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マイヤ・プリセツカヤ ~撮影ノオト~

瀕死の白鳥

舞台の奥から登場する一羽の白鳥。小刻みに移動しながら、羽を動かし、空に羽ばたこうとするが、力尽き、やがて息絶えてゆく。バレエ「瀕死の白鳥」を踊るマイヤ・プリセツカヤの舞台はまさにそこに死にゆく白鳥が在るとしか思えないものだった。

死を目前にした白鳥の狂おしいほどの生への渇望、そして崩れゆく姿のはかない美しさに観客はただただ息を飲んで見つめるばかり。わずか数分の出来事なのに、その余韻の大きさは計り知れない。

プリセツカヤの舞台「瀕死の白鳥」を見たのは1996年のことで、彼女はその時71歳だった。飛び跳ねるバレエの舞台ではないが、70歳を過ぎて白いチュチュを纏い、深い精神性を感じさせる世界を展開するダンサーに畏敬の念を抱いた。

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