」と「カルテット」。両方とも脚本は坂元裕二さん。
インスタで誰かが紹介していたその坂元裕二さんの本「初恋と不倫」を読んだ。読み始めて2、3ページくらいで文字を追っているのに目の前でテレビドラマを見てる感覚、ページを進めると思わずえーーと声が出る展開。さすが脚本家、の書いた本!

往復書簡 初恋と不倫 / 坂元裕二

読み始めたその日のうちに一気に読み終えて、その晩、自分が坂元裕二ドラマの中に入り込んでるような夢を見た。
目が覚めて、いやぁ私見事に松たか子だったね、って笑ってしまったんだけど、覚えていた夢の中の場面で、あ、やっぱり私そこに引っかかってたんだなっていうのがわかって興味深かった。
その場面。
私は登場人物二人のうちの一人で、隣に座っている誰か(これは知ってる人ではなく初恋と不倫の登場人物をイメージしたような人だった)と会話をしているのだけど、向こうが私に質問を投げかけてきたことに対して、私は返事をしなかった、というもの。
初恋と不倫では二人の登場人物が手紙やメールでやり取りをする様子が描かれているんだけど、その中で何度か「相手の質問に答えない」という場面があって、その時、あー私こういうのできないしされたくないんだよなぁって思っていた。質問をスルーされたり、返事するのに必要以上に長い「間」をおかれるのがすごく嫌いだし、そんな「失礼なこと」を自分がやるなんて考えられないって。
それがですよ。
夢の中で質問に答えない自分になってた時、「いやぁ答えないっていうのも全然アリだな」ってなんかすごくスッキリとした気分だった(と思う、夢の中なので確かではない)。返事をしないという側になってみて、ここに気付きがあった。

別に人からの質問なんて答えても答えなくても時間を置いてもいいんだよなーってこと。私は質問にはちゃんと答える人だけど、嫌な質問には多分適当な返事をしているし、返答が全て誠実かどうかというと正直その自信はない。そう考えると必ずしもきちんと、すぐに答える、が正しいとも限らないし、返事をしないとコミュニケーションが成り立たないし失礼に当たるってわけでもない(時と場合と相手にはよるだろうけど)。正しさで判断するなら、返事をしたかしないかではなく返事の内容が重要になってくるし、コミュニケーションを成り立たせたいなら、返事をしなかった相手にその理由を問えばいい。理由が特にないならそれだけのこと。
私は、自分はきちんと返事をするから、みんなもそうするべき、そうしないと「私に失礼」と思っていたのね。返事がないとひとりで勝手に相手を失礼な人とジャッジしてひとりで勝手に嫌な気分になってたわけで。

自分がこうだから人にもそれを求めるのって意外と無意識にやってしまっていると思うけど、そうすることによって自分が疲れちゃうだけかもしれない。
人からそれを求められて疲れるっていうのは気付きやすいけど。
習慣的に疑問を持たずにやってきたことをやめるのはなかなか難しいけど、まずはそれに気づくことから。気づければとりあえず一歩前進、いや二、三歩前進な気がする。

久しぶりにラブストーリーぽいものを読んで引っかかったのがそこなんだw っていうツッコミを自ら入れつつ、なかなか面白い観察ができた。
今度誰かから何か聞かれてもあえてスルーしてみるっていうのを夢の中じゃなくて現実でもやってみたらまた新しい発見があるかも。
あ、スーパーで袋いりますか?って聞かれた時はちゃんと普通に返事します。

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